守りたかった…君の事を

おはよう。

何気ない会話。
今日が始まるそんな会話。
君は目を擦る僕を見て仕方なさそうな顔をして

顔を洗ってきな

と言う。
そんな朝が好きだった。
朝ごはんにトーストとバター、コーヒーを準備してくれる。
そんな君が好きだった。
僕が仕事行く時には

いってきます。

と言うと君は笑顔で

行ってらっしゃい

って言う。
そして
ハグをする。
その一時が途方もなく好きだった。

夕方。

ただいま

と疲れた声で玄関を開ける。
出迎えてくれる君。

おかえり

と言ってくれる。
すごく暖かかった気がしていた。
夕ご飯も食卓にいつも並んでいた。
毎日違う手料理で
すごく美味しかったのを憶えてる。
1日の終わりに何気ない会話をして
次の休みどこ行こうかと
未来の話をしたりした。

夜。
何度も肌を熱く重ね合った。
その小さな君を守りたいと
胸の中で感じていた。

………………

どうしてこうなってしまったんだろう。
僕が代わりになっていれば…
夜が来るたび夢に想う。
狐に摘まれたような
世界一大切なものを失う映画を見ているような
そんな最悪な気分になる。
でも
夢の中だけは
生きている君に会う事ができる。
君を守りたかった。
ずっとそばにいたかった。
おじいちゃんとおばぁちゃんになるまで
ずっと共にしていたかった。

愛していた…。

僕はずっと忘れないだろう。
赤く染まったあの雪を。
しんしんと君の跡を消していくあの雪を。
僕は絶対忘れない。
あの
殺人鬼を。

次に雪が降る夜がお前の…。

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