ヒマラヤ百系チャンネルで見る用途地域〜住居系〜

宅建に合格したという話を以前にした。

この試験は「宅建業法」「権利関係」「法令上の制限」の3分野に分けられる。そのうち「法令上の制限」において必須の知識となるのが、用途地域の種類と制限だ。やみくもに暗記してもよいけれど、それぞれの用途地域がどんなところか具体的にイメージできたほうが覚えやすいだろう。

そこで我がYouTubeチャンネル「ヒマラヤ百系チャンネル」から、各用途地域が映った動画をピックアップした。参考にしてほしい。

そもそも用途地域とは?

第八条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区を定めることができる。
一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域(以下「用途地域」と総称する。)

都市計画法8条1項(2号以下は省略)

都市計画法では、計画的に開発を進めるために、使い道(用途)に応じて設定できる13のエリア(地域)が定められている。これが用途地域だ。「都市計画区域(開発を進めていきたい区域)」又は「準都市計画区域(都市計画区域外で、環境の保全措置を講ずることなく放置すると開発に支障をきたす恐れのある区域)」の中に設けることができる。

指定の流れは以下のとおり。

  1. 開発を進めたい地域を都市計画区域に指定する。

  2. 必要があれば、都市計画区域内に市街化区域と市街化調整区域を定める。

  3. 市街化区域には用途地域を定める。

  4. 市街化区域と市街化調整区域を定めない場合(非線引き区域)及び準都市計画区域では、用途地域を定めても定めなくてもよい。

市街化区域とは「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」(7条2項)であり、市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」(同条3項)とされる。

用途地域は計画的に開発を進めるためのものなので、市街化区域には定め、市街化調整区域には原則として定めない。

用途地域ごとの建築物の制限(用途制限)は、建築基準法で定められる。

用途地域〜住居系〜

13ある用途地域は、大別すると、住居系8つ、商業系2つ、工業系3つに分けられる。本記事では、住居系用途地域を見ていこう。後にいくほど制限が緩くなる。

なお、道路斜線制限は全ての用途地域に適用されるので、いちいち書かない。

容積率を求める際、前面道路の幅員が12m未満の場合の法定乗数は原則4/10。

第一種低層住居専用地域

第一種低層住居専用地域は、低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とする。

同法9条1項
  • 建築物の高さは10m又は12mを超えてはならない(絶対高さ制限)。

  • 外壁の後退距離の限度(1.5m又は1m)を定めることができる。

  • 北側斜線制限が適用される。

  • 店舗、商業施設、工場は建築不可。

大圓寺通りの大圓寺以降(3:55〜)が、第一種低層住居専用地域に指定されている。

絶対高さ制限があることから、住宅は1〜3階建て。店舗等がないため閑静な街並みが続く。

第二種低層住居専用地域

第二種低層住居専用地域は、主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とする。

同法9条2項
  • 用途制限は第一種低層住居専用地域とほぼ同じ。

  • 一定の店舗、飲食店等(当該用途に供する部分が2階以下かつ150㎡以下)は建築可能。

東伏見稲荷参道の沿道は、第二種低層住居専用地域となっている(起終点付近を除く)。

高い建物がないのは大圓寺通りと同じだけど、商店がチラホラ見られる。

田園住居地域

田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とする。

同法9条8項

2018年4月に新設された用途地域。条文では準住居地域の次に記載されているけれど、制限は第二種低層住居専用地域とほぼ同じなので、この位置に置く。

  • 用途制限は第二種低層住居専用地域とほぼ同じ。

  • 農業関連の店舗・飲食店等(例:直売所、農家レストラン)の場合、2階以下かつ500㎡以下なら建築可能。

国土交通省による令和3年都市計画現況調査によると、田園住居地域に指定された地域は全国に1つも存在しない。

第一種中高層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とする。

同法9条3項
  • 北側斜線制限(日影規制の対象区域を除く)、隣地斜線制限が適用される。

  • 店舗、飲食店等は、当該用途に供する部分が2階以下かつ500㎡以下なら建築可能。

別荘橋通り沿道の大部分は、第一種中高層住居専用地域だ。

低層住居専用地域では見られなかった3階建てを超える建物も、ここには建てることができる。

第二種中高層住居専用地域

第二種中高層住居専用地域は、主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とする。

同法9条4項
  • 用途制限は第一種中高層住居専用地域とほぼ同じ。

  • 店舗、飲食店等は2階以下かつ1,500㎡以下まで建築可能。

  • 事務所等も建てられる(規模は店舗等と同じ)。

くすのき通り(起終点を除く)は、第二種中高層住居専用地域となっている。見た目には第一種中高層住居専用地域と違いがわからないけれど、店舗等を建てる側からすると大きな違いとなるんだろうな。

第一種住居地域

第一種住居地域は、住居の環境を保護するため定める地域とする。

同法9条5項
  • 隣地斜線制限が適用される。

  • 3,000㎡以下の店舗、事務所、ボーリング場、ホテル等が建築可能。

  • 作業場の床面積が50㎡以下で、危険性や環境を悪化させるおそれが非常に少ない工場も建てられる。

栄一条通りは、第一種住居地域となっている。規模の大きい店舗等がないので、普通の住宅街にしか見えないけれど。

第二種住居地域

第二種住居地域は、主として住居の環境を保護するため定める地域とする。

同法9条6項
  • 用途制限は第一種住居地域と同じか、より緩くなっている。

  • パチンコ店やカラオケボックスも建築可能。

セブンイレブンのある交差点の手前まで(〜5:25)は、第二種住居地域である。

この辺は学校が多いので、パチンコ店はない。

準住居地域

準住居地域は、道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。

同法9条7項
  • 住居系で最も制限が緩い。

  • 隣地斜線制限が適用される。

  • 営業用倉庫が建築可能。

  • 客席200㎡未満の劇場、映画館等が建てられる。

伏見通りの沿道は、西武新宿線にぶつかるまで(〜34:50)は準住居地域となる。

条文に「道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図」るとあるように、主に大通り沿いが指定され、自動車ディーラー、自動車修理工場、駐車場の大きな店舗等が建てられる地域。当然、交通量は多い。

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