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完 子どもへのまなざし

題名: 完 子どもへのまなざし
著者: 佐々木正美

こちらで既に2冊を紹介している「子どもへのまなざし」は、全部で3冊あったことを知ったのは最近だ。
1冊目と2冊目から間が空いての出版である、「完 子どもへのまなざし」は、完と冠するだけあって、1、2冊目の内容を体系的にまとめた前半部分と発達障害、特に自閉症スペクトラムに関する研究や臨床の記録が後半部分で構成されている。

佐々木先生のすごいところは、「子どもの要望を満たしてやる、ありのままを受容してあげる」といった基本姿勢は変わらないのですよ、ということを一貫して主張し続けている一方で、ただこの子(ここでは特に自閉症スペクトラムの子どもたち)にはこういう配慮が必要なんです。と伝えてくれている所だと思う。

私たちはどうしても分類してしまう。
特に発達障害なのかな?と感じる子に対してはどこかで線を引いて、あの子と私は違うと思ってしまう。
そこになんとなくうしろめたさも感じていた。

佐々木先生は本著の中でこう書いている。
『そういう人たち(=ここでは高機能自閉症、アスペルガー症候群といわれる人たちのこと)がほぼ一様に共通していっていることは、「私たちはあなた方とはちがうんだ、このちがいを認めてほしい」ということです。
「理解してほしい」
「支援よりも、理解をしてほしい」
「理解ができないのなら、支援はしないでほしい」ということです。なかには、
「自分達の特性を理解しない人に近よられるだけでも、私たちがどれほど苦痛を感じるのかを知ってほしい」といった人もいます。』

誤解がないように追記するが、自閉症スペクトラムの人が関わらないでほしいと言っているわけではない。
理解されない状態で関わられるのは困るということだ。
身近にそういう人がいないと、やはり本当の理解は出来ないのかもしれないとは思う一方で、
ある意味中途半端な支援は傷つけるかもしれないという事実にハッとした。
そして、理解をしようと真摯に向き合うことが結局は一番必要なことなのだと思ったのだ。

また「向き合う」ということは我が子に対しても変わらない基本姿勢である。
例え幼い子どもであったとしても、人としてちゃんと向き合って関わり合っていくこと。
そのことをこれからも忘れないようにしたいと強く思った。

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