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幸せのメカニズム

題名: 幸せのメカニズム
著者: 前野隆司

幸せってなんだろう?
きっと誰もが一度は口にしたことがあるその問いにあなたはどう答えただろうか。

著者である前野氏は以前はロボットの研究をしていたが、
「ロボットの心を作るよりも、人間の心を明らかにすべきだと思った」ことから、
研究分野は幸福学や共感学、イノベーション教育…と幅広い分野にわたる研究者だ。
そんな著者が綴るこの本は、「幸せの基本メカニズムを明らかにし、それを皆で共有する」ことを主旨としている。

この本の主張の元となるのはアンケート調査に対する因子分析とクラスター分析だ。
詳しい解析の仕方はさておき、仕事でも触れたことがある手法をこんな風に使うのか!と思ったのが面白かった点である。
しかも幸せの因子分析は明解な結果となったようで、四つの因子に収束したそうだ。

因子の名前の付け方も面白く、
①「やってみよう!」因子
→自己実現と成長の因子
②「ありがとう!」因子
→つながりと感謝の因子
③「なんとかなる!」因子
→前向きと楽観の因子
④「あなたらしく!」因子
→独立とマイペースの因子
と、言われてみれば確かになぁと思うような因子が並んでくる。
そしてこの四つが満たされているほど、幸せであるというクラスター分析の結果が出たのだそうだ。

個人的には最終章が印象深く、
•若い時には地位財(=金銭欲、物欲、名誉欲)を目指しがちだが、成熟期で年を経るにつれ、非地位財(=因子分析の因子)を目指すようになる
上記より、高齢社会は今までの成長を目指した社会とは異なり、それでいて成熟していくので幸福な社会になっていく。
•美しいものを創る人は見る人よりも幸せ
「ただ見るだけではなく、創ってから見」ることで、もっと感動できる
といった研究結果を社会や個人の行動を変化させる気づきとして展開しているのが、納得度も高く、いい読後感に繋がったと思う。

幸せというものを理論的に考えてみたい人には是非読んでみてもらいたい。
私のこの感想も、たくさんの人が幸せのメカニズムを理解できる一助になればと思い、ここに記しておくことにする。

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