お利口さんに? やなこった!/赤の不動さま
1997年11月10日(月)
○○に越してきて七日の主婦はうんざりして新聞に投書した。それはなぜかお天気欄に載った。
○○は重くのしかかる鉛色の空から白い雪を斜めに降らせていた。
夫は出ていったきり家を省みない。
自分と子どもはこのうっとうしく寒いところで役所の支配を受けている。
越してきていきなり役所から二十通もの手紙が届き、はじめの窓つき封筒には花束の絵が印刷されていて、大変優しいことばで「命令に従うように」と書いてあった。
次のには、細々とわたしのことが調べられており、「あなたは十分支配に適応できるはずです」と、これまた優しいことばでお墨付きを与えてくれていた。
腹が立った。
こんな表だけがわたしなら、そりゃ楽よね!
勝手に決めつけないでよ!
わたしには他の部分もあるの!
支配は受けない!
全体でわたしだ!
ふざけるな!
9月か10月の夢
寝てたらテレビの上の独楽の招き猫がガタガタ動いて、こわいーって見てるわたしの方に飛んできて、着地したら猫は左手に抱えた黄色の瓢箪も頭上の赤い渦巻き独楽の傘も投げ出して、バタン!
倒れた背中から赤い不動明王の坐像がポン!
背中がなかった、真っ二つに切れて背中が無い不動像だった。
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