取り返さなければならない
1997年9月4日(木)
わたしはひとつきりの荷物─モスグリーンの小さいボール─を置いて休んでいた。静かでよく晴れた日。公共施設のようだった。
学校の机みたいなのが4台、田の字になっていた。机の物入れがとても気になって見ていた。
中に何が・・・。
ボールを、山の女が持っていってしまった。
取り戻さなければ!
ふたりの若い女たちが、山の女はそんなことはしないと言って目と目を合わせた。
「ほら、あの女だ」
山の女が男たちとこちらへ向かって来る。こちらに気づいていない。
きみらが信じなくてもあの女が持っていったんだ。
取り返さなければならない。
あの女は娼婦ではないだろうか。
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