見出し画像

「ごめんね」をいえないまま死別した 双子の物語 〜伝える勇気 〜

これは、とある双子の物語。
どうしても伝えたかった物語。

あるところに、双子が生まれました。
二卵性双生児の女の子。

性格は正反対でしたが、仲もよく、
妹は20代後半で結婚、
姉は仕事人間でした。

そんな二人は一年に一度、
ショッピングへ出かけていました。

結婚して、子供もいた妹ですが、
おしゃれでかわいい女性。

「なんでそんなにおしゃれなの。
 双子なのに、この違い。。。」
 
「えー、響ちゃんもおしゃれじゃん」

いんや、私は知っている。

君が、ショッピングモールでチラチラと
男性から目線を送られていたのを。



こじゃれた店舗で試着中、
気に入った洋服がきつかった妹ゆか。

「え?やせればいいんじゃない?」

何気ない一言で、ユカをひどく傷つけた。
彼女は、体形を気にしていたのだ。

その日一日、しょんぼりしていた。
それ以来、彼女のインスタは
「ダイエット関係」でいっぱいになった。

(どうしよう、あれは私が悪い。言い過ぎた)

姉妹だから許される気軽さ、
姉妹でも許されない言葉。

(なんですぐに、ごめんね言えなかったんだろ)

そうして別れた。

その時は、これが最後になるなんで少しも思わなかった。


ユカは以前、乳がんを発症していた。

状態は落ち着いていたものの、2回目の転移。

危機感をもった彼女は、自費治療の「遺伝子治療」にふみきった。

「大きな腫瘍が小さくなったよ後退してるって!」

そう喜んでいた。
あと数年は大丈夫だろうと、タカをくくていた。

季節がかわって、4月。

仕事中に父からラインが入った。


(ん?平日昼間になんで?急ぎかな?)

目を疑う一言だった。

「たった今、ユカが亡くなりました」

(なんで???よくなったって言ってたのに)

半年前から彼女は、床に伏せていたのだ。

私にだけ知らされていなかった。

そんな優しさほしくない!

憤りを感じても、あの子はもういない。

「ごめんね」

伝えられぬまま、ある日突然、
あの子はお星さまになってしまった。

社長の前で、泣き崩れたよ。

事情を知る先輩は、何も言わずそばにいてくれた。

その日から2週間、私は生きる屍(しかばね)となった。

なにが誕生日占いだ
同じ日にうまれて、
なぜ、ユカだけがいなくなる。
なんで私じゃないんだよ。

ちきしょうめ、
ちきしょうめ、
ちきしょうめ。

「ごめんね」を言ってなかった。

しょんぼりしたゆかの顔。


たった4文字。
されど4文字。

伝えたくても、もういない。
どんなにわめこうが、
死者は生き返らない。

季節がかわるたびに思う。

「流行の色のニットかいに・・・
 あ、もういないんだっけ」

(ごめんね言えてないや)

(あんな顔させたくなかったのに)

毎年後悔している。
きっと、一生後悔すると思う。

「ごめんね」

たった4文字。
されど4文字。

想いはつたえなきゃ。

相手が生きているうちに。
伝えておけ。

絶対に後悔するぞ。
一生、後悔するぞ。
私のように、なっちゃいかん。

照れくさいなら、文章で。

伝えろ。


たった一言が、胸にひびくかもしれない。

ごめんね、
助かるよ、
ありがとう、
がんばって。

今からでも遅くはない。
クリスマスカード、
バースデーカード、
走り書き。


想いは、言葉にしなきゃ
伝わらんのだよセニョリータ。

伝えられるうちに、
伝えよう。

たった一言を。
あの人に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?