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『ウォレスとグルミット、危機一髪』:1995、イギリス

 独身青年のウォレスと飼い犬のグルミットは、窓ふきサービスの仕事を始めた。依頼を受けて、ウォレスとグルミットは毛糸屋を訪れた。羊泥棒のせいで毛糸不足が騒がれているのに、その店は毛糸が一杯。ウォレスは、店主のウェンドレンに一目惚れする。

 ウォレスとグルミットが家に戻ると、何者かに荒らされていた。犯人は、迷い込んできた羊だった。ウォレスは羊にショーンと名付け、家で世話をすることにした。一方、グルミットは「キラー・ドッグ未だ捕まらず」という新聞記事を目にする。

 翌日、ウォレスとグルミットは時計台の掃除に出掛けた。ウォレスはウェンドレン目当てで毛糸屋に向かい、グルミットは店の裏に大勢の羊が隠されているのを発見する。実は、ウェンドレンの飼い犬であるプレストンが、羊泥棒のキラー・ドッグだったのだ。

 グルミットは羊たちを解放し、プレストンに捕まったショーンも逃がす。だが、グルミットはプレストンに陥れられてキラー・ドッグとして捕まり、裁判で終身刑となってしまう。ウォレスはグルミットを脱獄させるが、プレストンに追い掛けられる…。

 監督はニック・パーク、脚本はボブ・ベイカー&ニック・パーク、製作はカーラ・シェリー&マイケル・ローズ、製作総指揮はピーター・ロード&デヴィッド・スプロックストン&コリン・ローズ、撮影監督はデイヴ・アレックス・リデット、編集はヘレン・ガーラード、グラフィック・デザインはリチャード・ヒッグス、アート・ディレクターはフィル・ルイス、音楽はジュリアン・ノット。
 声の出演はピーター・サリス、アン・リード。

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 発明家の青年ウォレスと、頭のキレる愛犬グルミットが登場するクレイ(粘土)・アニメーション映画のシリーズ第3弾。
 アカデミー賞アニメーション部門で、最優秀賞を受賞した他、数々の映画祭で賞を獲得している約30分の短編映画。

 窓ふきサービスの仕事をする時に、普通に拭くのではなく、ロープを体に括り付けたグルミットが逆さになってバンジージャンプのように飛んで、その勢いで上下する動きを利用して窓を拭く。
 そういった動きの面白さが、この作品にはある。

 一目惚れしたウォレスがウェンドレンと語り合っている背後で、逆さ吊りの状態になったグルミットがプレストンに首をつかまれている。ウォレスがウェンドレンの店に入った後ろの窓に、グルミットが現れる。
 そのように、ちょっとしたシーンに可笑しさがある。

 ショーンを自動洗濯機に入れたら故障してしまい、なぜか自動編み機に入ってセーターが出来てしまう。サイボーグ犬プレストンが缶詰製造機に吸いこまれてしまい、プレストン印の缶詰が完成する。
 そういった珍妙なシーンが目白押し。

 今回は大勢の羊が一度に登場するシーンがあったりするのだが、ちゃんと手抜きをせずに動かしている。
 グルミットが鼻をすすり上げるシーンでは、鼻の上にキッチリとシワが作られているなど、そういった芸の細かさが素晴らしい。

 後半に入ると、カーチェイスから工場でのアクションシーンへと雪崩れ込む。飛行機に乗ったグルミットがプレストンを狙い、工場ではサイボーグ犬としての正体を現したプレストンと戦う。
 この辺りの一連のアクションは、テンポもスピード感も文句無し。

(観賞日:2002年6月30日)

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