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何もしない、って深い

Twitter(X)を見ていたら、「レンタルなにもしない人」という人の投稿が流れてきました。

随分と前から、レンタルおじさんとか、そういう人の存在は知っていて、意外と需要があるんだなと思っていて、
たしか最初はドラマ「ゆとりですがなにか」で、レンタルおじさんを知ったと思います。
吉田鋼太郎さんみたいな人が、レンタルできたらビビるだろうなぁと思いながら(笑)そういう存在も必要としてる人がいるんだなと思ったり。

あと北海道を舞台にした某漫画に触発されて、熊を食べるのにレンタルおじさんを利用したという、とある人のレポ漫画で大笑いしたくらい。

そういうレンタルおじさん達は、だいたいは決まった時間に依頼者がしてほしいことをする、のがお仕事のようですが。
なにもしない、を前面に出している人は見たことがなかったので、ちょっと興味があり呟きをさかのぼってみることに。

固定ツイには、
『『レンタルなんもしない人』というサービスを始めます。1人で入りにくい店、ゲームの人数あわせ、花見の場所とりなど、ただ1人分の人間の存在が必要なシーンでご利用ください。
料金は自由。あと国分寺駅からの交通費と飲食代だけ(かかれば)もらいます。ごく簡単な受け答え以外なんもできかねます。』

と、何とも分かりやすく潔い説明が。
料金は自由、というのも面白いですし、実際に1円の利用料だった時もありました。それでも良し、とされているのも興味深い。
それでお仕事が成り立っているのが、色々と深いなぁと思いました。

私が読んだのは、結婚式に相手側の上司に挨拶を頼んだら最悪だったので愚痴を聞いてほしいというお話と、彼女が可愛いので惚気を聞いてほしいというお話。

色々な依頼があるんだなぁと思いながら、それぞれの依頼に対して、完全に赤の他人の私にも、色々と思う事もあり。
ただ、たしかに身内や友人には頼みにくい、といったことばかり。結婚式の愚痴なんて、出席してもらった身内や友人には言いたくないでしょう。
付き合ってる恋人の惚気話も、思いっきりするにはいくら友人でも抵抗がある。この惚気話の依頼に関しては、依頼主が女性だったので、その辺りの話しにくさも、そもそもあるのかもしれないですが。

依頼を見ながら、ただそこに存在してくれるだけでいい、というのを求めている人は、意外に多いのだなと思いつつ。
でももしかしたら、何もしない、ということを求められるのは、何もこの「レンタルなにもしない人」だけではないのかもしれない。などと思ったり。

社会に出たり、家族なり友人なりのコミュニティに属せば、そこでは自分の名前以外にも、○○の妻、○○の幼馴染、○○の従兄弟、などのレッテルはどうしても貼られていく。
その時々で、娘として○○でなければ、とか、婿なら○○しなくては、とか、そういった考えにどうしても縛られる。
それが悪いとは言わないし、もちろん必要な場面はあるだろうけれど、ただの自分として、何者でもない、存在するだけで良い、そんな自分も必要とされていることも、この世の中にはあるのかもしれない。と、感じました。

今はわりとメジャーですが、日本ではあまりアイデンティティについて語られることはないように思います。
そもそもが島国の単一民族国家、自分のルーツがどうとか、国籍とかいう話を、頻繁に聞くこともないからでしょうか。
海外で言われるアイデンティティが、日本人にとっては前提として与えられているイメージがありますが、宗教に寛容な民族性もそのあたりからきている気がします。

話が逸れましたが、あなたは誰ですか、と聞かれた時に、私は○○です。と名前だけ言う人はあまりいないでしょうし、○○に勤めています、○○の孫です、○○の友人です、と何らかの情報を付与すると思います。
それが全くない、ただの自分、という時間も、同じくらい大事なのかもしれない。色々な役割をこなす自分はいるけれど、もしかしたら一番大事にしないといけないのは、ただ○○という名前の自分、何なら名前すら必要ないのかも。


ドリーム先生のエネルギーアートの中に、「何もしない力」というのがあります。
ブログにも書かれていたように、こうしないといけないと思うと、どうしても固くなってしまう、というのはよく分かります。
うまくやろうとか、失敗しないようにとか、何かしようと思えば自然とそう思いますし、もしかしたら失敗するかも、何か起きたらどうしよう、なんて不安になることもザラです。

そんな時に、「何もしない」という選択肢が自分の中にあると、すごく楽だなあと思うし、それでもいいんだな、と余裕がうまれる。
何よりそれは自信になるし、自信は生きる力の底上げにとても必要なものだと思う。
その時にこそ、自分の力が発揮されて、今、自分がその瞬間に存在する意味がある。

と、思えたら楽しいし、嬉しいですね。

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