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「止まれない12人」に元気をもらう

2017年8月30日から9月3日まで新宿シアターサンモールで上演された「止まれない12人」。今年5月上旬、DVDをゲットしてからこの作品には大変お世話になっている。元気がない、憂鬱、なにも考えたくない…そんな時に自分に聞いてみる。

「止まれない12人を見るだけの力はあるか?」

決してこの作品を貶しているのではない。何回見ても面白いし、回数を重ねるごとに登場人物たちへの関心が深まっていく。物語の中で全員に焦点が当たって、全員が必要不可欠な存在で、問題がありすぎるように見える登場人物たちは実際いるよなあ~というキャラクターだ。うん、まあ、ちょっとやりすぎだけど。しょーもな、と笑いながら、山形弁に爆笑しながら、流れていくニュース掲示の精巧さに感心しながら、激しい揺れに耐えながら、海底駅で一緒に降りる。そんな登場人物たちのやり取りを2時間半見た後、私は、「こんな人たちもいるんだから、自分も生きてるぐらい許されるな」と思う。実際観終わった後にこんな具体的な言葉は出てこないが、毎回心がふっと軽くなる。構えないで見ることができる作品、というのが正確かもしれない。

山形弁に関して少しだけ書きたい。田上真里奈さんの山形弁は絶妙にポイントを抑えていて、リアルだった。山形は無アクセント地帯と言われていて、アクセントへの注意が薄い方言らしい。(聞きかじった話なのでご注意されたし)例えば橋と箸。関東と関西では逆だとか色々いうけれど、山形の場合はアクセントの違いに大きな意味はない。「橋と箸?え、どっち?」みたいな。「文脈からわかるだろ」という意見が多数、みたいな。そのくせ、イントネーションには独特のものがある。意味が分からない単語が多いというよりも訛りで成立している方言、という感じだろうか。そのイントネーションが田上さんはうまかったのかな、と思う。聞いていて、ああ、こういう山形県人もいる、と納得するしゃべりだった。超現実的なことを言えば、さすがに20代女性にしてはきつすぎるので、希少だね!という感じである。あの訛り方なら60代~くらいかな…福岡県出身とのことだったので、どうやってあの訛りを手に入れたのかとても気になるところである。

つい方言について熱く語ってしまったが、キャラクターの大渋滞を超えて、最後はきちんと成立する作品である。面白いだけでは収まりきらないが、あー笑ったーと言いながら見終える。とんでもない爆弾を残すことなく、綺麗にフラットにして作品を見終えることができる。なかなかそういう作品に出合ってこなかった私にとって、大変貴重なありがたい作品だ。これからも何回だってみるだろう。そして明日の元気をもらうのだ。DVDが擦り切れないことを祈るばかりである。


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