海苔の「黒さ」と味・食感
こんにちは!味香り戦略研究所です。
海苔にも旬があることをご存知ですか?冬から春にかけて収穫され、収穫時期によっても色が異なるそうです。冬の海は栄養塩が豊富なため色が濃くなり、春に近づくにつれて色が薄くなっていくのだそう。これは海藻の海苔の話ですが、板海苔になってから等級をつけられるときにも、海苔の色は大切な要素です。
そこで今回は、ビジュアルアナライザーを使って海苔の色を測定、その「黒さ」を数値化しました!さらに味分析と食感分析を行い、色と味・食感に関係があるのか探ってみました。
海苔の「黒み度」を測定
市販の焼海苔を10枚重ね、ビジュアルアナライザーで測定しました。ビジュアルアナライザーでは色の割合を測定することができ、色はL*a*b*の値で数値化され、その値によってカラーコードが定められています。
今回は、海苔の「黒み度」を知りたいため、まず各カラーコードのL*a*b*の値から、カラーコードごとの「黒み度」を算出。ビジュアルアナライザーの測定結果の割合から加重平均を求めて、海苔全体の「黒み度」としました。
全部で8種類の海苔を測定した結果、「黒み度」が70以上のグループと60以下のグループに分かれました。
各グループから代表海苔を選出し、ビジュアルアナライザーの結果を比べてみます。
海苔の色測定結果から、全体の1%以上を占める色について、その割合をグラフにしました。
黒み度78の海苔は、L*=18.7, a*=7.7, b*=3.0(カラーコード1075 dark grayish reddish brown)が飛び抜けて高く50%を超え、他の色は10%を超えませんでした。
黒み度56の海苔では、3種類の色が目立ちますが、30%を超える色はありません。たくさんの色が見られるということは、色合いが一定でなく色ムラがあると考えられます。
代表海苔以外の海苔も、同様の傾向が見られました。この結果から、黒み度が高い海苔は色ムラが少ないのではないかと思われます。色ムラについては、同じデータをツリーマップにするとわかりやすいのではないでしょうか。
海苔の「黒み度」と食感
続いて、海苔の食感を測定しました。
「黒み度」が高い海苔は硬さが低い=柔らかいことがわかります。
海苔の「黒み度」と味
さらに、味も測定しました!
「黒み度」が高い海苔の方が、うま味が強いという結果となりました。
「黒い」海苔は「旨い」海苔?
ここまで、海苔の「黒み度」に注目して分析してきました。結果、「黒み度」が高い海苔は柔らかく、うま味が強いという傾向があることが機器測定でもわかりました。
やっぱり、海苔は黒い方がおいしいのでしょうか?
実は、そうとも言い切れません。
海苔を食べるときはどんなふうに食べるでしょう。そのまま海苔だけを楽しむという場面は少ないのではないでしょうか。
手巻き寿司に使ったり、ラーメンなどに添えたりと海苔はおいしい脇役にもなります。真っ黒でない海苔は硬さがあるため、手巻き寿司などに使っても破れず、しっかり形をまとめてくれるでしょう。スープに入れても崩れにくいと考えられます。
海苔そのものをダイレクトに味わいたい!というときは、黒い海苔の方が柔らかいため食べやすさもあり、おすすめです。うま味がしっかりあり、海苔だけを食べても満足感がありそうです。
今回、ビジュアルアナライザーによる色の測定から、海苔は色合いによって食感と味の傾向が異なることがわかりました。目立たない存在になりがちな海苔ですが、特徴に合わせて使い分け、おいしさを存分に引き出してください!