インスタントラーメン〈しょうゆ味〉の味のトレンドを追う
こんにちは!味香り戦略研究所です。
今回は、即席麺(しょうゆ味)についてレポートします。
ラーメンには塩、みそ、とんこつ…いろいろありますが、実はこの中で一番人気が「しょうゆ味」。ということで、味香り戦略研究所が毎年分析する商品からインスタントラーメンのしょうゆ味をピックアップし、2010年〜2023年の間に味がどのように変化したのか、データで見てみます。
世界で愛される日本生まれの罪な味?
インスタントラーメンの元祖といえば、チキンラーメン!
日本生まれの即席麺は今や世界に広がっています。最近ではコロナ禍があり、家で手軽に食べられるためか日本国内でも大人気!2022年度の国内需要は前年度比+1.8%の59億9141万食と過去最高を更新しました。
大いに愛されているインスタントラーメンですが、ヘルシーな食べ物かというと決してそうではありません。特に、塩分は注意が必要とされ、スープを残して過剰摂取を避けようという話も。
2020年改定「日本人の食事摂取基準」では1日の推奨塩分摂取限度が男女とも0.5g少なくなり、男性7.5g未満、女性は6.5g未満。WHOの定めるところではさらに厳しく、1日あたり5g未満とされています。
ちなみに、2019年の調査では実際の食塩摂取量は男性10.9g、女性9.3gとかなりオーバーしていますが、2009年〜2019年の変化を見ると減少傾向にあり、消費者も塩分摂取量を意識していることがわかります。
このトレンドにはインスタントラーメン側もしっかり対応しており、2023年は「カップヌードル 塩分控えめPRO 1日分のカルシウム&ビタミンD」や「サッポロ一番 減塩 しょうゆ味」などの減塩商品が登場しています。
しょうゆ味vs減塩しょうゆ味 味比較
通常の「しょうゆ味」と「減塩・しょうゆ味」は、どのように味が違うのでしょうか?味覚センサで測ってみると、見事に「塩味」がとても弱まっていました!
うま味やうま味の余韻が強くなっているのは、うま味によるおいしさの増強とうま味の減塩効果を狙ったものと考えられます!
味噌汁にうま味調味料を適量添加すると、よりおいしく感じられると言われています。これは、うま味物質がプラスされたことによって口の中で感じられる香りが強くなり、味わい(風味)が強くなるためです。
インスタントラーメンでも同じように、うま味を強くすることで香りを含めた全体的な風味を強めることで「塩分控えめ、だけどおいしい」ラーメンに仕上げていると考えられます。
〈しょうゆ味〉13年間の味の変化
さらに、しょうゆ味インスタントラーメンの市場全体の味わいの変化を観察すると、味のトレンドが見えてきました。
図は、味香り戦略研究所が蓄積している味データからインスタントラーメン(しょうゆ味)の商品133点分を解析し、年代ごとに味のバランスを示したものです。
年を追って、うま味とうま味の余韻が強くなり、塩味が弱くなっています。このことから、インスタントラーメンのしょうゆ味は時代とともに塩味が強い味わいから、あっさりとした穏やかな味わいに変化し、代わりにうま味やその余韻を際立たせた味わいが多くなっていると読み解けます。
まとめ
今回、インスタントラーメンの中でも一番人気のしょうゆ味について、2010年〜2023年の味データを解析し、塩味が弱くあっさりしながらうま味が際立つ方向に変化している味のトレンドが見えてきました。
このトレンドには、消費者の健康志向の高まりにきちんと対応し、減塩を実現しながらおいしさも追求するというメーカーの努力が窺えます。
「うま味によるおいしさの増強」と「うま味の減塩効果」は、普段から活用できそうです。減塩お味噌汁は出汁を濃いめに作ってみるなど、自分でも試してみたいテクニックです。
消費者の減塩に対する意識は、2016年に味香り戦略研究所でアンケート調査を行っています。調査では、減塩商品に対する消費者の厳しい視線が見えました。こちらも参考にご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!