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ほんとうの性被害者の声

【復刻】JFNY  Justice For Noriyuki Yamaguchi 

 令和電子瓦版様では、実際に暴力的な被害に遭われた木村陽子さん(仮名)が取材にしっかりとお答えになっておられました。かつて存在したJFNYのサイトでも、同サイトを信頼いただき、ご連絡を賜ったほんとうの性被害者の方がおられました。何度かメールを交換させて頂き、こちらからの不躾な質問にも丁寧に快くご回答いただいたのでした。
 木村さんがそうであったように、この方も自身が受けた被害に真っすぐに向き合い、加害者を有罪にまで持って行きました。被害を正確な文章で表現されるだけの気丈さと知力が文章から伺えます。また、何としても偽りの被害者を許すべきではないという「公益」に基づく憤りも。
 最も埋れさせたくなかった記事をnoteにて再掲させて頂きます。

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 私は、「レイプドラッグ」の被害に遭った者です。道のりは長かったですが、加害者は逮捕・起訴され、裁判では実刑判決が下されました。私自身、被害者参加制度を利用し、裁判にも参加しました。状況は伊藤さんのケースと似ていますが、私はこの女性の言動に共感どころか疑問と怒りしか感じません

 また、彼女を性被害の代表者やカリスマのように持ち上げて報道するメディアにも怒りを覚えます。この女性がちょうど海外メディアに出演し、笑顔で日本批判をおこなっている陰で、私も他の被害者の方も、自分たちの事件を闘っていました。そして、最終的に彼女が批判する警察・司法に助けられました

 Black Boxは読んでいませんが(買って読むほどの価値はないと思い)、このサイトでも指摘されているように、不可解な内容が多すぎると思います。特に警察の捜査についての記載は理解に苦しみます。

 この事件については、ずっと違和感を持っていました。昨年12月に第一審の判決が出た際、SNS上ではこの女性のことを何一つ疑うことなく、判決は妥当だという書き込みを沢山目にして、同じ「性犯罪被害者」の勝訴を喜べない自分はおかしいのかとも思いました。このサイトを通じて同じように疑問を持たれている方が沢山いらっしゃることを知り、安心しました。

 私自身、約3年ほど前に登録制の婚活アプリで知り合った男と飲食した際に睡眠薬を入れられ、自宅で被害に遭いました。婚活アプリで出会ったこと、初対面であるにも関わらず気を許して飲酒したことに対して、「被害に遭っても仕方ない」と思われる方も少なからずいらっしゃると思います。ですので、男性と二人で夜に会い、飲酒したことに対しては伊藤氏を批判することはできませんし、その点に関して批判する権利は私にはありません。

 私が実際に「被害者」として経験したこととBlackBoxの内容を照らし合わせて、まず一番におかしいと思ったことは、警察の捜査中、それも犯人の逮捕前に検事が登場することです。私自身、初めて検察官に会ったのは、加害者が逮捕されてから約2週間後(GWを挟んでいたため通常より遅いのかも知れません)、検察で調書を取られた時でした。それまでは担当の刑事さんとしか連絡はとっていません。また、起訴前は警察、起訴後は(公判前の打ち合わせを除いては)検察事務官を通じて連絡をしていたので、検事さんと電話で直接連絡を取ることは一切ありませんでした。

 警察で捜査が開始される前と初めて検察庁を訪れた際に「被害者の手引き」なる冊子をそれぞれでいただきました。恥ずかしながら、実際に自分が「被害者」となるまで、起訴という言葉の意味さえも知りませんでした。その手引きに刑事手続きの流れ等々、犯罪被害者が知っておくべき事項が記載されており、検察が捜査のどの時点で登場するか、それを見れば明らかです。

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 伊藤氏も、私が受け取ったものと全く同じものではないにしろ、同様の手引きを受け取っているはずだと思いますが、目を通していないのでしょうか。著書に登場するM検事の存在の矛盾は調べれば明らかです。読者は全てが「刑事手続きを知らない人」「実際の犯罪被害者」以外を前提に書かれているものなのでしょうか。また、副検事の叔父がいるのであれば、M検事が登場する場面だけでも、内情をよく知っている彼に本の出版前にチェックしてもらわなかったのでしょうか。考えれば考えるほど謎です。

 また、被害に遭った後の心理として、私もそうでしたが、お酒を飲み過ぎてしまったのではないかとか、自分の記憶のない間に合意してしまったのではないかなど、自分の落ち度を探しては自分を責めてしまう傾向にありますが、伊藤氏は意識を失った後も、自分の言動に余程自信があるのか、自責の念に駆られているようには思えません

■警察にはいつ届け出たのか

 私が警察に届けたのは、被害にあったと認識した翌日です。意識がはっきりしてからは気が動転していて、何をしたら良いか分かりませんでした。友人に電話して事情を話したところ、身体が心配だから産婦人科を受診しピルを処方してもらうよう勧められました。全てが気持ち悪かったので、シャワーを浴びてシーツを洗濯し、部屋を掃除しました。その日は日曜だったので、日曜でも開いているクリニックを探し、遠方まで向かいましたが、受付時間を過ぎてしまったため受診できませんでした。

 当初、警察に届けても無駄だと思っていたこともあり、被害を届け出ることはあまり考えていませんでしたが、たまたまその日の夜に連絡をくれた元同僚(加害者と会うことを事前に話していました)に話したところ、警察に届けた方がよいのではないか、と助言があり、翌日仕事終わりにクリニックでピルを処方してもらい、その足で当時の自宅最寄り駅の交番に相談に行きました。

■ドラッグの検査はいつ、どのように行ったか

 検査は被害に遭ってから約3ヶ月後に毛髪鑑定により行われ、検査を受けた約1ヶ月後に睡眠薬が検出されたという結果が出ました。

 毛髪鑑定を受けるに至るまでの理由は長くなるので、かいつまんでお話させていただきます。睡眠薬は、摂取後3日までは体内に残り、尿検査で検出される可能性があるそうです。私の場合、最初の相談の際に尿検査は実施されませんでした。(私もその当時、尿検査について知識がありませんでした。)その一週間後、証拠がないため事件化できないということで一旦捜査は終了しましたが、被害から約2ヶ月後に告訴することになり、前回とは別の刑事さん(女性)に担当いただくことになりました。尿検査を受けていなかったため、証拠保全に刑事さんも頭を悩ませておられたようですが、大阪府警科捜研で毛髪鑑定の研究をされていることを教えていただき、検査を打診されました。まだ実験段階で、必ずしも検出される確証はありませんでしたが、望みを託して検査を受けることにしました。その結果、毛髪から睡眠薬と抗不安剤の成分(ゾルピデム・アルプラゾラム)が検出されました。

 毛髪鑑定について記事にされています。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO34621900X20C18A8AC1000?s=5

 記事では「数ヶ月前」との記載ですが、場合によっては数年前まで検出可能のようです。私が検査を受けたのは2017年12月ですが、研究実績はそれ以前にもあるようです。

https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24915015/

 この検査は大阪府警と警視庁でのみ受けられるとのことです。

■警察でダミー人形での現場再現はあるのか

 ダミー人形を使っての現場の再現はありました。ただ、人形は被害者役で加害者役は警察官(私の時は女性)が演じられたので、私はその場で被害の状況を細かく伝えることしかしていません。(仕事とは言え、女性にポーズをとってもらうのは申し訳ないとも思いましたが…)

■有罪判決を勝ち取った決め手は?

 加害者が私以外にも複数の女性に対して同様の犯行を重ねていたことが、逮捕後の取り調べで分かりました。2件で再逮捕され、うち1件が追起訴されました。もしかすると私の1件だけでは執行猶予付きの判決が下されていたかも知れません。

 確かに警察の性被害者に対する対応には、いまだ改善が必要な部分があるのかも知れません。私自身「性被害者」として、警察での配慮は十分感じましたし、刑事さんは裁判が結審するまで気に掛けてくださいました。担当して下さった刑事さん、警察関係者が運良く良い方だったと言ってしまえばそれで終わりですが、全てにおいて批判されるものではないと思います。一度は事件化できないと言われましたが、最終的に警察に救われました。悪い面ばかりが強調されるのではなく、私のように警察に救われた人間がいることも知っていただきたいと思います。

 幸いにも私のケースは裁判で加害者の実刑判決が下されました。自分自身、性犯罪の被害に遭ったのは不運なことで、この先も被害の全てを忘れることはできないと思っています。ですが、事件のことを何かの言い訳にしたり全てをマイナスに捉えず、踏み台にして次に進んでいこうと自分に言い聞かせています。

 比べるのは良くないことかも知れませんが、伊藤氏は自分の成功のために、人を欺き陥れているようにしか思えません。無名だった女性がいつの間にフリージャーナリストを名乗れるようになったのでしょうか。山口氏も言っていたように、彼女はこの一件で得たものが多すぎると思います。

 このサイトでBlackBoxの闇が晴らされ、控訴審では正しい判決が下されることを願います。


追記: 実は、毛髪鑑定で可能になったことが記事になった時に、伊藤詩織氏がこの話題について何か発言するのを待っていました。あれだけ疑っていたレイプドラッグの証拠保全が一歩前進したのだから。ところが彼女は発言するどころか、(と言うより、完全に知らない、興味がないのだと思いますが)いつの間にかレイプドラッグについての言及を止め、話題を「性的同意」にシフトしています。そして、引き続き自分の体験を自分の都合の良いようにねじ曲げながら、雑誌やメディアで語り続けています。ジャーナリストであるなら自分の体験を語るだけでなく、自身も国内の性被害者の話に耳を傾け、それを記事にするべきだと思います。以前どこかで、「声なき声を届ける」のが自分の役目であると言っていましたが、声なき声を全て消しているのはあの女性自身です。「#metoo運動の先駆け」である彼女は、他人の被害には興味はない人間なのだと思いました。だから私は、#metooという言葉が嫌いです。

私の話をHPに掲載していただいたことで、多くの人の目に止まり、少しでも何かの役に立てば良いと思います。