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幻の司法記者クラブ会見 文字起こし

 時計の針を4年前まで巻き戻してみよう。司法記者クラブでの記者会見(2017.5.29)は、伊藤詩織さんにとって初めての会見であり、同年同月の週刊新潮の取材(5日)→週刊新潮の初報(10日)を経て、いよいよ表舞台に登壇する重要なマイルストーンだ。
 この時、私たちは後に山口敬之氏が語った密室の詳細はおろか、ピアノバーのことも喜一で裸足で歩いたことも、まだ何も知らない。朝の動画流出もまだなら、もちろんつい3週間ほど前に新潮に「あれ、(衣類を)捨ててなかったんだ」と言ったことも。
 会見の動画は事件の検証にとっても重要な位置づけとなる。ところがこの動画は今現在、ネットから悉く削除されて我々は見ることができない。動画はなぜ削除されたのか。以下は当該会見動画の貴重な文字起こしです。削除のヒントがあるかもしれません。どうぞ。

*****

2017年5月29日 伊藤詩織氏記者会見
(*この時点では氏名の内、名前のみ公表)

00:00:11
<東京新聞>:
 幹事社の東京新聞です。先ほど代理人の方からもお願いがありましたが、再度お願いとご協力をお願いいたします。上の名前は伏せてください。下の名前が詩織さんのみ。顔の撮影のほうは本人が許可されております。では、よろしくお願いいたします。

<代理人(男性)>:
 最初にお手元の会見文の一部を詩織さんのほうから「読み上げたい」」ということですので、読み上げていただきたいと思います。

00:00:48
<詩織>:
 本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。最初に今回こうして記者会見をさせていただこうと思いました決意についてお話しさせてください。
 
 私は2年前レイプの被害に遭いました。その際、性犯罪の被害者を取り巻いている社会的、公的状況が被害者にとってどれほど不利に働くものなのかを痛感しました。今回、こうしてお話しさせていただこうと決意したのは、そうした状況を少しでも変えていきたいと強く思ったからです。
 警察は当初、被害届を受け取ることすら拒んでいました。理由は「今の法律では性犯罪を捜査するのは難しいから」、また、相手方の山口敬之氏が当時TBSのワシントン支局長で「著名人だから」でした。捜査の過程では被害者として耐えられない屈辱も受けました。しかし、私は警察の方を批判したいわけではありません。高輪署の捜査員の方はある時点からは親身になっていただき、懸命に捜査にあたってくださいました。
 しかし、しかるべき捜査を経て逮捕状も出され、それが執行寸前であったのに、なぜ当時の警視庁刑事部長は現場の捜査員に対して、捜査を取りやめさせたのでしょうか。私が問いたいのは、こうした警察組織のあり方についてなのです。
 私はまた、性犯罪の被害者が治療や検査を受けるために行かなくてはいけない病院の受け入れ態勢や、実際に被害を受けた際にどうすればいいのかを相談する機関のあり方についても疑問を覚えました。こうした状況を根本的に改善する必要があると強く感じています。
 さらに法律についても今国会において共謀罪の審議が優先され、先送りになっている強姦事案の改正案がきちんと取り上げられるべきですし、また、本当にそのような内容で十分なのかについても今一度考えなくてはならないと感じております。
 私が体験したことを皆さまにお伝えすることで少しでも状況の改善や、そのための議論のお役に立てれば。そのように考えて今回お話しさせていただく決断をいたしました。なお、本件については、本日午後検察審査会に不起訴に対する不服申し立てをしたことをご報告いたします。事件の内容については読み上げることが苦しい部分があるので省略させていただきます。配布資料をご参考ください。ただ、はっきり言えることは、その時、私の意思に反して性行為が行われていたということです。これより3頁目の事件後についてお話しさせていただきます。

 事件から数時間後、近くの産婦人科に行きました。避妊もされていなかったため、どうすればいいのか分からず、診察室へ入りましたが、担当してくださった先生は、私の顔も見ず、「何時に失敗されちゃったの?」「外で薬を飲んで」とピルを渡されただけでした。あまりにも機械的な対応により、状況説明ができなかったため、性暴力被害者を支援するNPOに電話をかけ、「別の医療機関を紹介してもらえないか」と聞きました。しかし、そこで「まずは面接しましょう」と言われました。とても落胆しました。ベッドから起き上がることすらできない状況でやっとの思いで電話をかけたのに、最初の言葉が「面接しましょう」では、私と同じ目に遭ってきた方々はその時点で気力を奪われてしまうのではないでしょうか。

 事件について警察は当初被害届を受理してくれませんでした。捜査員の方から「このようなことはよくある話だから事件として捜査するのは難しい」「この先この業界では働けなくなる」「今まで努力してきた君の人生が水の泡になる」などと言われ、被害届を出すことを考えなおすように繰り返し説得されました。捜査員の方に「ホテルの防犯カメラを調べてもらえば、私の言っていることが本当だとわかるはずです」と訴えました。そして画像に映った、私の抱えられ引きずられていく様子を確認し、ようやく本格的に事件として捜査に取り組んでもらえるようになったのです。
 2015年6月8日、複数の捜査員が逮捕状を手に成田空港で帰国する山口氏を準強姦罪の容疑で逮捕するために待ち受けていたそうです。しかし、その逮捕状が執行されることはありませんでした。その時私は仕事でドイツにいました。直前に捜査員の方から「逮捕します。すぐに帰国してください」と言われ、日本に帰る準備をしていました。今でも捜査員の方が私に電話をくださった時のことを鮮明に覚えています。それは「いま目の前を通過していきましたが、上からの指示があり、逮捕をすることはできませんでした。私も捜査を離れます」という内容のものでした。驚くべきことに当時の警視庁刑事部長が逮捕のとりやめを指示したというのです。その刑事部長は週刊新潮の取材に対し、自身が逮捕状の取りやめを指示したと認めています。日本の法律は必ずしも私たちを守ってくれるわけではありません当の捜査機関が逮捕状をもみ消してしまうからです
 私はあの時に感じた脱力感を今でも忘れることができません。その後、山口氏は準強姦で書類送検されましたが、最終的に検察は嫌疑不十分として不起訴という判断をしました。判断が出たのは2016年7月22日です。事件から1年4か月の時間を要しました。本件は、私がホテルへ引きずり込まれている様子を証言したタクシードライバー、ベルボーイの証言をはじめ、防犯カメラ、DNA鑑定の結果などが捜査の過程で明らかになりました。私はこの不起訴には納得できず、独自に本件の調査を進めました。そしてようやく本日、検察審査会の申し立てに至ったのです。

 私は日本に暮らしているすべの人々におうかがいしたいのです。このようなことを見逃し続けて本当にいいのでしょうか。この2年間、なぜ生かされているのか疑問に思うことがありました。レイプという行為は私を内側から殺しました。レイプは魂の殺人です。事件後私はジャーナリストとして真実を追いかけることに集中しました。そうせざるを得なかったのです。被害者として自分に真正面から向き合ってしまうと精神的に押しつぶされそうだったからです。仕事は自身を守る唯一の手段でした。

 そんな時、世界報道写真展でメアリー・F・カルバートさんが撮ったレイプ被害者とその家族を追った写真を目にしました。そこにはレイプされた女性の日記がありました。それはリストカットされた絵とともに「IF ONLY IT WAS THIS EASY ― 自殺することがこんなに楽だったらー」というメッセージが書かれていました。彼女は自殺しました。彼女の痛みがよく分かります。彼女はもうこの世界には存在しないけれども、その写真を目にし、彼女のメッセージを受け取ることができました。レイプがどれだけ恐ろしく、その後の人生に大きな影響を与えるか(*涙声)、伝えなくてはいけないと思いました。初めて被害者の一人になって、その声がとても小さく、世間にそうした声を届けることがいかに難しいかを体験しました。同時にジャーナリストとしてこの問題と向き合う必要があると思います。私がこの仕事をしていなかったら、諦めていたかもしれません。同じ経験をし、傷つき、押しつぶされて諦めた人々は(*涙声)、これまでも、今この瞬間も多くいると思います。

 今回、この件について取り上げてくださったメディアはどのくらいありましたでしょうか。山口氏が権力者側で大きな声を発信し続けている姿を見た時は胸が締め付けられました。この国の言論の自由とは何でしょうか。法律やメディアは何から何を守ろうとしているのか、私は問いたいです。

  今まで世界60か国、今まで世界60か国ほど・・・、ごめんなさい。今まで世界60か国ほど渡ってきました。それでこれまで「危険な目に遭ったことはないか」という質問を受けたことがあります。その中にはコロンビアのゲリラの取材であったり、ペルーのコカイン・ジャングルの取材であったり、危険だろうとされる場所での仕事もありました。しかし、残念ながら実際に自分の身に危険が降りかかってきたのは安全のはずの母国・日本でした。私の一番の願いは、今後同じ思いをする方が出てほしくないということです。このまま沈黙し、法律や捜査のシステムを変えないのであれば、私たちはみなこの犯罪を許しているのと同じではないでしょうか。私からは以上になります。あらためて本日はお時間をいただきまして誠にありがとうございます。


00:12:13
<東京新聞(幹事社)>:
では、各社さんどうぞ、お願いします。

<江川紹子>:
いいですか。フリーランスの江川紹子と言います。よろしくお願いします。
<詩織>:
よろしくお願いします。
<江川>:
検察のことについてうかがいたいんですけれども。この時系列表の中に、「本人が担当検事と初面会、2、3度面会」と。この本人というのは詩織さんご自身のことだと思うんですけれども、この面会の時には、いわゆる事情聴取というんですか、被害の状況を聞かれたとか、そういうようなことだったのかというのがひとつ。それからもうひとつは、不起訴処分に対して検察からはどのような説明があったのかということを教えてください。
<詩織>:
2015年10月の検事との初面会についてですか?
(*隣の弁護士に小声で「どのようなことを言ったらいいですか?」
  弁護士「どのようなことを聞かれたか、という事件聴取ですね」)
そうですね、すでに捜査を、ほとんどされていたあとに検事とお会いしたんですけれども、なのでほぼ内容確認についてですね、お話しさせていただいたのは。
<江川>
調書、被害者の●●で作るとか、そういうことはなかったんですか、検察では。
<詩織>:
そういうこともありました、はい。
(*隣の弁護士に小声で「それが一回目だったか、二回目だったか覚えていない」
  弁護士「それは大丈夫、大丈夫」
<江川>:
1回目か2回目かどっちか覚えていない?
<詩織>:
ごめんなさい、覚えてないです、はい。
<江川>:
調書はできているわけですね、被害者としてのね。
<詩織>:
はい。
<江川>:
それから、不起訴の時の説明ですね。検察官、検事からどういう説明があったのか、ということを教えてください。
<詩織>:
(*隣の弁護士を示しながら)
私は先生からおうかがいしたんですけれども、嫌疑不十分で不起訴ということをうかがっております。
<弁護士>:
詳しい説明はありませんでした。
<江川>:
結論だけですか?
<弁護士>:
そうです。

00:14:17
<朝日・フジワラ>
朝日新聞のフジワラと申します。
<詩織>:
ありがとうございます。
<朝日・フジワラ>:
この時系の、いま読み上げられた中で、「独自に本件の調査を進めた」と書いてあるのですが、どのようなことをやって、ご自身で何かあばき出したことというか、分かったことというのはどのようなことがあったのかを教えていただけますか。
<詩織>:
分かったことは何点かあります。ただ、この場で申し上げることができないので、また別の機会、もしくは了承を得てからお話しさせていただきたいと思います。

00:15:10
<タケウチ記者>:
「田中龍作ジャーナル」のタケウチと申します。山口さんが、直前で逮捕が取りやめになったという理由についてどうお考えですか。私の推測では安倍首相と親しい記者さんであるからだととらえているんですけれども、ご本人のお考えはどのようなものでしょうか。
<詩織>:
取りやめになった理由ですか?私の考え?
<タケウチ>:
そうです。
<詩織>:
正直に申し上げますと、あのー、週刊新潮さんが中村氏にインタビューするまで、彼が指示を出したということもはっきりは分かっていなかったんですけれど、指示を出すのであれば彼であろうということは考えておりました。ただ・・・。
(*弁護士に小声で「どこまでお話ししていいんだろうか」
 弁護士「どう思っているかってだです(ママ)から、別に」
<詩織>
そうですね、ただ、本当にシンプルに申し上げますと、もうそこの逮捕に行くまでもいろいろなこと、被害届を出すことを断られたりですね、拒まれたり、いろいろなことがあったので。
<タケウチ>
そういったのは一般的にもレイプ被害の人はあると思うんですが、今回、とても注目を浴びているのは、山口さんが安倍首相と親しい記者さんだからなんです。
<詩織>:
その点に関しては私も・・・、私の知りえない何か上のパワーがあったと思っております。
<タケウチ>
上のパワーがあった。
<詩織>:
はい。ありがとうございます。

<テレ朝>:
今のと関連するんですけれども、テレビ朝日モーニングショー●●です。刑事部長が逮捕を取りやめるのを指示したというのは、当時誰かから聞いたわけではないんですか?
<詩織>:
そういうわけではありません、はい。ただ警察のトップの方からストップがかかったというお話しが当時の捜査員の方からありまして、とてもこれは異例なことである、で、その捜査員の方ですら、何が起こっているのか分からない、ということで、私も独自にどのような構成(ママ 構造?)になっているのかということを考えた時に、中村氏の名前が頭をよぎりました。
<テレ朝>:
その後独自で調べていらっしゃったということですけれども、きょう●●されました。どうして今なんでしょう?
<詩織>:
はい。まず事件が起きてから不起訴の結果が出るまで1年4か月を要しました。それから、一番最初に行ったことは証拠開示の請求でした。そこに数か月を要しました。それから検察審査会の書類をまとめたりですね、それに時間がかかってしまったんですけれども。

<日本テレビ・イイズカ>:
日本テレビのイイズカと申します。今回、検察審査会に申し立てをしようと決断した理由と、今回、性犯罪で顔出しでというのはなかなか珍しいことだと思うんですけれども、あえて顔を出されて取材に応じられている理由を教えてください。
<詩織>:
まず不服申し立てをした理由についてですが、やはりその不起訴の結果に・・・、結果が私にとってはとても受け入れられるものではなかったものということと、当初から捜査にあたっていただくまでも時間がかかりましたが、逮捕状が使われず、高輪署から警視庁へ事件が移った、そのあとの捜査に関してもとても疑問に思う点がいくつかありましたので、その点をきっちり私としてもクリアにしておきたい、ということがあり、今回不起訴の不服申し立てをさせていただきました。
 今回、被害者として顔を出して、下の名前だけですが、出してお話ししようと思いましたのは、実は、もう私はお顔を出して実名で行こうと思っていたんですけれども、家族からの反対があり、今回苗字は伏せてということがありまして、今回は名前だけでの、名前だけでお話させていただいているんですけれども。こういった事件、強姦、準強姦の被害者がやはり顔を隠してもらわないと話せないっていう状況にすごく疑問を抱いていて、やはり警察の方の取り調べなんかを受けている時も、「被害者らしく振舞いなさい」という言葉を使われたこともあるんですね。被害者らしくというのは泣いたりとか、怒ったり。で、なのでどこかに被害者らしくしていないといけない、悲しい弱い存在でいないといけない、隠れていなきゃいけない、恥ずかしいと思わなきゃいけない、そういう、まあ、これがすべての状況だとは言えないと思うんですけれども、そういう状態があることについてとても疑問を感じたので、今回は、私は何も悪いこともしてませんし、この件についてもいまお話ししなければ、法律の改正にもつながらないと思ったので、お話しさせていただくことにしました、はい。

00:21:10
<記者(所属不明)>:
その関連なんですけども、やっぱり強姦罪とか性犯罪の法律が変わろうとしているのに、それがちょっと置き去りにされているところがあると。そういう状況もやっぱり今回こういうふうに話そうということに影響しているんでしょうか?
<詩織>:
そうですね。やはり今国会できちんと強姦罪の改正案が話し合われて改正されるべきだと思っているので。で、時間も少なくなってきておりますし、お話しするのはいまだと思いました。
<記者(所属不明)>:
犯罪被害者の方で、実は遺族がですね、自分の子供の名前をちゃんと裁判でだしてほしいと、A子 じゃないということをおっしゃる方も何人か出ていらっしゃいます。やっぱりご自分の名前を出すということに意味を感じていらっしゃるか。これが報道されるときに、A子さんと書かれるのか、それとも詩織さんと書かれるのか、この違いについてどう感じてらっしゃいますか。
<詩織>:
そうですね、まず一つ目に名前を出す・・・、まあ、名前を出すことに何も抵抗がなかったと言えば嘘になりますが、「被疑者(ママ)の女性」と呼ばれるのがとても嫌だったんですね。なので今回名前を出せば、被害者という言葉を使われることは」しょうがないとは思うんですけれども、少しでもそこが軽減されるのかなと思った部分と、やはり先ほどおっしゃっていただいたように、顔を隠されて身分を隠されてお話しすることと、顔を出して名前を出してお話することの違いというのはとても大きくあると思うので、今回実名と顔を出してお話させていただこうと思いました。

<共同通信記者>:
共同通信です。これ、弁護士の方にうかがったほうがいいとは思うんですけれども、山口氏側、向こうもあるとしたら弁護士同士だと思うんですけれども、の方から何か接触であるとか、そういうことはあったんでしょうか。
<弁護士>:
代理人からは何度かお電話いただいています。ただ、具体的に「示談」とか、というお話しはありませんでした。
<共同通信記者>:
向こうから具体的に示談をしたいんだけどという希望は・・・。
<弁護士>:
という、私のほうには具体的なお話しはありません。
<詩織>:
一点、 ひとつ付けたしてもいいですか。今回先生にお願いをしたのが、警視庁に事件が移ってから少し時間が経ってからなんですよね。一番最初に高輪署から警視庁へ事件が移った際に、担当の捜査員の方から「示談をしなさい」と言われました。「この件は起訴するのが難しいから示談しましょう」と言われ、で、それというのも、あちらの弁護士さんから警察のほうからそういう申し入れがあったから。なので、「伊藤さんも弁護士が必要ですよね」と言われ、警視庁の車で警視庁の方々と、警視庁の方が紹介する弁護士さんのところへ連れていかれて示談のお話を勧められました。ただ、その時はお断りして、私は私の先生を見つけなければいけないと思って、それからニシヒロ先生にコンタクトをしたので、それからは、一度断ってからはニシヒロ先生にお願いしているので、という経緯があります、はい。

00:24:52
<フリーランス記者>:
フリーランスのタカザワ(?)と申します。警察から示談を勧められた時はやっぱり背後に何かを感じましたか?背後に大きなものが動いているな、という。
<詩織>:
そうですね。もうその時は逮捕状も執行されませんでしたし、何も驚かなかったんですけれども、やはり捜査にあたるものが、捜査にあたるべき警察が起訴できないので示談をしたほうがいいと話を持ち掛けて、彼らの車で彼らの紹介する弁護士の先生に連れていかれたというのは何かしらの意図があったのではないかと思います。
<フリーランス記者>:
ああ、権力があるみたいなですね。
<伊藤>
はい。
<フリーランス記者>
それともうひとつすみません。大変無神経な質問で申し訳ございません。ドラッグ入れられているという確信を持ったのはどの辺りなんですか?
<詩織>:
はい。一つは私は今までお酒を飲んで記憶をなくしたことがありません。お酒も強いほうだと周りから言われている、ということと。
(*弁護士に小声で相談)
他にも思い当たる点はあるんですけれども、細かいお話しをしてしまうと長くなってしまうのと、少し思い出してしまうので、また別の機会にお話しできればと思います。
<フリーランス記者>:
すみませんでした。
<詩織>:
はい。

00:26:34
<江川紹子>
すみません、たびたび、江川ですけれども、この中に、タクシー運転手さんやベルボーイさんの証言とか、防犯カメラ、DNA鑑定などのいろんな証拠があるんだということが書かれています。これは、どういうことからお知りになった、まあ、警察官が捜査の過程で説明をしてくださったということですか?
<詩織>:
そうですね、はい、そうです。私もしつこく聞く方なので、はい、教えていただきました。
<江川>:
警察は比較的現場の人は最終的には親身になってくれたところもあったような書きぶりだと思うんですけれども、検察の対応というのはどうでしょうか、被害者として。
<詩織>:
そうですね、まず驚いたのが、一番最初に警察に行った時に、警察に行けばすぐにお話しを聞いていただいて何かしら助けていただけるのではないかと。もちろん話すことには勇気も要りましたし、ただ、お話ししてから、やはりこういう件は多い、こういう事件は多いし、起訴するのは難しいのでできません、やめなさいと言われた時はとても驚きました。
<江川>:
それは検事さんですか?
<弁護士>:
検察どう、検察のこと。
<詩織>
あっ、検察、検察の方・・・、あっ、ごめんなさい。いま警察の話をしていました。ごめんなさいもう一度質問を。
<江川>
警察と検察の違いをちょっと聞きたかったんですけど。検事は取り調べとか捜査に関して熱心にやってくれた印象ですか。それとも最初からもうこれは不起訴だみたいな感じの対応でしたか
<詩織>:
そうですね。ええ、とても親身に向き合っていただいたと思っております。なので、レイプドラッグについての可能性も大きく見ていろいろな専門家の方にお話しをしていただいたということもうかがっております。ただ・・・。
(*弁護士と小声で相談・詩織「この間、切り取ったところは言わないほうがいいですね」弁護士「うん、でも、そうですね、ある程度言ってもいいと思うんですけど、納得いかない説明があったというのは」)
一部、やはりされた説明の中で自分の中で疑問に思うことがありまして、それはですね、こういった準強姦罪については直接的な証拠がないといけないということで。彼の言う直接的な証拠というのは、第三者がその現場を見ているか、もしくはそのようなビデオが残っているかということだったんですね。

     (転記者注:この後、数分間質問が続いて会見は終了)