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ベッドA?ベッドB?

- 伊藤詩織事件の闇 -

口頭弁論の10日後にあたる2019年7月18日号で、膝のズレ→擦れと信じられないどシロートぶりを開陳した同じ号で、新潮は法廷でのベッドA/B証言を報じている。山口敬之さんを決定的に不利に追いやったベッド発言である。週刊新潮は法廷のやりとりを以下のとおりレポートした。

 デイリー原文→ https://www.dailyshincho.jp/article/2019/07121845/?all=1

原告代理人)ホテルの居室内でのベッドの移動について伺いたい。ホテルの部屋の中には浴室のすぐ隣りにベッドA。窓側にベッドBがあったんですよね。詩織さんが部屋に入ってベッドについてからのあなたと詩織さんの位置関係を説明してもらえますか? 
山口氏)陳述書に書いています。
原告代理人)書いてありますが、言ってください。まず、詩織さんはどちらのベッドに寝たんですか?
山口氏)ベッドAです。
原告代理人)あなたはどのベッドに?
山口氏)それはいつの話ですか?
原告代理人)寝た瞬間。
山口氏)寝た瞬間は私がそこ(ベッドA)で(詩織さんを)寝かしていますから。
原告代理人)あなたが寝たベッドはどちらですか?
山口氏)ベッドBです。
原告代理人)性行為はどちらのベッドで?
山口氏)ベッドAです。
原告代理人)そうすると、詩織さんはベッドAに寝ていて、あなたがベッドBにいたんだけど、あなたがベッドAの方に行って、性行為をした。そういうことですか?
山口氏)はい。
原告代理人)あなたが事件後に書いたメール甲1号証の25を示させていただきたいんですけども、“ゲロまみれのあなたのスラックスをぬがせ、あなたを部屋に移して、ベッドに寝かしました(とメールに書いている)”。ここで言うベッドというのはベッドAですか?
山口氏)はい。
原告代理人)“そして、トイレに戻って、吐き散らかされたゲロをシャワーで洗い流して、もっとも、ゲロが付着していたブラウスを明朝着るものがないと困るだろうと水ですすいでハンガーに干しました。そして、部屋に戻ると、あなたはすでにいびきをかいて寝ていました。私はあなたの髪の毛についていた嘔吐臭に耐え切れずに別のベッドで寝ました”この別のベッドはBのことですか?
山口氏)そうです。
原告代理人)“その後、あなたは唐突に立って、戻ってきて、私の寝ていたベッドに入ってきました”と書いているんですが、この“私の寝ていたベッド”というのはどちらですか?
山口氏)ベッドAです。
原告代理人)ベッドA?
山口氏)そうです。
ここで、傍聴席からざわめきが起こった。というのも、寝ていたベッドがいつのまにかBからAに移動しているからだ。これに対して、山口氏は以下のように釈明している。
山口氏)(この“寝ているベッド”というのは、)“この私のホテルの私が寝ているベッド”という意味です。というのは、ベッドBというのは、私、そのベッドカバーを壊してないんですよね。ひとりでしたから。ですから、ここのニュアンスは当時、妊娠してしまった、働けなくなる、というメールがきている伊藤さんに対して、私の泊まっている、私のホテルに、あなたが酔ったせいで結果的に、私のベッドに入ってきたんだと責めるために書いたものですけど、ここ、表現が不正確かもしれませんけど、それは、私が本来、寝ていたベッド(本来、寝るはずだったベッド)という意味です。
原告代理人)そう読めますか?
山口氏)私はそう書いたんだから。

まず、はっきりしておきたいのはベッドの陳述は、つい先ほどAと言ったその口で次にはBと言ったかのような勘違いも世間にはあるが、これは事件直後の2年前の2015年4月18日(23:51)に山口氏が送信したメールの内容(甲1号証の25)と事実とを比較した場面だ。記事には新潮の印象操作が加わっている。補記した括弧内がちがう。”(この“寝ているベッド”というのは、)”の部分は、正しくは"寝ていた"であり、続く「“この私のホテルの私が寝ているベッド”という意味です。」も大間違い。速記録では「これは私のホテルの私の寝ていたベッドという意味です。」時制がちがう!!この違いは大きい。

「寝ているベッド」といえば、まさにその時に寝ていたことになる。一方で「寝ていた」となれば、昨日まで自分が使用していたベッドという意味にとれる。それより何より、速記録を改ざんしてはダメだろう!膝のずれ→擦れよりはるかに重大な問題だ。

印象操作も悪辣ではあるが、それはさておきメールの内容は、山口氏の証言どおり”責めるために書いたもの”だと筆者は思う。なので見るべきは書いた時の状況だ。本状はメールのやりとりの間に挟まれた一通なのだから、切り取るのではなく前後を見なければ。当該メールの直前で、伊藤さんが突然豹変して「妊娠」を脅してきたことを見逃してはならない。

伊藤さんは江戸川区のまつしま病院で4月17日に不妊を確認した翌日の18日に、いきなり「意識不明の私に避妊もせずに行為に及び」と言い出し、「妊娠」の恐怖を訴えはじめた。伊藤さんを擁護する方々もここで無理にでも想像してみてほしい。仮に伊藤氏にとっては「合意のない性行為」だったとしても、山口さんは「合意」を疑っておらず、氏にとってメールの内容は寝耳に水だったとして・・・。もしも山口さんが悪辣な人物なら性行為そのものを否定することだって出来ただろう。そこは正直に認めているのにナナメ45度から青天の霹靂である。ふつう善良な男性ならば頭が真っ白になるのではないか。そんな場面で山口氏が、げっ!こんな内容が文字で確定したら大変なことになる!と慌てて多少不正確で意地悪な返信をしたとして何の不思議があろうか。

意地悪どころが、ここで全てをぶちまけたら良かったのにと筆者は残念なくらいだ。山口さんは優しさと上品さがいつも仇になるが、文意はあくまで相手の言い分をトータルに打ち消すこと--「意識不明のあなたに私が勝手に行為に及んだというのは全く事実と違います。」なのだ。

しかし、それよりも更に奇妙なのが伊藤さんの返信だ。もしも「私のベッドに入ってきた」と事実無根の内容を告げられたのだったら、受け取った側は徹底的に反論しないだろうか?たとえブラックアウトで覚えていなかったとしても、「嘘を言わないでください!」とか「そんな事を私がするはずはありません!」とか。ところが伊藤氏の返答はちがった。

   まだ生理が来ていないので不安で仕方がありません。
   寝ても覚めてもこのことで頭がいっぱいです。
   何故妊娠することはあり得ないなどと言えるのですか?
   理由を教えてください。
   2015-4-24 11:48 

???。山口さんの文面には一切触れることなく、生理が来てない?この噛み合わなさ!butやたら強気だ。このパターンは、まるで伊藤擁護派とのネット論争のよう(笑)。あえて噛み合わせず、避妊具なしという相手の落度(それも承知の上だった。だから後から英語で独り言を言ったのだが)をグイグイ突いてくる。言質をとりに来ているのは誰にでも分かる。このメールから伊藤さんは人が変わったように怒涛の「妊娠」攻撃に入り、膝がずれたともはっきりと言っている。交信は氏の居場所をつかむために警察から囮捜査を頼まれた?ウソである。伊藤さんは山口氏にコンタクトをとり続けているし、しかも著書BBでは、伊藤さんがA捜査員に頼み込んで不承不承、認めてもらったと書いているのに。

妊娠もウソ、囮捜査もウソ、膝もウソ、これほどのウソの大海に小島のようにポツンと浮かぶ山口さんの不正確な表現が命取りになるなど、あまりにアンフェアではないか。なぜ山口さんにだけ100:0で「一貫性」を求めるのだ?ウソの大海には目を瞑って。友人も友人だ。メール文案は友人たちと共に考案したと伊藤さんは言っているが、彼女たちは山口さんのメールを読んで何かおかしいとは過らなかったのだろうか。もう一度、真偽を問い質してみようとは露ほども思わなかったのか。元キャバ嬢仲間でセクハラで会社を退職したという友人Rは、はなから山口さんの誤魔化しとしか思わなかったのかもしれない。もう一人の友人K(著書ではK、裁判資料ではF)の陳述書を読むと、彼女はすっかり伊藤さんの弁を妄信していたようだ。

友人Kはこのように陳述している。

 この事件が起こる前々から彼女に就職活動に関する相談を受けていました。
 内容は彼女の希望としてはフリーのジャーナリストとして活動したいから企業に就職はしたくないが、ご両親の希望から安定した職について欲しいといわれており、彼女としては興味の無い仕事だが、NY在住の時に知り合ったワシントンTBS支局長の山口氏に自分の経歴を評価され、ワシントンでの仕事のオファーを以前からされていたのでその仕事を受けるべきなのか悩む、というものでした。
私はその話しを受け「とにかく話しだけ聞いてみたら?断るのはその後でもよいだろうし・・・」と返しました。

興味の無い仕事・・・経歴を評価され・・・断るのはその後でもよい・・・まるで熱心に勧誘されたような言いっぷり。話は双方から聞かないと、という見本のようだ。

話を週刊新潮に戻すと、速記録と比較すると文字起こしは杜撰なだけでなく、時制を違える悪意も見える。他にも、「もっとも、ゲロが付着していた」は正しくは「最もゲロが多く付着していたブラウスを」であり、「1人でしたから」の後の「3日の伊藤さんが来るまでは」も抜けていて、随所でいいかげんな箇所がある。膝のずれ→擦れは以前述べたとおり。

週刊新潮は山口さんの「私はそう書いたんだから。」で法廷描写を終えている。ぶっきらぼうで投げやりな口調だ。書いたんだから!書いたったら書いたのよっ!!答えに窮して逆ギレしたかのようにも見える。しかしこれも事実ではない。速記録では「私はそう書いたんだから仕方がないですね。」と、むしろ静かなトーンだ。ニュアンスが全く変わるのだ。

記事に散りばめられたのは膝のずれを擦れと書く、膝イシューも知らぬ者の姑息な小細工である。

#週刊新潮の捏造報道を糾弾します