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杉田水脈裁判における伊藤詩織氏陳述


「事件当時、私は酩酊状態で意識、記憶がないまま性行為をされたため、私自身が被害の証明をすることはできません。」
衝撃で言葉もない・・・。以下、全文をどうぞ。

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原告第1準備書面(令和2年9月14日付け)陳述

              陳述要旨   
                        原告 伊藤詩織

 国会議員は私たちの法律形成に大きく関わる人です。
 私の被害は、民事事件では、一審で「同意がなかった」と判断されました。
 他方、刑事事件では、性暴力の被害を刑法の中で認定されるには、同意の有無ではなく「暴行脅迫」が立証されなくてはならず、このため、起訴にまで漕ぎ着けることができませんでした。事件当時、私は酩酊状態で意識、記憶がないまま性行為をされたため、私自身が被害の証明をすることはできません。私のようなケースは、他の重大犯罪と比べ、今の法制度の下では、法で裁いてもらうことが難しいのだと思い知らされました。
 また、今の社会では、被害を届け出た人への風当たりもいまだに厳しいものがあります。
「ハニートラップ」。
「売名行為」。
「被害妄想」。
 これらはオンラインで杉田氏が「いいね」と指示していた言葉達です。また、インタビューやツイッターで杉田氏が発言した私に対する批判的な言葉も、私の心に突き刺さっています。
 これらはどれも私にとってはセカンドレイプとなる発言です。
 また、杉田氏の「いいね」によって第三者の批判的、暴力的な言葉が拡散され、溢れていく様子も恐ろしく感じています。
 さらに、私を擁護してくれようとした人に対しても攻撃の矢が向き、杉田氏がそれに対しても「いいね」をしている様子は、発言の矛先を向けられている当事者としてとてもつらく悲しいものでした。

 これらが法律を変える力のある国会議員からというものだったことに、衝撃、恐怖さえ感じています。
 杉田氏は、私の事件について、「自分が母親だったなら叱り飛ばします。そんな娘に育てた覚えはない。恥ずかしい。情けない」と述べました。また最近においては、性暴力被害者支援をめぐって、「女性はいくらでもウソをつける」と発言されました。
 杉田氏のこれらの発言は、今まさに被害を告白したいと思っている人を黙らせ、また、親に「助けて」と言いたい人にもそれを言えなくさせてしまうものだと思います。
 私の母親は、ネットに溢れる私に対するセカンドレイプ的な言葉を見るたびに私と同じように傷つきました。しかし母は、私が被害を真正面から訴えたことに対して今は誇りに思ってくれています。
 このように私たちの家族は、事件後、少しずつ前進をしてゆけるようになってきました。しかし世間では、私を攻撃する言葉がネットに蔓延しており、私の人格に対し、職場や日常生活で会った人から誤解を受けることが続いています。
 杉田氏が今後、同じような過ちを大切な人に対してしないで欲しいと心から願っています。
 そして、裁判官の方々には、発言によるこのようなセカンドレイプに対して、私たちのような被害者がはっきりと「NO」と言えるようになるよう、このケースと向き合っていただけたらと思います。      以上