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伊藤詩織事件の闇

- 週刊新潮が痛恨のミス! - 

週刊新潮がベッドA/Bを報じたのは、口頭弁論の10日後にあたる2019年7月18日号だった。ベッドはその後の世論の動向を左右した重大な一件だ。この記事を振り返ろうと読んでいた所、ベッド以外にトンデモない誤報を見つけてしまった!小さいけれど大きなミスだ。

 デイリー原文→ https://www.dailyshincho.jp/article/2019/07121845/?all=1

同誌は「反対尋問は双方、相手方の弁護士から行われるのだが、詩織さんへの反対尋問は苛烈を極めた。以下のやりとりをご覧いただきたい。」として、次のパートを紹介した。

(週刊新潮記事↓)

被告代理人)どうしたら、膝の怪我が起きるのか、教えて頂けますか。(詩織さん)その夜は必死に、これ以上、性行為を続けられないように、必死に膝を閉じ、からだを固くして抵抗していたので。その際に、足を開かれ、揉み合いになった時のことだと私は感じています。
被告代理人)揉み合いになっているのは、ベッドの上ですよね?
詩織さん)はい。
被告代理人)ベッドの上で、膝が擦れるようなことはないと思うんですけど?
詩織さん)その時は、必死に、命の危険を感じながら争っているため、どこでどうなったか説明するのはできません。

おいおい、ちょーまてよ!膝が擦れた??すれたではなくズレただ。ベッドの上で膝が擦れることもあるだろう。だがズレることはまずない。わざとか?それとも記者は膝のズレという本件のビッグイシューを知らないのか?事件を調べた者なら絶対に誤らない種類の誤記だ!一般読者はさほど調べているはずもないので、これを読んだだけでは膝が”擦れた”くらいで何をしつこく問い詰めてるんだろう?と思うのではないか。陰湿な!と思うかもしれない。「苛烈を極めた」と言いつつ、ほら皆さん、こーんなどうでも良い所でネチネチ難癖つけるんですよー、いやですねーと言わんばり。誠にいやらしい誤記だ。

正しくは次のとおりだ。念のため速記録より前後を含めて転載する。

(速記録↓)
被告代理人)「山口氏に上から馬乗りで押さえつけられそうです。このときに膝の怪我を負ったのかもしれない」ということなんですけれども、どうしたら膝のけがが起きるのかというところを、ちょっと教えていただけますか。
詩織さん)あのときは必死に、それ以上、被告から性行為を続けられないように必死に膝を閉じ、体を硬くし、抵抗していたので、その際に性行為を続けてこようとした被告に足を開かれ、そうやってもみ合いになっている間のことだと私は理解していました。
被告代理人)もみ合いになっているのはベッドの上ですよね。
詩織さん)はい。
被告代理人)ベッドの上ではそんな膝がずれるようなことはないと思うんですけど、本当にずれましたか。
詩織さん)そのときは必死に命の危険を感じながら争っているために、どこでどうなったかと説明することはできません。
被告代理人)できなくても、そのときに膝が痛んだと言うことは警察には言ったはずですよね。
詩織さん)はい。
被告代理人)それでも強姦致傷とか準強姦致傷にしてくれなかったと、そういう理解でいいですか。
詩織さん)それは今もおっしゃったように、どの時点で膝が負傷したのかはっきりと言えなかったからです。
被告代理人)言えなくても、その機会にあれば必ず致傷という罪名が付くはずなんですが。それはあなたに聞いてもしょうがないので次にいきます。

ここで被告代理人(北口弁護士)の弁論に少し解説を加えるなら、北口氏は、著書に著された如き暴力的行為があったのならば、本来なら「準強姦」ではなく「(準)強姦致傷」になるはずだと言っている。警察に届け出た時点でケガを訴えていたなら自然「(準)強姦致傷」の容疑になる筈だと。つまり北口氏は著書の記載は”後から盛った”のではないかと暗に問いかけているのだ。

ちなみに(準)強姦致傷の場合は、たとえ強姦が未遂に終わっても「(準)強姦致傷」既遂となる。この点については法廷の北口弁護士と村田弁護士のやりとりが参照できる。「(暴力表現の後は)強姦じゃなく強姦未遂ではないか」と問うた村田弁護士に対して、北口弁護士が「(致傷ならば)強姦が未遂でも既遂とみなされる」と答えている。村田弁護士もそこでピンと来たようだ。

コメント 2020-08-15 062200

また、ケガの程度にも無関係で、たとえ軽傷でも変わりはない。
高畑裕太氏の件が参考になる。
https://habikino-law.com/blog/694/

話を戻そう。裁判所の速記録ではちゃんとずれになっている。読む限りで北口弁護士の口調も難詰調ではないし。わざとでないなら、2017年から毎月のように本件をスキャンダラスに報じて雑誌を売り続けた週刊新潮が、驚くべきことに膝のズレを知らなかったのだ。裁判を傍聴した社員も、執筆担当者も校正係もデスクも・・・どの段階でもひっかからなかった痛恨のミス!週刊新潮は性被害事件には関心がないらしい!!

記事のタイトル「明らかになった菅官房長官の“お願い”」のとおり、彼らの狙いはただ単に事件をダシに政権スキャンダルをばら撒いて雑誌が売れれば良かった。高輪署の不祥事には目を瞑り、ひたすら揉み消しだけをクローズアップして、総理ベッタリ記者などと不起訴となった人物を失礼千万な蔑称で嘲笑い続けたのも、ただただスキャンダルで売れれば良かった、それだけだ。

スレとズレは小さな濁点2つの違いだ。だが小さな違いからまたも彼らの本性を垣間見た思い。

*次稿はベッドA/Bについて。