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鎌倉と茶蕎麦。

私は蕎麦があまり好きではない。
蕎麦麺を啜って噛んだ時のすぐに切れてしまう食感、そした噛んだ後に出てくるなんともいえない味が苦手なのである。
あの味はどう表現したらいいものか、良くも悪くも市販品だと思わせる味であることには間違いないだろう。なにせ、麺を茹でている匂いからもうダメなのであった。

この好みのままで過ごしていたのが、自分が大学生だった頃までの話である。


この好みが少しだけで変化したのは、東京へ旅行に来たついでで鎌倉に来た時のことである。
記憶が定かではないが、確か鶴岡八幡宮へお参りに来た時の事だ。

近くに蕎麦屋があり、そこで昼食を取ることになったのだ。
私は蕎麦屋にも関わらず、鍋焼きうどんを注文していた。一方、一緒に旅行に同行していた親はざる蕎麦を注文。

注文していた料理が出来上がり、私は鍋焼きうどんに舌鼓を打ちながら食べていたのだが、ふと親の食べていたざる蕎麦が気になった。
普通のざる蕎麦とは至って変わらないのだが、一つだけ違っていたのは、蕎麦は蕎麦でも茶蕎麦であったという点である。
茶蕎麦なんて初めて見たものだから、苦手なものはずなのにそれがまた美味しそうに見えたのである。
親に頼み、一口だけ貰うことにしたのだ。

美味しいのだ。蕎麦ってこんなに美味しかったっけ。
市販品のような特有の匂いを全然感じさせないし、麺がもっちりしていて歯応えがいい。なんなら咀嚼して喉を通った後、茶の香りが爽やかに感じるぐらいである。
苦手なものだっただけに、食べる前と後の感想があまりに逆転してしまい驚いたレベルだ。

・・・今考えるとあれって手打ちだったのだろうか。よく分からない。


そして数年が経ち、私は今、東京で生活している。
なにせコロナのせいで、どこにも外出できるような状態ではなくなっているのだが、ふと「鎌倉」の言葉を聞いたときにそこで食べた茶蕎麦の事を思い出す。

たぶん、鶴岡八幡宮の近くにあったお店だったと思うのだが、店の名前をちゃんと覚えていない。でも美味しかったんだよね。

コロナが終息したら、鎌倉に遊びに行ったついでに近くの茶蕎麦を探索してみようかと思う。
どうかお店がありますように。

下の写真は、上記の蕎麦屋でいただいた鍋焼きうどん。
茶蕎麦も美味しかったんだけど、鍋焼きうどんも美味しかったんだよなぁ。
うどんがもっちりしていたし、麺と具材にも出汁が染み込んでいる。天ぷらもさっくりしていたし。食べたい。

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