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読書録008:ヨイショする営業マンは全員アホ

読書録008です。元野村證券の営業で、現在はYouTuberとしても活躍されている宋世羅氏の「ヨイショする営業マンは全員アホ」です。

だいぶエッジが効いているタイトルですが、実体験に裏打ちされた「本当に結果を出すために必要な営業手法」について書かれており、かつ随所に挟まれるユーモアもあり、読みやすい本でした。

社内にも早速共有し、どんどん実践に移していければと思っています。

本書からの抜粋

  • 営業マンに対する世間のイメージに「胡散くさい」「信用できない」「怪しい」といったものもあると思いますが、お客様が営業マンに対して違和感を覚えるのは絶対に「不自然さ」が原因なんです。その不自然さがどこから来ているかを紐解くと、冒頭に挙げた綺麗事の茶番ノウハウにたどりつく。そんなものを参考にしようとするから、ぎこちなくなって、営業成績も上手くいかないのです。

  • 営業マンが商品を提案して断られたら、そこでもう終わり。お客様にとっても、断ることは気持ちいいことではないのでストレスがかかります。商品を提案して断られるというのは、営業マンもお客様も、両方にとってアンハッピー。ましてや、そのアンハッピーな状況から、断られてなんぼなのでもう一回ゴリゴリに提案しますなんていうのは本当にアホな話で、ノーはノーなのだから、そこで終了です。

  • 商談の最後は、お客様に向かって、「この商品がいいと思います」「選択肢は二つありますが、〇〇さんにとってはコレがいいと思います」というふうにクロージングの言葉になりますが、私はこの商談の最後の言葉をプロポーズのようなイメージで考えています。プロポーズをする時って「絶対に幸せにするから俺と結婚してくれ」と言い切ると思うんですよね。要するに、覚悟と責任を示さないといけないということです。センスのない営業というのは、このプロポーズという最大の局面においても、あわよくば相手から告白してくれたらいいのになぁというスタンスでいたりします。

  • 説明が上手くなる方法というのはトレーニングしかありません。つまり、努力で9割方は解決できる。場数を踏めば踏むほど、説明はうまくなっていくので、とにかく練習することです。その練習方法ですが、たとえば、ある商品を売ることになったとして、どうやって説明すればお客様に理解してもらえるかと考えながら、実際に口に出してつぶやくこと。これは、今も私がずっとやっていることです。お風呂の中でも、この保険についてもっと分かりやすい説明があるんじゃないかと、架空のお客様を想定しながらブツブツブツブツやっているわけです。このトレーニングをやると"説明する"ことに余裕が出てきます。つまり、自分がどんなふうに説明しようかと考えながら話す必要がなくなり、相手の反応だけに100%意識を向けられるようになるんです。

  • 自分の意識は、商品を説明することではなく、お客様のほうに100%向かせます。相手の表情や仕草を見ながら「この部分、あまり理解されていないな」とか「早口すぎて、ついてきていないな」と気づけるようになるレベルまで、事前にトレーニングして鍛えておく必要があります。

  • テクニック的なところをもう一つ。これはいやらしくならない程度、バレない程度でやらないといけないんですが、説明をする前に「分かりやすく言うと」とつけてみてください。「説明がとても上手いこの私が、今から分かりやすくお教えしますよ」というニュアンスを相手に伝えるんです。

  • ウィークポイントである値段に関しても、事前に対比で刷り込んでいきます。たとえば、「健康サプリメントは今流行っているので、みなさん結構飲んでいます。中には月に10万円以上かけている人も少なくないんです」といった具合に、10万円という数字を刷り込んだ上で、「すみません、我が社の健康サプリメントは中身は間違いないんですが、ただ値段が高くて……5万円なんです」と伝えることで、この5万円という価格に対する高額なイメージを緩和することができるわけです。

  • 「私がもし、お客様の立場だったら」。これは商談の後半で使えるフレーズなんですが、たとえば「私がもしお客様の立場だったら、貯金が〇百万円あるので、こっちを契約しますね」といった形です。どんな意図があるのかというと、営業マンとお客様というのは対立の関係になりやすいんですね。営業マンが思っている以上に、お客様は営業マンを警戒している。槍を持った営業マンと、盾で防ごうとしているお客様といった構図です。この対立の関係になるのは、あまりよろしくないわけです。「私がもしお客様の立場だったら~」というのは、この対立の関係を外す目的があります。あなたと同じ視点から提案していますと寄り添うことで、警戒心を解いてもらう。

  • 押しの営業とは、お客様に強引に必要ないものを買わせるわけではなく、徹底的に勉強して考え抜いて、その腹落ちからくる自信と責任から生まれる圧倒的な説得力と勢いなんです。私の経験上、野村證券でも保険業界でも、トップセールスは必ず押しの営業です。これが現実。

  • 他のお客様の話をすることもテクニックの一つです。たとえば、目の前のお客様に対して「今、300人ぐらいのお客様を担当させていただいてるんですが」とか、「私の他のお客様でこの保険に入ってる方がいまして」といった形ですね。もちろん、個人情報については話しません。他のお客様の存在を話すことによって、「この人は300人から信頼を得ているんだ」とか「自分以外にこの保険を契約する人がたくさんいるんだ」と安心していただけるんですね。商談というのはどうしても、お客様と営業マンというこの二者間の話になります。お客様の立場からすれば、他の人はどうしているんだろう?という疑問は必ず浮かぶことだと思います。その部分を緩和するイメージですね。

  • いつ、お客様に紹介依頼をお願いすべきか。結論、成約後すぐにやってください。つまり、商品の契約が成立した後、その場で紹介依頼をするわけです。お客様が商品を契約したということは、お客様はその商品を契約することを納得したということ。納得したということは、この段階で営業マンと商品自体には満足している状態です。後日、数か月後となると熱が冷めてしまっているので、「鉄は熱いうちに打て」の法則からいっても、契約書を書いた後、その場で紹介依頼すべきです。

  • まずは営業のゴールを「契約」ではなく、その後の「紹介」に置くということが大前提。初めてお客様に会った時から、契約後の紹介を見据えて営業をする必要があります。多くの営業マンは契約をゴールにしていると思いますが、そうではなく、紹介をゴールにすること。この価値観はめちゃくちゃ大事で、極端な話、「お客様に契約していただかなくても、紹介をもらえれば100点」というくらいの気持ちでいかないと紹介はもらえません。

感想など

実戦の中で成果を出してきた人だけが語れる迫力がある本でした。

「クロージングはプロポーズ」「意識は100%お客様に向ける」「対比による刷り込み」「お客様と立場を一にする」「トップセールスは常に押しの営業」「他のお客様の話で信頼醸成」「営業のゴールを"紹介"に置く」など、すぐに実践できるコツが満載でよかったです。さっそく社内にも共有し、実践してみて結果がどのぐらい出るか試してみます。

最近は、デジタルマーケが全盛で、昔ながらの営業スタイルは忌避される傾向にありますが、最後にモノをいうのは「どれだけ売れるか?」というところは変わらないと思います。マーケに寄りがちな現代ビジネスの中でも、「売ることから逃げない」というスタンスは持っておきたいですね!

ヨイショする営業マンは全員アホ

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