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ちょっと古いもの

このところ、「ちょっと古い」作品と改めて向き合うことが続いている。先日の小林秀雄・岡潔の対談は1960年代のものだし、今日は1993年に上演されたとある舞台作品のDVDを観ていた。

「ちょっと」と言っても両者には30年ほどの開きがあるが、1993年も既に25年前だ。
こうした作品というのは当時の世相が意識・無意識を問わずに写し取られていて面白い。今となっては変わったこともあれば、今も変わらないこともある。

これらもまとめて「古典」と呼ぶとするならば、私の場合、古典作品に対してはつい、それ単体を楽しむのみならず、「その作品が現代においていかなる意味をもつか」ということを考えてしまいがちだ。思えば、大学1年生の時にも「『異邦人』ムルソーの現代性」とかなんとか題したレポートを書いた記憶があるので、基本的にはその頃から変わっていないのだろう。

話が逸れてしまった。「ちょっと古い」についてだ。実は書こうと思ったのは文学談義ではなくて、ファッションのこと。

ここ最近、ありがたいことに休日に誰かと会う機会が多くなった。以前は休日なんて一歩も外に出ずになかば引きこもっていたので、大きな変化だ。

平日はスーツを着ているので、これまであまり、それ以外の服には頓着してこなかった。なので、大学生の頃に買った服や、会社勤めを始めたばかりの頃にある程度買い揃えた服が多い。
そうすると、結構な確率で「ちょっと古い」ものを身につけることになる。

特にこの頃は、暑いんだか寒いんだかよく分からない天気が続いていて、服装に困る。今日も出掛けに何を着ていこうか迷った。
クローゼットを覗くと、久しく着ていなかったデニム生地のジャケットが目に入る。厚くもなく、薄くもなく、ちょうど良い。
たしかこれも、6年ほど前に買ったものだったと思う。当時、ちょっとシックなトーンの羽織ものが欲しくて手に取ったことを思い出した。服にもその時々の自分の思いが込められているものだ。

きっとこれからも、時には一目惚れした服を買い足しつつも、ちょっと古い服を着ていくだろう。私にお会いになる方においては、私が時代遅れの服を着ていても笑わないでいただけるとありがたい限りだ。

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