過ぎゆく夏

過ぎゆく夏のまぶしさに
君を好きだと告げようか
みんなみんな幻かもしれないから
いいじゃないか 夏だったでいいじゃないか
いいじゃないか 夏だったでいいじゃないか

中島みゆき「過ぎゆく夏」―『短篇集』(2000年)より

気づけば明日、8月7日は立秋。つまり、本格的な夏は今日で終わりだ。

現代の暦感覚で言えば8月はまだまだ夏真っ盛りで、多くの大人は夏休みもこれから。むしろ8月こそが夏本番、という印象すらあったりする。でも、二十四節気というのは不思議なもので、こんな異常気象の世でも立秋の頃になるとどことなく秋の気配が漂う気がしてくる。今も、先ほどから降り始めた雨で少し気温が下がり、盛夏の頃とは違った空気を感じる。

そんなわけで、明日からは「残暑お見舞い申し上げます」とご挨拶させていただくことになる。「暦の上では秋となりましたが、残暑厳しい折、いかがお過ごしですか」というやつだ。ビジネスメールばかりやりとりする中でふとこんな挨拶に出会うと、たとえそれが儀礼的であってもほんの一瞬、柄にもなくホッとしてしまう。

月日が経つのは早いもので、つい最近「あれから70年」と言っていたかと思ったら、気づけば「あれから73年」である。
先日見てきた、イサム・ノグチによる慰霊碑のコンセプトモデルのことを思い出さずにはいられない、そんな日だった。

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