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[読書]国境なき医師団になるって?

毎月なにかしらの国際デーをテーマに、本の紹介&対話の読書会をしています。今月のテーマは「世界人道デー」。

世界中で頻発する紛争や災害などにより避難や困難な生活を強いられている人々と、危険と隣り合わせになりながらも、少しでもこうした人々の手助けができればと願い行動する「エイド・ワーカー」の双方に思いを寄せることを目的として、国連総会によって8月19日が世界人道デーとして定められました。(出典:国連人道問題調整事務所(OCHA)HP

今回、僕が選んだ本はコチラ↓↓↓です

「誰かのために、世界のために、何かしたい。ーでも、どうやって?」というキャッチコピーに人道支援的なものを感じたのと、単純に国境なき医師団に興味があったので選びました^^

作者の いとうせいこう さんはwikipediaでは「日本のタレント、小説家、作詞家、ラッパー、俳優、ベランダーとして幅広く活動するクリエイター」とあり、メディアで見かける方ですが、ちょっとしたキッカケで「国境なき医師団(フランス語: Médecins Sans Frontières、略称: MSF(以下、略称を使用します))に継続して寄付をするようになって、その縁で各地の活動現場を訪問して、日本の人々につたえるという活動をしているそうです。

ということで、本の紹介をする訳なんですが、内容の性質上「国境なき医師団」の説明をしちゃうとそのまんまになってしまうんで、自分がそこから感じたこととかをつらつら書ければと。

医師団の約半分は非医療者

MSFで活動する人で、医療を提供する、医師や看護師、臨床心理士などの職種は半分くらいで、その方たちと同じくらいの人数で、現地の医療を提供するための場所を物理的に確保したり、政府や現地勢力との交渉によって非武装化したり、衛生的な水の確保、薬の確保、衛生備品や食料などを準備する人たちがいて、そのどちらかが欠けても活動ができないとのこと。

近所の病院で考えても、院長さん一人に看護師さん数名、事務の方も何名かいるんだから、そりゃサポート人員はそのくらい必要だと思います。

ちょっと面白いと思ったのが、メインの活動に「緊急医療援助」だけでなく「証言活動」があること。

医療援助活動をしていると、医療が届かない原因や、人権が侵害されている状況が浮かび上がってくるそうで、それを多くの人に伝え、注目を集めることで、現状の改善につながるそうです。

そうしたロビー活動も含めて考えないと、医療活動もできないし、助けたい人を助けられないというのが、組織がたちあがった時から存在するっていうのは、すごく戦略的に考えられた団体なんだと感じました。

中立的な立場で医療を提供することの難しさ

MSFは、独立・中立・公正の三つを原則として掲げているそうです。

医療援助活動は何も意識しないで行うと、政治利用される危険に常にさらされるそうです。紛争地帯であれば、政府から資金提供の申し出に合わせて、医療を人質に相手から有利な条件を引き出そうとするようなことも…そうならないように、MSFの資金は2021年で、一般個人の寄付が87.5%、一般法人が5.5%と民間からの寄付で、119.3億円の収入の9割以上を賄っています。

そうした独立があるからこそ、全ての利害関係者のどこにも味方にならず、敵対もせず、中立に全ての患者さんを受け入れることができるそうです。

公平は、人種や宗教、個人の思想信条などに関わりなく、等しく医療を届けるということで、援助側が差別や偏見を持たないっていうことなのかなと思います。

また、あくまで緊急援助として、現地の医療が回復すれば基本速やかに手を引くという潔いよさも、三原則に関係すると思いました。

僕は紛争地域に足を踏み入れたことは無いのですが、もしも目の前にきた患者が誰かを殺害したことがわかって、被害を受けた側の人から助けないでくれって言われたら、どういう気持ちになるかわからないなぁ、と。この三原則が組織として徹底され、現地の状況によって確保ができないなら手を引くことも実行する点が、MSFのスゴさなんだと思います。

人道支援でできることって

語学は必要とはいえ、医療関係の経験が無くてもMSFの人になることができると分かりました。なんですが、危険な地に赴き、悲惨な状況も見ながらも、三原則を徹底する。人道援助をしたいと思っても、なかなか、並々ならぬ気持ちが必要です。実際、スタッフ採用ではアドバイスをもらいながら何度もチャレンジする方もいるようです。

気持ちはあってもなかなか…という自分には、今は寄付という手段での参画が一番だなと感じました。

本の中でインタビューに答えている方は、みなさん本当にやりがいを感じながら働いているのがよくわかり、どなたもすごくステキなんで、憧れてしまいます。

MSFが現地でも尊敬されるのもよくわかりましたし、納得です。

自分はこうした方々に気持ちを託すことで、自分なりの人道援助をしたいと思ったのでした。

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本には現地の様子、紛争地域だけでなく、先進国でもこんなことがあるのか。というようなさまざまな様子を知ることができます。淡々と書かれているように感じましたが、作者の感じた葛藤などに共感することも多々ありました。

とても読みやすいので、みなさんもぜひ読んでみて、MSFに何かしらの形で参画されるといいなと思います(^^)

以上



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