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[読書] 観光で得たいものは…

毎月テーマを決めて読書会をしています。
今月のテーマは、国連世界観光機関が9月27日に設定した「世界観光デー」
この国際デーの目的は、国際社会における観光への意識を高めるともに、どれほどの社会的、文化的、政治的、経済的な価値を世界にもたらすか示すことなんだそうです(出典:Wikipedia)

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作者のDr.マンディープ・ライ氏は150か国以上を旅し、BBCワールドサービスやロイターなどで放送ジャーナリストとしてレポーターを務め、民間やNGOでの仕事や、多くの企業、新興企業、社会的企業の取締役を務めるとともに、「世界の価値観」の研究で博士号を取得。現在は「価値観」に関する世界的な権威なんだそうです。
そんな方が、101か国をそれぞれ一言で示すことで価値観を知ろうという本です。

観光の目的の一つは、その土地のことを知ることだと思います。
なので、この本でなんとなく観光をした気分になろうかと^^

の前に、価値観って…

本では価値観を

1)変化の価値観|
 国家と国民がどのように変化し、変化にどのように対応したか。

2)継続性の価値観|
 伝統と記憶が生き続ける。多くは大きな困難をともなう。

3)人のつながりの価値観|
 行動や社会規範を規定するもので、コミュニティ、企業、国で広く認識されている。

4)コミュニティの価値観|
 友人、家族、隣人、見知らぬ人と個人的な関係をつくる。

5)核となる価値観|
 私たちの核となる人格や、人生における動機を定義する。

の5つのグループに分け、各国の主となる価値観の方向性をなんとなく分類しています。せっかくなんで、最初の3つのグループから印象に残った国と価値観を紹介します。

各国の意外な価値観

1)変化の価値観|
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キューバ[問題解決]
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失礼ながら、自分のパッと頭に浮かぶイメージとは異なり、キューバは肺がんの先駆的な治療で世界をリードし、母子間のHIV感染防止に成功した最初の国になんだそうです。著者は「医療の革新者」と呼んでいます。また、世界トップレベルの識字率を誇り、海外でも評価の高い教育システムを備え、世界中から学生が集まるそうです。

一方、自宅でインターネットにアクセスできるのは5%、平均月給は25ドル、車の所有率は2%と、決して問題解決に十分な資源があるようには見えません。

これを「問題解決」の精神で、利用できるものの範囲で、不可能を可能にしているそうです。

例えば、インターネットにアクセスできないのであれば、もっとも人気のあるコンテンツを集めたUSBを各地で毎週配布する人っていうのがでてきて、手と徒歩で配信をしているそうです。

そうした問題解決精神を支えているのは、お金が全てを語るわけではない社会で、尊敬とコミュニティに対する強い意識があること。=社会主義体制に暮らしているだけでなく、それを信頼しているからだ、と。著者は語っています。

2)継続性の価値観|
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コスタリカ[平和]
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コスタリカの挨拶「プラビダ」は、幸福感・満足感や健康的な生活など様々な意味を持つ言葉で、そういった言葉が日々あいさつとして「幸せです」「幸せであれ」「幸せであるべき」などの文脈で交わされているそうです。
国土は豊かな自然にあふれており、環境や文化も平和的。

こんなコスタリカには、常備軍がないそうです。
国防予算を、医療、教育、社会保障にあてるために、1948年に廃止されているとのこと。自分は知らなかったのでちょっと驚きです。
その他にも、国連平和大学の拠点となる土地を寄付したり、イギリスと共に国際平和デーを提案したり、国内のすべての学校で紛争解決の指導を義務付ける法律を可決しているとのこと。

常設軍を廃止して70年以上たった現在、いくつかの指標によって、地球上でもっとも幸せな国に選ばれているコスタリカ。

やりようによっては、これって維持継続できるものなんだ。というところに多くの学びが見つけられそうです。

3)人のつながりの価値観|
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オランダ[あけすけ]
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著者は20代のころ「地球を良くしたいなら、オランダの裸のスパで会議をしてください」というアドバイスをもらったことがあるそうです。
それくらい、オランダの人は「話しやすさ」を大切にしていて、どんなテーマやアイデアも包み隠さないのだそう。

歴史的にも、現代のオランダは、貴族の支配からではなく、16世紀の黄金時代を築いた商業力と貿易の才覚から誕生したそうで、そうしたコミュニケーションで国をつくってきたことに、価値観が育ってきているのではないかなと。

で、オランダの人々は、他人の反応を心配して自分の考えを遠慮することは決してないそうです。他人の感情に振り回されたり、反応を予想して作戦を立てたりもせず、ひたすらまっすぐに飛び込み、要点をついて先に進むということで、その分裏を読んだり、根に持たれたりする心配もしないという。

そうした「あけすけ」さが、物事の根本原因に直接メスを入れ、例えば、強力なドラッグを禁止し、大麻を合法化して分離することで、それらが強い薬物への入り口になるきっかけを最小限に抑え、違反者に対しても寛容なアプローチをとることで、ヨーロッパで薬物乱用率が最も低い国の一つになっています。

あけすけに接することで、あいまいさが減り、意見を表明されないストレスが軽減され、最終的に嘘偽りのない真の対話が生まれるそうです。

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と、言う感じで101の国が次々と紹介され、読者は価値観の旅をすることになります。
もちろん、日本もその中にあるので、ぜひ読んでみてください。

観光で得たいものは

せっかく観光に行くんだから、身体を休めたいし、美味しいものを食べたいし、きれいな景色をみて、いろんなアクティビティを体験して、写真撮ってSNSに上げて承認欲求を満たして…といろんなものを得たいと思います。

その一環として、その土地の価値観を感じて、学び、得るというのはどうでしょうか?

この本みたいに海外であればもちろん。日本でも地域による価値観の違いって結構ありますよね。

その価値観を単に好き嫌いですませるのではなく、その価値観がどうやってその土地で生まれたのか?それがどのような価値をその土地に生んでいるのか?
そういう点で考えると面白いし、どんな場所でもポジティブに考えることができるのかなと思いました。

新型コロナ感染症の影響もあって、なかなか観光を自由に!っていう雰囲気ではありませんが、時が来たらぜひ、価値観を学びに行きましょ~

以上

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