見出し画像

映画「昼顔」を観た.普段テレビを観ないのでテレビドラマの昼顔を観ていない.数年前話題になっていたことは知っていて,ふと上戸彩ちゃんが観たくなったのと,一青窈さんの曲が主題歌であることを知り,テレビドラマは長いから…映画を見ることにした.

話の内容は想像していた「許されない恋」な内容だった.それよりも,上戸彩ちゃんの骨格に対して服がきちんと似合って素晴らしいなあとか,スカートの裾がきれいだとか,この街はどこだろう,ホタルがたくさんいる川ってなんて美しいのでしょう…そんなところをじっくり観ていた.

「許されない恋」に対して,実は子供の頃から私は寛容であった.自分の好きなミュージシャンが不倫→バッシングを受けていたとき,友人は「信じられない許さない!」と激昂するのに対し,私はミュージシャンを擁護した.一つの事象に対して,こんなに鮮やかに意見って分かれるのかとちょっと自分で驚いたことがある.

大きな声で言えないが私自身も「許されない恋」に分類される恋愛をした.一度ではない.思い返せば19才の頃から随分長い期間.長い期間自分よりも一回り,二回り,ときに三回り年の離れた男性と過ごしてきた.でも,昨日の昼顔の中のセリフである「神様,彼をわたしにください」とはどの方に対しても思わなかった.逆に,彼らが人様のものだったことが私には都合が良かった.彼らにとっても都合が良いはずだったのに,ときに「離婚してと言ってくれ」「子供が欲しい」などと切実に言われたことがある.男性の中には,順当な?恋愛をし,結婚を考えてくれた人もいる.

けど私は どの切実なものにも はい と返事ができなかった.幸せになること,に恐れ慄いてしまったのだ.

私はどうして,こうもこじらせているのか.

私は愛されるわけがない,幸せになっちゃいけない.そして30歳くらいで死ぬんだろうな,多分絶望が理由でと心のなかでギュッと握りしめている思いが子供の頃からあった.確か幼稚園に入る前にこんなふうなことを思った記憶がある.恐ろしい呪いだ.もしも私に子供がいて,子供が人知れずそんなことを思っていると知ったら…母である私は号泣するだろう.

破綻すると分かっている恋愛の船に乗る.そして案の定難破し「ほらね,だめだったでしょう,幸せになれるわけない」と自分に証明している.それを繰り返している.

相手が,「愛されるわけがない私」のためにリスクを犯して会いに来てくれる,大切にしてくれる,時間をくれる.それは私のブラックホールのような心を瞬間,満たした.愛されていると確認できた.それ以上のことは不要だった.

30歳くらいまでずっとこのパターンを繰り返してきた.どうせもう死ぬんだし,っていう思いがこの恋愛観に拍車をかけたこともあると思う.

29歳のとき,それまでの人生で一番好きな人に出会った.一気に,生きる希望をもてた.神様が土を人の形にし,人(アダム)にして鼻に息を入れた瞬間のように.わたしはようやく自分の人生に生まれたような気がした.見えないものが見える系の鍼灸師さんに言われたものだ,「死ぬと思ってた30歳目前に雷に打たれるような恋愛をする,って,まだ死ぬなっていう意味よ.神様っているのよね」

だいぶおとなになってから,私の恋愛から昼顔的な要素はなくなったが,それにしても自分よりだいぶ歳上の男性とお付き合いをしたり,最近の件では,強烈な個がある男性と付き合うなど,いづれにしてもほんわかした恋愛からの地続きの結婚,子供をもつ,みたいなものが全く描けない人たちばかりと恋愛をした.彼らに共通していたのは親がDV(父が,母が,どちらもある)で両親が離婚している.

似た家庭環境同士が惹かれ合うことはあるというが,私は両親からDVを受けたわけでもなく,大切に大切に愛されて育ててもらってきた.お金もかけてもらってワガママに育った.

だけど私には親に「愛されている」という実感がなかった.大きな大局観,大きな視点でみるとそれは誤解なのだけど.

「あなたのしたことで,親が人様からどうみられるか考えなさい」と常に言われる家庭環境だったので,私はどうすればいい子に見えるのかを最優先に考えながら生きてきた.おかげさまでというか,学級員とかの役回りを小学校から高校まで与えられた.

これは親には言わないし,こういうふうに思うのも大変申し訳ないのだが,もしかしたら私が受けてきた教育は精神的なDVだったのかもしれない.と思った.「いい子にしないと愛されない」「可愛くないわたしは愛されるわけがない」「30歳くらいで絶望して死ぬんだからどうでもいいや」.幼稚園前の私が呪いを自分にかけ,それが今日,刹那に愛される悦び,平穏が望めない人との恋愛,ヒリヒリしないと愛が実感できない,につながっている気がする.

今のタイミング,しっかり見つめないと,わたしはまた繰り返してしまう.もう辛いからこうゆうのやめたい.

底なしに低い自己肯定感からは少し上を向き始めているが,長年の呪いはそう簡単に融けないかもしれない.だけど.もうそろそろ,自分を許して.許して,本当に許して救ってあげよう.誰かまっすぐ想い,幸せになっていい,そんなメッセージを昼顔からもらった.


































この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?