逃げる女

4月30日までとは違う生き方をする。それは昨日すでに宣言した。残された時間はもう、あまりない? 確かにないぜ。しかしそれは関係ない。なぜなら今という時間が俺にはあるからだ。

とにかく徹底的に思索する。言葉との闘いだ。本を読む。読みまくる。これだ。あらゆる時間をその二つに費やす。そのため今日は1日、家に籠った。外出したのは近くのサンマルクカフェに17時00分、行き閉店の20時00分までいた。

3時間、本読みと思考。俺さあ、例によってホットティーのレギュラーサイズを注文。その時、お湯はいっぱい、入れてと言ったんだよ。席について蓋を取と中途半端な入れ方。

明らかにお湯が少ない。文句を言いに行く。「俺が頼んだことをきっちりやってくれよな」と。日曜日のこの時間は多くの場合、店員は男性。この日は3人とも女性だった。

そのひとり新人か? 若い。お湯を一杯に入れてという客は俺ぐらいかも。だからわからなかったのかも。だから戸惑っていた。クレーマーか? 変な人?

そう思ったことだろう。ケーキ屋「ルミ・ラボ」では常連客なのでカップにスレスレまでお湯を入れる。それもまた異常だけどね。マスターがカウンターにいるとポットをセットで持ってくる。

3杯分ぐらい飲める。ホントの話だぜ。サンマルクカフェではそこまでは期待しない。神田のサンマルクカフェのホットティーは上から押さえて自分でカップにそそぐやつ。

あれはお得感がある。20時00分、NHKの「日曜美術館」を見た。江戸時代の美人浮世絵師、喜多川歌麿の特集。その美人画がまた見事なのだ。上半身が得意に際立っている。

目の描き方が凄い。遊郭、吉原に足繁く通ったんだ。市井の人気娘を描いている。とにかく女の視線はすべてミステリアスだ。一体、彼女たちは何を見ているのか?

実は何も見ていない。退屈なのさ。つまらないのさ。「ああ、何か面白いことないの? わたくしを楽しませてよ」。いつもそんな感じだよな。

話を変える。俺、ヤバいよ。告白するけどね。寝ている時の夢。これまでは締め切りに追われて頭がパニックになる。ああ、もうダメだ。できない。無理だ。間に合わない。

それが多かった。その苦しみからは卒業したぜ。やっとね。取って替わったのはなんと元カノ。別れたカミさん。二人とも逃げられたのだがそのダメージ、コンプレックス。

トラウマ。どこまでも性格はポジティブなのにそこだけは別格。夢の中でそのシーンが繰り返し現れる。たとえば彼女が家に帰って来ない。幼児とさびしく待っているのだ。

惨めだよな。家に彼女が来た時は逃げられる。逃げて行くという不安と恐怖に常に悩まされる。そういう目でしか彼女のことを見れない自分がいる。女性にはいつだって逃げる。去るという自由と特権がある。

当然の権利なのだ。俺はそれを2回やられた。2回もだ。その瞬間、シャッターが降ろされる。二度と会うことはない。答えは簡単なのだ。

彼女たちの期待に俺は応えられなかった。期待を裏切った。自業自得。俺がすべて悪い。わかっている。でも、逃げていかなくてもいいではないか? 最低限、最後の話し合い。

3分でいい。了解のもとで別れたかった。そうしたらその場で即、離婚用紙にハンコを押した。ただ次のことも言える。俺は精神的にはドMだ。理不尽な方が喜ぶというタイプでもある。

逃げる。逃げられたことで逆にずっと彼女のことを引きずっている。いつまでもこだわっている。つまり脳内バーチャルの世界では彼女は普遍化しているのだ。

どんだけ俺は変態なんだよ。パラドックスにもほどがある。これもまた惚気か? 夢の中で彼女は俺のことを責めているのだろうか? それとも俺の贖罪意識が潜在的にあるのか?

どうなんだろ。今日の“四字熟語”は逃げる女。


ターザン大陸より)
★本日!! ターザン山本!と吉田豪の格闘二人祭!!
《配信時間》20:00~23:00(予定)
《配信チケット》通常2,000円 / 応援2,500円(終演後の記念写真付き)
詳細は下記、またはこちらから!!

★Sponsored by イケハヤラジオ!ターザン山本のVoicy、ぜひお聴きください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?