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第52回全日本大学駅伝振り返り     ~エースと新戦力の共存~ 前編

  皆さんこんにちは。しゅう(Twitter:@Syu_syu__shu)です!レース当日に書き始めてますので今も興奮冷めやらぬ、といった感じです。
  さて、今年度はコロナウイルスの影響により、出雲駅伝が台風の影響により中止となった第24回大会以来の中止となり、選手や大学関係者、さらにはファンの方々も例年以上に今大会を待ち焦がれたと思います。まずはこのコロナ禍で大会を運営していくに際し、携わっていただいた全ての大会関係者の方々にお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
  このnoteでは今回の全日本大学駅伝の振り返りと箱根駅伝の展望を前後編に分け書いていきたいと思いますので、気軽に目を通していただくぐらいでも幸いです。前編では1~6区を振り返ろうと思います。早速本編へいきましょう。(※文字数などの関係で敬称略させていただくことをあらかじめ申し上げておきます。)

~TLが「三浦!三浦!三浦!」 若さと戦略の1区~

区間1位 三浦龍司(順天堂大1年) 27:07 ※区間新記録
区間2位 砂岡拓磨(城西大3年) 27:10 ※区間新記録
区間3位 加藤淳(駒澤大4年) 27:13 ※区間新記録
区間4位 島崎慎愛(國學院大3年) 27:15 ※区間新記録
区間5位 児玉真輝(明治大1年) 27:15 ※区間新記録

  第50回大会から1~7区で距離変更が行われ最短区間となった9.5キロの1区。距離は短くなったものの、細かいアップダウンは健在で重要度な区間であることには変わりはありません。ただ、距離が短くなったことはかなり重要視されているようで、今大会はこの1区に1年生が6人(前回は2人)起用されるなど、1年生や新戦力の起用、レースの流れを作りたい大学は経験のある選手が起用されるなどの特徴が見えるようになりました。
  今回の1区では直前変更で入った札幌学院大・グレ、駅伝経験豊富な駒澤大・加藤や昨年1区を経験した國學院大・島崎、10月に1万mの記録会で
28:36を記録した日本文理大・山田あたりが集団を引っ張るのではないかと予想されてたと思います。
 レースはグレと山田が集団を引っ張り、最初の1キロが2:48と昨年より早い通過となりました。途中でグレが何回か飛び出しますが、集団は各選手が多少位置を変えながら崩れずに終盤まで進みます。集団が崩れたのは7.6キロ付近、京都産業大・北澤がセンターライン側から抜け出し、先頭に立つと集団は縦長に。それに即反応したのが島崎や加藤、上位を狙う大学も後ろにつきペースアップします。明治の1年生児玉も島崎の横につけるなど積極的な走りを見せます。勝負が決したのは残り400m、ここで飛び出したのが7月に3千m障害で日本歴代2位、記憶に新しいところだと箱根駅伝予選会で日本人トップを獲得した順天堂大・三浦龍司でした。タスキを外すとそこから圧倒的なラストスパートを見せ、従来の記録(27:25)を18秒上回る快走で区間賞&区間新記録とこれ以上ない大学駅伝デビューを果たしました。
  2位には先輩にあたる昨年の荻久保のタイムを上回った城西・砂岡、3位以降は加藤、島崎、児玉と続き、初三大駅伝となった東海・佐伯早稲田・辻東洋・児玉もそれぞれ秒差の6、7、9位(児玉まで区間タイ記録)とまずまずのデビュー戦だったと言えます。青学・湯原も19秒差の10位と最低限の仕事、7.6キロで仕掛けた北澤も22秒差の12位と粘りを見せたナイスランでした。
 これまで以上にインフレ化が進む大学駅伝において大きく出遅れることの出来ない1区。その中でも多くの1年生や新戦力、怪物ルーキー・三浦の力など例年以上にフレッシュさに溢れた1区となったのではないのでしょうか。

私的区間MIP 加藤淳(駒澤大4年) 区間3位 27:13
今季トラックでは5千mで自己ベストを更新したが、これまで駅伝に対して苦手意識を持っていたように思われていた加藤。その苦手意識の払拭と優勝に向け流れを作ってほしいという思惑で送り出されたであろう1区で(結果的に)、優勝への良い流れを作る走りとなった。終始集団の前列でレースを進め北澤の仕掛けにも落ち着いて対応し、区間賞の三浦と6秒差の区間3位。
十二分に役割を果たした。

~有終の美を飾った川瀬 収穫と誤算の2区~

区間1位 川瀬翔矢(皇學館大4年) 31:24
区間2位 菊地駿弥(城西大4年) 31;37
区間3位 池田耀平(日本体育大4年) 31:39
区間4位 小袖英人(明治大4年) 31:45
区間5位 井川龍人(早稲田大2年) 31:51

 昨年、東京国際大・伊藤(現HONDA)が驚異の13人抜きを見せ区間新記録を獲得した2区。今年の注目は5千mで13:36、1万mで28:26、ハーフマラソンでは現役日本人学生最速タイムの1:01:18が持ちタイムの皇學館大・川瀬が最後の全国学生駅伝において「全関東喰い」なるか、というところだったと思います。
 レース展開としては、首位でタスキを受けた順大・伊豫田が最初の1キロを2:41と積極的に入りますが2キロ中盤で昨年の経験者の城西・菊地に追いつかれ先頭集団を形成。後方3位集団で明治・小袖と今季復調した國學院・臼井、5位集団で日体・池田早稲田・井川駒澤・花尾、その後ろに駅伝デビューとなった青学・近藤東洋・松山東海・市村の集団。その後方から川瀬が追いかける展開となりました。
 首位争いは2人の集団に小袖と臼井が追い付き、菊地と小袖の一騎打ちになった後、10キロ手前で菊地がロングスパート。そのままトップでタスキリレーし区間2位の快走。昨年の経験と首位を明け渡した悔しさ、予選会から続く好調さを活かした走りとなりました。以降は13秒差で2位が明治、22~25秒差で早稲田、皇學館、國學院、日体が3~6位と混戦。青学、東海の集団から抜け出し、駒澤、順天を抜いた東洋が7位、さらに東京国際・丹所が5人を抜く好走で8位とここまでがシード圏内。注目された川瀬は最終的に17人を抜き21位から4位へと押し上げる大爆走で東海地区39年ぶりの区間賞と現コースになってからのごぼう抜き記録の更新を果たし、最後の駅伝で最高の走りを見せました(HONDAでも頑張ってください!!)。
 一方、この区間で誤算だったのが東海・市村。4キロ過ぎから苦しい顔が見られ、そこからジリジリと下がり始め、最終的に17位でのタスキリレーで悔しい走りとなってしまいました。2区市村と3区キャプテン塩澤で首位に躍り出る展開を睨んでいたであろう東海陣営にとっても予想外の展開になったと思われます。しかし、昨年度の出雲では終始単独走で区間2位、全日本では東洋・西山から首位を奪う走りを見せた市村。ピーキングやコース適性、展開がハマった時の強さはすでに実証済みです。箱根ではセオリー通りでいけば7か、はたまた前回大会から噂されていた6か…。リベンジに期待しましょう!

私的区間MIP 井川龍人(早稲田大2年) 31:51 区間5位
早稲田は最初の区間エントリーの13人から前半区間もロング区間もこなせる主力の千明が漏れ、後半区間が多少不安視されていた。3と4に中谷、太田とWエースを置き首位浮上を狙う早稲田にとって、2区井川の出来がかなり重要と見られていたはず。その中で1区6位と流れを作った1年生、辻のタスキを受けた井川は後ろから追いついてきた日体・池田の背中を借りながら速いペースに乗る。結果的に混戦の中で3つ順位を押し上げタスキリレー。中谷、太田の大逃げをアシストした素晴らしい走りとなった。昨年度の箱根では同学年の駒澤・田澤に3区で約2分半の差をつけられるなど悔しい想いのほうが多かったであろう井川。最後は混戦の中、集団の一番前で渡せたという結果も収穫になり、大きな自信なったはずだ。さあ、残すは箱根でのリベンジだ。

~待ちに待った区間賞 『エース』と追撃の3区~

区間1位 中谷雄飛(早稲田大3年) 33:42
区間2位 塩澤稀夕(東海大4年) 33:45
区間3位 中村唯翔(青山学院大2年) 33:46
区間4位 鳥飼悠生(帝京大4年) 33:54
区間5位 鈴木芽吹(駒澤大1年) 34:07

 昨年、東洋大・相澤(現旭化成)の5キロ13:43、10キロ27:48という破壊的な通過タイムから、33:01という従来の区間記録を1分以上縮めるという驚異的走りにより前半のエース区間という印象が強くなったこの3区。
 前回好走を見せた早稲田・中谷東海・塩澤順大・清水城西・菅原関西学院・上田は2年連続の起用。帝京は経験豊富な4年生鳥飼國學院明治中西手嶋とそれぞれ昨年から主要区間を任されているスピードランナー。青学駒澤東洋も新戦力ながら箱根往路での出走も期待される中村鈴木佐藤と、各大学主力級がズラッと並びました。
 レースは序盤から動きます。3位でタスキを受け取った中谷が1.6キロ過ぎで22秒前にいたトップで並ぶ城西、明治を抜き、2キロ過ぎから独走開始。
後方は4位に國學院、5位グループは日体・藤本、駒澤、東洋、帝京、順大に青学・中村が追い付きそうそうたる顔ぶれの大集団に、2区で17位に下がった東海は4年生三本柱の一角、塩澤が追いかける展開となりました。
 先頭をひた走る中谷は序盤2キロ以内で22秒差を追い付いたのと、手嶋が後半ペースアップした影響で、理想の差はつけられなかったのかなと思いますが、2位に20秒差をつける走りで区間賞。これが中谷にとって三大駅伝6回目の出走にして初の区間賞獲得となりました。20秒差の2位で明治、3、4位が秒差で城西、國學院。5位グループは10.4キロ過ぎにばらけた様子が見られ、最終的には14秒の間に帝京、青学、東洋、駒澤、日体、順大の6大学。
中でも青学・中村は8人を抜いてチームを6位に押し上げる素晴らしいデビュー戦となりました。東海・塩澤は日大・若山を抜いてからなかなか前が詰まらない苦しい展開となりましたが、最終的に6人を抜いてチームは11位に浮上。慣れない展開の中、エース・主将としての意地とチームの追撃態勢を築きました。前回区間8位で走った関西学院・上田も5人を抜く区間6位の好走。あと2年、更なる飛躍が期待されます。
 昨年の相澤の影響(?)もあり、さらに重要度が増したこの3区。来年はさらにエース級を起用する大学が増えるのか、それと、相澤の記録が破られるのは一体いつになるのか…。注目です。

私的区間MIP 佐藤真優(東洋大1年) 区間9位 31:14
まず初めにこれは決して贔屓だからってことではないことを記しておく。
恐らくここは西山と入れ替わるのではないかと駅伝ファンの中で予想されていたであろう佐藤。
集団では清水や藤本、鳥飼の上級生、5千m13:43のスピードを持つ同学年の鈴木、後ろからは青学・中村と格上だらけの中で怯んでもおかしくない状況と思われたが、それは取り越し苦労に過ぎなかった。
時々後方に下がり苦しい顔は覗かせながらも、カメラに映った10.5キロ付近では自らペースアップしたように見え一時は単独5位に。最終的に秒差の7位でのタスキリレーで区間順位は9位ながらも、その貢献度と度胸、インパクトはデビュー戦としては120点の走りといえるだろう。これで箱根では往路での起用も視界に入ってきた。どのような走りを見せるのか、注目だ。

~スーパールーキーは東海にも 独走と加速の4区~

区間1位 石原翔太郎(東海大1年) 33:16 ※区間新記録
区間2位 太田直希(早稲田大3年) 33:23 ※区間新記録
区間3位 野村優作(順天堂大2年) 33:34 ※区間新記録
区間4位タイ 岩見秀哉(青山学院大4年) 33:54
区間4位タイ 前田義弘(東洋大2年) 33:54

 ここ近年、首位交代があまり起こらない4区。コースも多くのアップダウンを抜けながら緩やかに上り、また段々と暑さも出てきてタフさが求められる区間となっています。
 3区中谷が独走態勢を築いた早稲田は、箱根2区の起用も期待される太田
明治は箱根8区で1年生ながらクレバーな走りを見せた櫛田。30秒以内に固まる3~10位は城西・宮下國學院・河東帝京・遠藤青学・岩見
東洋・前田駒澤・伊東日体・菅沼順大・野村。この大勢を東海
1年生石原が追いかける展開となりました。
 レースは先頭を走る太田が1キロを2:41、5キロを14:05と積極的な入り。6キロの定点では2位との差を45秒差に広げる快調な走りを見せます。後方では帝京の遠藤が集団をけん引(こちらも1キロは2:40前後?)。城西、國學院を吸収し、大集団となります。2位の明治・櫛田は後ろが近づいてきてもペースを乱すことなく前を追います。一方、東海の石原は4キロ過ぎに中継所で36秒の差があった日体に追いつくと、5キロを13:54という速さで通過します。6.8キロで帝京を抜き8位に浮上すると、前区間記録保持者だった順大・塩尻(現富士通)のタイムを上回る速さで集団からこぼれた大学を拾っていきます。
 先頭の太田は後半も大きくペースを落とすことなく、従来の記録を25秒上回る走りでタスキは1年生の菖蒲へ。2位は集団に追いつかれてからもマイペースを貫き一度も2位を譲らなかった明治の櫛田。改めてクレバーさを印象付ける走りとなりました。3位以降は再び混戦となり、第3中継所から7つ順位を上げ塩尻の記録を上回った順大・野村が3位。4、5位に青学、東洋が入ると、6位には東海の石原が入り、こちらが区間賞で区間新記録。順位も5つ上げチームを優勝戦線に戻すスーパールーキー誕生といったデビュー戦になりました。7位駒澤、8位國學院とここまでがシード圏内で2位明治とは43秒。帝京の遠藤は4キロあたりから急に下がり始め、最終的には11位でのタスキリレーに。前回の箱根では3区で駒澤・田澤に勝っているだけに、リベンジを期待しましょう。
 先頭の早稲田の通過が昨年の東洋より1:11早い通過。また、中位には3強と呼ばれる青学、駒澤、東海が固まり、上位を狙う東洋や國學院もこの中に。
オーダー発表の時点で前評判の高かった明治と順大も2、3位と上位をキープ。ここから距離も伸び暑さが増してくる中盤、後半区間に向け優勝争いをさらに加速させる4区となりました。

私的区間MIP 櫛田佳希(明治大2年) 区間6位 33:55
前回の箱根での「山本監督トイレ事件」が記憶に新しい人も多いだろう。
8区に起用された櫛田は、序盤に上記の出来事も重なったのか6.7キロの茅ケ崎の地点ではまさかの区間19位。しかしそこから落ち着いてペースを上げ、結果的には区間8位。本人は納得いってないようだが1年生らしからぬ衝撃的な走りを見せた。今回の4区でも先頭には逃げられ、後方から大集団が迫ってくる難しい展開になりながらも、櫛田は常にマイペース。集団に追いつかれてからもあわてず騒がずペースが乱れることなく、先頭とは差が広がってしまったものの順位をキープしてタスキを渡すことが出来た。
今季トラックでは13分台もマークし、スピードも増した。箱根駅伝総合優勝をも目指せる明治がこの櫛田を続けて復路の勝負区間に置けるとなると、、、楽しみしかない。

~ぶつかったルーキーの意地 混戦と再会の5区~

区間1位 佐藤一世(青山学院大1年) 35:47 ※区間新記録
区間2位 酒井亮太(駒澤大2年) 36:02 ※区間新記録
区間3位 大澤駿(東洋大4年) 36:12
区間4位 本間敬太(東海大3年) 36:18
区間5位 石井一希(順天堂大1年) 36:23

 気温は徐々に上がってくるが、なだらかに下っていくコースのため今季は下級生の起用が多く見られました。独走が続く早稲田は1年生の菖蒲、2位以降は明治・金橋順大・石井青学・佐藤東洋・大澤東海・本間駒澤・酒井國學院・木付と新戦力と実力者が揃いました。
 レースは逃げる早稲田・菖蒲の後方から明治、順大、4位グループが青学、東洋、東海、駒澤の4チームで石井がハイペースで引っ張る展開となります。菖蒲は5キロを14:32と落ち着いた入りでなかなか後方を詰めさせません。4位グループからは佐藤が抜け出し、区間記録とほぼ同じペースで推移し4.5キロで順大・石井に追いつき、全日本の舞台で八千代松陰時代の同期による並走が始まります。約2キロ続いた並走は佐藤が抜け出し、5キロ通過は14:10で区間記録ペース。明治も抜き先頭を追いかけます。佐藤が抜け出した5位グループはいったん後ろに下がっていた駒澤・酒井が再び前に出る展開に。その後ろに大澤が粘り、本間はじりじりと離されていきます。シード権争いは8位の國學院・木付が終始単独走。帝京・橋本が9位に浮上し白熱した展開になります。
 菖蒲は徐々に汗が目立ち始め、顎が上がる苦しい走りになります。蛇行もし始め、佐藤が追い付くかとも思われましたが、残り400mで意地のスパートを見せ首位でタスキリレー。佐藤は従来の区間記録を19秒上回り区間賞・区間新記録の走りで2位浮上。早稲田との差はわずか10秒に。駒澤、東洋に明治と順天堂が加わった3位グループは、酒井が抜け出し単独3位でこちらも区間新記録の走り。以降は東洋、明治、順天堂、東海・本間も粘りを見せ駒澤から東海まで12秒。シード権争いは8位國學院と9位帝京が47秒差。この2チームに絞られました。
 またもや1年生が爆走を見せ、意地がぶつかった5区。1位から優勝候補に名前が挙がっていた7位東海までわずか43秒差と大混戦。シード権争いも國學院と帝京という前回の箱根で最終盤まで表彰台を争った2校に。近年まれにみるスリリングなレースになってきました。

私的区間MIP 酒井亮太(駒澤大2年) 区間2位 36:02 ※区間新記録
16人のエントリー時点で4年生の小島と神戸が外れ、わずかに不安要素が見られた駒澤。全日本制覇はもちろん箱根制覇へ向けてもこの男の走りがカギになることは間違いなかった。集団の後方から徐々に追いつき、そこから常に引っ張り続ける積極的な走りを展開。最終的には集団を抜け出してタスキリレーをするなど、競り合いの強さも見せた。区間賞は佐藤に譲ったものの、区間新記録の走りは本人にとっても大八木監督にとっても想像以上のデビュー戦となっただろう。7月にはトラックで13分台をマークし順調にスピードもついてきている。箱根でもこのような走りが出来れば、駒澤の優勝がぐっと近づくはずだ。

~ついに首位交代 秒差と変動の6区~

区間1位 長田駿佑(東海大3年) 37:22 ※区間新記録
区間2位 大保海士(明治大4年) 37:27
区間3位 増田空(帝京大4年) 37:43
区間4位 山野力(駒澤大2年) 37:45
区間5位 腰塚遥人(東洋大3年) 37:49

 5区でトップと2位の差が10秒に、7位東海までの差が43秒差と近年まれにみる大混戦となった今年の全日本。日差しも出てきて気温が上がってくるこの6区にもニューフェイスが揃いました。逃げる早稲田、追う青学にはそれぞれ1年生の諸冨山内、混戦の3~7位も駒澤・山野東洋・腰塚明治・大保は1年時以来の全日本、順大・牧瀬東海・長田と初出場の選手ばかり。シード権を争う國學院帝京はこちらも初出場となる伊地知増田、1年生と4年生の争いとなりました。
 先頭争いは2位を走る山内が諸冨との差を1キロで約1秒詰めているかいないかという展開。諸冨も初の駅伝ながら安定した走りを見せ、なかなか詰めさせません。後方からは7位でタスキを受けた東海・長田が1キロ行く前に順大と明治をとらえると、明治・大保を後ろにつけ見る見るうちに駒澤東洋の3位グループに迫ってきます。徐々に差を詰めそろそろ首位をとらえるかとなっていた2位の山内、CM明け6.5キロ過ぎに映った時から異変が。(恐らく)初出場の緊張と脱水症状の影響だろうか、顎が上がり顔も身体も横に振れ始め、視線が定まらない状態に。東海と明治が追い付いた3位グループからは東洋・腰塚が徐々に離される展開、抜け出した長田と大保は9.2キロで青学をとらえ2位に浮上。シード権争いは帝京・増田が9キロ付近でついに國學院をとらえ並走が始まります。
 首位争いは一度は明治・大保に離されかけた東海・長田が中継所直前で首位に浮上。区間賞、区間新記録の大快走。大保も最終的には首位を譲ったものの区間2位の走り。3位には1年生ながら大きく崩れることなく終始先頭を守った早稲田・諸冨。4位には駒澤・山野、東洋・腰塚も離されたものの大きく離されることは無く5位でタスキリレー。青学・山内もなんとか粘りを見せ6位。7、8区のメンツを見るに優勝争いはこの6大学に絞られたと見られたでしょう。7位には順大。シード争いは逆転した帝京が8位、國學院が9位でその差は13秒。さらに混とんとしてきました。
 6区終了時点で1位東海と6位青学までの差はわずかに23秒。シード権争いの8位と9位の差もわずかに13秒。この先は日本学生陸上界を代表するランナーたちの意地のぶつかり合いとなります。(前編はここまで)

私的区間MIP 増田空(帝京大4年) 区間3位 37:43
前半に小野寺、鳥飼、遠藤と主力をつぎ込むもいまいちリズムに乗り切れていなかった帝京大。そんな不穏な流れを変えたのは4年生にして初駅伝となる増田だった。前後が開いてる展開からのスタートだったが、冷静に追いかけていけるこの強みは帝京大のランナーならではか。9キロ付近で47秒あった國學院との差を0にすると、中継所では13秒の差をつけ逆転。シード権争いの中、一歩前に出ることが出来た。満を持しての出走となった増田だったが、ハーフは62分台のタイムを持ち実力はすでに知れ渡っていたであろう。
前回の箱根では4年生にして初出場となった吉野(現JR東日本)が10区で区間2位、従来の区間記録を超える走りを見せた。これに続けるかどうか、注目だ。

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