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正義が死んだ日

正義とはなんだろう。
ニーチェは神は死んだと言った。
今日は正義が死んだ日になるかもしれない。

The darkest places in hell are reserved for those who maintain their neutrality in times of moral crisis.
-地獄の最も暗い場所は、道徳的危機に臨んで中立を保っていた人のために用意されている-(ダンテ)

1.正義の定義
広辞苑では、
正義=「正しいすじみち。人がふみ行うべき正しい道。」とされている。
マイケル・サンデルの「これから「正義」の話をしよう」では、幸福、自由、道徳の3つのアプローチから我々が個々に正義について議論をする必要があることを語っていた。

小難しいことは脇に置いて、率直に正義とは何か思い浮かべてみよう。

スーパーヒーロー、仮面ライダー、警察官、裁判、法律、桃太郎...

等々、人に思い浮かべるものは違う。

では、正義とは何か。
なぜ、正義と聞いて先程のものを思い浮かべたのだろう。

・町を怪獣から救う
・化け物から人を救う
・犯罪者を捕まえる
・ちょ、まてよする
・善悪の判断をする
・鬼退治する

共通項でくくると...
【確固たる善悪の判断により善良な者を悪者から守る】といった感じだろうか。

善悪とは何か。
善とは何か、悪とは何か。

2.正義の正体
【善いもの】
配慮、協調、幸福...

【悪いもの】
賄賂、汚職、犯罪...

富、名声はどうか。
そもそも世の中にある全てのものが善いもの、悪いものの二つに分けてしまえるのか。

では、戦争はどうか。

例えば、
A国がB国から独立するための戦争
A国がB国を植民地にするための戦争
A国が世界の脅威であるB国を粛清するための戦争

同じ「戦争」でも異なった背景がある。善い戦争だろうか、悪い戦争だろうか

「戦争なんて悪いに決まってるだろ!」
「そんなの分からない」
「そもそも善悪とは~云々かんぬん」
という感じだろうか。

では、自分のパートナーとの言い争いはどうか。
第一次?第何次?家内大戦の勃発である。

パートナーが言う
「私のアイス食べたでしょ!」
私はいう
「ずっと食べてないのが悪いでしょ!名前とか書いとらんかったやないかぁあぁいっ!」

さあ、どちらが悪いのか。

桃太郎はどうか。
桃から生まれ、仲間を集め協力し、悪の権化である鬼退治にいく桃太郎。鬼を倒し財宝を手にする桃太郎。めでたし。

鬼を主人公にするとどうなるだろう。
ある日突然、桃から爆誕した男が鬼退治にいくぞとの情報あり。しばらくして、ちょいかっこいい風の男がイケてる集団を引き連れ家を襲撃しにくる。ぼこぼこにされ、家にあるものを根こそぎとって帰っていった。
強盗致傷の物語である。

桃太郎は善人か、悪人か。

どうやら善、悪は文脈によって異なりそうである。
そして、正義はある側面では善であり、ある側面では悪であるようだ。

3.正義が死んだ日
我々は一定の価値観に基づき争う。
それが個人の価値観の対立であれば喧嘩、何かしらの正統性が与えられた複合体としての価値観の対立であれば戦争である。
あくまで規模の違いであり本質は我々の価値観の衝突である。

戦争は価値観の違い、摩擦により起こる。そして、焦点のあて方、立場によって善悪の判断が変わってくる。
善悪の判断は、その瞬間に存在する個人ないし集団の価値観に左右される。

かつて刑法200条というものがあり、そこに規定されていた尊族殺人については死刑または無期懲役であった。
しかし、憲法違反となり廃止された。
少年法、同姓婚、夫婦別姓、クローン人間等々の問題はどうだろうか。
これまでの歴史は考慮されつつ全ては、今、ここにある価値観で判断が行われる。
在るべき形とは何か。決めることができるのは誰か。

正義は死んだ。
そして、「正義」が生まれた
「正義」は誰にとっての何なのか


確固たる(絶対的な)善悪という基準がないなかで、我々は何に基づき判断をするのか。
絶対的基準を失い全てを相対化する価値観が主流となった世の中で我々は如何にして進むべきか。

○確固たる真善美(正義)はあるのだろうか。あるとしてそれは何か。

○我々はなぜ争うのか。争わないことは可能か。

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