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「飲酒」について思うこと

 初めて口にした酒は親父が飲んでいたサッポロ黒ラベルだった。酒を飲むことが大人の第一歩と思っていた。

 それからは毎晩欠かさず飲む、休みの時運転をしない日は明るいうちから飲む、迎え酒は当たり前、と酒好きのアウトロー風な自分に酔っていた時期を経て、現在は休肝日を設けたり焼酎とウイスキーを中心としたプリン体フリーな飲み方にしたりして健康にも気を配りつつ、酒を愛する気持ちは変わらずにいる。

 しかし酒を飲むことの何がそんなに好きなのか、文章に書き起こすことで、改めて突き詰めてみたいと思った。

●騒ぎたい

 特に大学時代、コンパやらクラブやらフェスやらで傍迷惑にしていた時期がそれにあたる。楽しいことも沢山あるが、やらかしたことも山ほどある。お世話をしたこともお世話になったこともある。毎週末は必ずオール、という時期もあった。無理にお酒を勧めることはしなかったが、私と飲みに行くと長くなるな……とは思わせていたと思う。

●酔いたい

 それを女性に言われるとドキッとするが、私が酔いたいと思う時は二つあった。一つ目は、嫌なことやつらいことがあった時にその気持ちを薄めたり麻痺させる目的の時だ。多少の不満の解消にはなるのだが決して解決はしない。
 二つ目は、例えるなら子供の時に1人でくるくる回りそのまま寝転んで天井がぐるぐるするのを楽しむように、酔う感覚そのものを楽しみたい時だ。一人暮らし時代に金欠になって暇な時、安くて強い酒を飲んで時々それをやっていた。一歩間違えばアル中である。さすがに今は一人になる時間もほとんどないのでそんなことはしないが、やはり人間ヒマになり過ぎるとダメだ。

●お付き合い

 上司に誘われる、お客さまに誘われるなどがそれにあたる。酔えない、酔ってはいけない。どんなに飲んでも気持ち悪くなっても自分から帰ると言ってはいけない。なぜなら仕事の延長だから。
 とある上司に昔言われた「わしの飲み会は公私混同有りの無礼講無しや!」というパワーワードは、今はいろいろまずいかもしれないがある意味、深おもしろいので名言だと思っている。

●祝いたい

 自分を褒めたかったり、他人を褒めたかったり。ご褒美としての酒や、何かに捧ぐための酒。ちょっと奮発してちょっといいやつをちょびちょびやる。これはいつも尊いお酒。自分の子供達と初めて飲む時は、何を飲もうかと楽しみにしている。

●語り合いたい

 結局のところ、私にとっての一番の目的はこれである。その人の性格や考え方、素面ではなかなか出てこない本音や情報が聞けるのは、酒の席の良いところである。
 楽しく飲むのが大前提ではあるが、時には厳しい指摘を頂いたり、涙を流すような事があったり、大人が「本性を人前で曝け出す」という事はなかなか難しいので、たまには酒の力を借りて解放してやるのは良い事だと思う。

●ふらっと行きたい

 大人になってからの想い出はいい事も悪い事も含めて、傍らに酒が共にあることが多い。でも飲まないといけない訳ではないし、もしこれから飲めなくなったとしても「その場で過ごす人達と楽しむ時間」を大切にしよう。

 この2年は子供達の受験があり、万が一にも私が原因でコロナをうつしてはいけないと思い、本当に長らく外で飲むことを控えている。本当にいつかは、マスク無しで飲みに行けるようになる日が来ることを願う。

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