バッハのシャコンヌという曲について

Tarregaguitarです.以前,YouTubeにアップしていたリンクを貼り付けました. 曲の紹介としてここでまとめてお話します.

前のアップにはタイトルと説明部分で1983年録音とありましたが1984年の間違いでした.

バッハ好きのギタリストなら一回はステージで弾いてみたい「シャコンヌ」です。ギターの神様であるセゴビアがギター用にアレンジして初演しました.ピアノでもプゾーニ版なるものがあって他の楽器でも弾かれる曲です.調性は二短調でギターだと移調せずに弾けます.主題が演奏された後,次々と変奏が繰り出されていって,高速スケールの変奏に至ります.その後が,これが天才作曲家のなせる業でしょうか.アルペジオが続く長い変奏部分があって(アルペジオ部分だけでも壮大さを感じます.どの様にこの部分が弾けるかでかなり技量がわかるでしょう.),そして,また主題が現れます.ここで,一区切りで,ニ長調に変わり,この後半部分でも教会のパイプオルガンの響きを思い浮かべるような,低音と高音の掛け合いが見事な重厚な変奏があって,再び二短調に戻ります.そして,最後は長いトリルで静かに終わる、まるで一人の人生ドラマを見ているような錯覚に陥ります.アルペジオ部分とかギターでは弾きやすいですが,ヴァイオリンは弓を使うので大変そうです.だから、セゴビアは,この曲はバッハが元々リュート用に作曲したのではないかと言っていたそうです.バロック時代の当時,リュートは二短調調弦であり,それもあって,セゴビアの言葉は意味深いです.ヴァイオリンで弾かれるときの高音の輝きはありませんが,ギターの音域はチェロと同じく一オクターブ低く人の声域と同じです.ですから,落ち着いて聴くことが出来る.ですが,この曲は難曲で,セゴビアが初演した時は,ヴァイオリニストから崇高なこの曲を侮辱するのかと非難する声が上がったのもうなずけます.そういった演奏家や批評家の圧力に屈することなく,ギターを他の弦楽器と同様な芸術の世界に持って行ったセゴビアには頭が下がります.スペインにおける音楽分野での演奏家として,チェロのカザルスと並び称されている芸術家と言っていいのでしょう.セゴビアの思想に迎合する訳ではありませんが,音楽を愛する者にとって,音楽を表現するために自分でその楽器が使いこなせれば,それを使って表現できればいい,音楽は誰にでも探求して自由に楽しむ権利がある,と最近よく思います.このChaconneに関しては,Tarregaguitarは,よりシンプルな編曲で,ヴァイオリンのベーレンライター原典版を参考にして若干の低音のD音を入れています.ギターという楽器はEの音を鳴らすときに楽器がよく鳴りますが,6弦からなる通常のギターで,一番低音の第6弦を通常EであるのをDに落としたときに,ニ長調やニ短調の曲の響きが豊かになります.というか響かないと楽器としての魅力を感じません.(2019年記)

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