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カンボジアを生きる わたしたち ~カンボジアで出逢ったステキな女たち、男たち、そしてわたし~ 67.日本のイメージ

 その頃、私はサビーのほかに、レスマイ、マラン、シノダー、ソニダーという仲間が出来た。シノダーはもっぱらノートを借りる相手だった。字がきれいだったから。レスマイは学級委員長で、文学少女。おとなしくておしとやかなクメール女性だった。マランはちょっとわがままなお嬢さん。でも気がよく、私にいろんな話をしてくれた。ソニダーはとても早口で、彼女の話すクメール語にはまったくついていけなかったが、ニコニコ私に話しかけてくれた。

 ある日女の子仲間で話をしているとき、マランが声を潜めて私に聞いてきた。

 「ボンユキー。あのね、日本ではおかしな文化があるのね?」

 「?」

 「この間雑誌を見ていたら、こんなことが書いてあったのよ。日本の文化には、女性が裸になって、その上に料理を載せて男性が食べるのだって」

 「!!!!!!」

 どうやら、カンボジアで人気のあるその名も「プロチァプレイ(人気)」という名前の雑誌に、日本レポートということでそんな記事が載っていたらしい。レスマイはさすがに顔をしかめて聞かないふりをしていたが、他の女子のたちは興味津々。

 「ちょっとまってよ。それは文化じゃないわ。確かにそういうことをしている人間がいるのかもしれないけど、それは金持ちとかそういう世界の人たちの話で、一般の社会の文化ではないのよ」

 「ふぅん。」

 いやはや、まったく何という偏った情報だ。度肝を抜かれるというのはこういうことを言うのだろう。

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