#20 社会科 「自分たちにできることを考え表現する」とは
よく社会科の学習指導要領で、内容の取り扱いの項目に以下の文言がある。
警察・消防・水・防災など、特に中学年に多くある。自分たちにできることを考えるとある。
これを踏まえ、教科書にも同様の内容が「まとめ」のところに出てくることが多い。
社会科を学んでいなくても書ける。
しかし、ここで大きな問題が発生する。
「自分たちできること」を考えさせると、学習と関係のないことや学習していなくても言えることがたくさん出てくる。
例えば、
・ポスターを作って啓発する
・交通ルールを守る
・節水する
・防災バッグを用意する
などなど
社会科の学習をしていなくても、書ける児童は書けてしまう。
社会科として、「自分たちにできること」を問うこととはどういう意味なのか。
社会の仕組みを条件に設定する
社会科は「社会の仕組み」を学ぶ教科だと思っている。
そこで、学習した社会の仕組みを自分たちにできることに盛り込むことができれば、社会科としての「自分たちにできること」になる。
一番簡単なのは、理由づけに社会の仕組みを書かせること。
「水を大切に使っていきたいと思いました。なぜなら、水を引くために先人が努力をしてサイフォンやダムなどを建設して、すべての水に安全な水を提供していくれているからです」
この「なぜなら」の後は、先人の努力と工夫に関するところで、社会の仕組みと言える。
次に考えられるのが、社会の「限界」を書かせること。
警察や消防、公助などは、市民を犯罪や火事、災害などから守る国のシステムである(社会の仕組み)。それを学習した際に、「では、あなたたちは何もしなくても市民は安全に暮らせますね?」と発問する。そこで子どもたちは、考える。そして、どれだけ国がシステムを構築しても、完全に補えない部分を話し合わせる。それが「限界」である。
そこで、例えば、「警察官ができていないところを考えてお願いしよう」という課題を設定する。そこが社会の仕組みの限界であり、その課題点を踏まえて自分たちにできることを考えさせれば、より社会科として根拠のある提案となる。
最後に、社会に向けて何かを提案させること。
先ほどと少し似ているが、社会の仕組みの限界を踏まえて、自分たちにできることを考え、提案させる。
例えば、
・新しい道路標識を提案する
・新しい地図記号を提案する
などが考えられる。
以上の3点が、社会科として「自分たちにできること」を考える手立てとして有効だと考える。
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