◆ 恋人 The Lover / LAMOVREVX 無料のマルセイユタロット
理想の世界をイメージする、思い描くだけの状態から、実際に他者との関係性の中へ入って愛の世界を体験をするのが恋人のカードです。
これまでの愚者~教皇までのアルカナが、社会的地位や身分を表す姿をしているのに対し、ここでは職業不詳の人物たちが描かれ、その関係性は複雑さを持っているように見えます。人が人と関わるとき、身分などは関係なく、誰もが同じ心的体験をするのでしょう。
他者と関係性を結ぶということは、様々な感情の交流がうまれます。それは共感や愛を呼び起こし繋がり・一体感を感じることができる崇高なもの(神との一体感の疑似体験)にもなり得ますし、嫉妬などのドロドロしたものにも簡単に転化します。
これまでのアルカナとのもうひとつ違いは、天界から使者がやってきていることです。小天使のようにも見えますし、ギリシャ神話で恋心と性愛を司る神さま、エロースであるとも言われています。
使者の放つ矢に定規をあててみると、右側の女性と真ん中の男性の間にある手を狙っているように見えます。ふたりを切り離そうとしているのか。それともこれから的を変える可能性も否定できません。いずれにしても、誰かが誰かを愛するとき、それは個人の意志だけで選択できるものではない、ということを示唆しているように見えます。恋に落ちるとは、別次元の存在から矢で射られることなのかもしれません。
このカードのリーディングにおいては感情的な投影が幾重にもなされるので、一概にこう読めばいい、とはいかないです(どのカードもそうですが)。占われる立場の人が瞬間的に感じることはどれも正しいと言えますが、それは恋愛というものの複雑さを表しているようにも思えます。カードのキーワードに”直感”がありますが、直感を狂わせるのが恋愛です。
また、左側の女性は赤い袖を持ち、右側の女性は水色の布のようなものを肩からかけています。表情や手の動き、花冠などから赤い女性が性愛を、水色の女性が聖愛を表現しているようにとれます。
性愛:男女間の性的な愛情
聖愛:きよらかな愛
(「スーパー大辞林」より)
また赤と青は動脈と静脈のようにも見えます。
真ん中にいる男性が心臓。
水色の女性は男性の心臓のあたりに手を当てています。
人間は動脈と静脈で違う機能を持ち、両方あって循環がうまれ、生命を保つことができます。どちらも大切。エロス(生)とタナトス(死)が一体であるように、人間が片方だけを選ぶということができるのでしょうか。
「単に精神的でプラトニックなだけの愛というのは、愛ではない。それは、はてしない優しさだ。」
「単に性的で情熱的なだけの愛というのは、愛ではない。それは、利己的な欲望だ。」
という、ホドロフスキーの言葉を思い出しました。
とはいえ物理的に二人の人間と交際することは現実面においてはトラブルを生み出します。この二つの性質を統合した存在との出会いが、ソウルメイトもしくはツインソウルなのかもしれません。誰にもそういう人がいる。課題があったとしても。しかしそれを達成するのは別のアルカナであると考えています。
6という数字は形であらわすと上向きの三角形と下向きの三角形が交わり六芒星になります。これは反対方向を向くエネルギーが交わり合体する図です。男性(性)と女性(性)が天界の存在が放つ矢により、愛が流入してきてひとつになり結ばれる、そんなイメージです。恋人たち、と複数形ではなく単数なのも2人でひとつだからなのかもしれません。
【キーワード】
正立
・選択
・コミュニケーション
・社会生活
・直感
・曖昧さ
・好きなことをする
・恋をする
・仲介する
・仲裁する
・紹介する
逆位置
・コミュニケーション不足
・選べない
・選ばないといけないと思っている
・喧嘩
・話し合いがうまくいかない
・二股をかけている
・直感を信じない
・直感だけに頼っている
・別れ
・人間不信
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