『作家の収支』(森博嗣、幻冬舎新書)

『作家の収支』(森博嗣、幻冬舎新書)

デビューして今年(2015年)の4月で19年になる。その間に国内で印刷出版した本は、278冊、総武数は約1400万部、これらの本が稼いだ総額は約15億円になる。1冊当り約5万部が売れ、約540万円を稼いだ計算になる。

革新的な本である。著名作家が自分の収支の内訳を詳らかにし、それを本にしてしまう。こんなこと、作家以外の職業においても極めて異例である。

作家の印税は10%が相場であることは、わりと知られているかもしれない。
しかし、
・小説雑誌の原稿料はいくらか?
・映画化やドラマ化した場合はどのくらいの収入になるか?
・講演料って儲かりそうだけど、実際はいくらなのか?
といったことは、なかなか公にされることはない。

本書ではそれらがすべて具体的に語られる。

作家が専業で食べていくことは困難になっている。よく名の知れた作家でも、本が売れずに生活に困っている人は少なくないはずである。
森博嗣は作家として稀有な成功例の一人であり、これほど稼げる作家は数えるほどしかいないはずである。
それを踏まえても、作家を目指す人にとって本書は必読書と言える。自分の作家としての成功イメージが実現したとき、いくらくらい稼げるのかシュミレーションしてみるとよい。職業として作家を選ぶなら、その仕事からどれだけの対価が得られるか、知っておいて損はない。

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