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"成長したい"アラサー世代のための成長戦略

僕は常日頃からとてもたくさんの人のキャリアのお悩みを聞きます。自社で採用をやっているので、採用プロセスでも聞きますし、プライベートでも聞きます。取引先の方にキャリア相談されることもあります。

一番多いのが20代後半から30代前半くらいの方のお悩み相談です。ちょうどこの年代で、転職市場でも即戦力としてみなされるようになり、スカウトなどを受けることも急激に増えます。新卒から入社5〜8年くらいの方は30歳を手前に自分のキャリアをあらためて考える方多いですし、大学卒業から3年くらいで転職した人も2回目の転職を考える時期です。30代をどう生きるかを決める上でも、ひとつの節目になります。

たくさんの人のキャリアのお悩みを聞いていると、一定のパターンがあることに気づきます。学生・新卒の悩みにもパターンはあり、アラフォーのお悩みにもパターンがあります(アラフィフ以上の方のお悩み相談を受けることはあまりないですが)。
今回はアラサー世代のキャリアのお悩みパターンについてご紹介します。


"成長"の3パターン

30前後の方のキャリアのお悩みを聞いていて、共通しているのは「成長したい」という点です。20代を順調に成長してきた方も成長速度が落ちている実感が出てきます。20代を外資系企業などで馬車馬のごとく働き、働き方を変えてペースダウンしたい人でも、やっぱり成長は続けたいと考えています。

分かれるのは「どんな形で成長したいか」です。それによって積みたい経験が変わります。次に積みたい経験のパターンはだいたい3種類に分かれます。

具体的には、

  1. 専門性を深めたい

  2. 経験の幅を広げたい

  3. マネジメント経験を積みたい

といったパターンです。これらはすべて”成長の志向性”のパターンと言えます。
これらの志向性と、転職を検討している選択肢がずれていると、転職活動はだいたいうまくいかないことが多いです。
さらに「年収はできるだけ高く」という”経済条件”も当然加わるがちなので、難易度はさらに上がります。
「◯◯業界にいきたい」「◯◯領域にいきたい」という”業界(事業ドメイン)の志向性”も条件を絞ると、難易度はさらに上がります。

転職の難易度というか、選択肢の幅はこの1️⃣成長の志向性、2️⃣経済条件、3️⃣業界の志向性の掛け算で決まるので、まずこの3つをどの程度重視するかを選択する必要があります。自分にとって優先度の低い要素は、条件をできるだけ緩和した方が、自分にとってよい選択肢を探しやすくなります。

その上で、自分で判断するのが一番むずかしいのが成長の志向性です。そして、誰にとっても譲りにくいのも成長の志向性です。業界についてはあまり気にしない人も多いです。経済条件については極端に重視する人から、一定ラインを超えていればそれほど重視しない方まで、かなり人それぞれです。

成長の志向性

3つの成長の志向性ごとに、どのような選択肢が選べるか一般論を解説します。

専門性を深めたい」は比較的わかりやすいです。自分の知っている領域の延長なので、どんな環境で専門性を深められるかは想像しやすいことが多いです。市場価値の相場もだいたい決まっており、自社または業界の先輩などを通じて情報収集もしやすいので、年収の上がり方もイメージしやすい。
身近に相談できる知人がいなくても、その職種に強い転職エージェントも給与相場を把握していますし、最近だとITエンジニアならPROJECT COMPのように会社ごとの平均年収がわかるサービスもあります。
専門性を深堀っていくキャリアの場合、現職での専門能力の向上とそれに伴う市場価値向上に対して、現職給与の上昇が伴っていないことも多いので、年収を上げつつさらにスキルアップを狙うような転職も比較的しやすいのではないかと思います

経験の幅を広げたい」場合、今までの経験の延長からどのくらい飛躍した経験を積みたいかによって難易度は変わります。
これまで身につけたスキルが活きにくい仕事を選ぶほど、当然ながら年収も上げにくくなります。
年収を上げながら新しいチャレンジをする機会をもらえるのは、すでに実績と信頼関係がある現職か、よほど人が足りなくて困っている会社でのポテンシャル採用くらいだと考えたほうがよいと思います。(超サイヤ人クラスの人材は例外)
特に全くの未経験分野での転職は企業側の採用リスクも高く保守的に評価されるので、年収大幅ダウンになることも多く、その後の実力がついてきても十分に年収が上がるまで時間がかかってしまうことも多いです。たいていの会社は前職年収をベースに評価するという現実もあり、その後再度転職する際にも過小評価されつづけることになりやすいわけです。
これを回避する方法としては、まず副業などで低単価ないし無報酬でも、実務での経験を積んでから転職するのもひとつの手です。現職で少しでも新しい業務を経験させてもらってから転職することができれば、それが理想的です。

マネジメント経験を積みたい」はとても悩ましい要件です。「マネジメント経験を積みたい」と言うとき、たいていの人は部下を持って人をマネジメントする仕事をイメージしていますが、そもそも新しい会社にあとからマネージャーとして入って仕事をするのは誰にとっても難しいし、マネジメント未経験者だとかなり厳しいです。単純にマネジメント経験をはじめて積むには、信頼関係をゼロからつくる必要がある転職より、ある程度周囲の信頼関係構築ができている現職でまず経験を積むほうがオススメです(それが可能であれば)。

このようにマネジメントで成果を出すのは難しいので、たいていの日本企業では「マネージャー候補」「幹部候補」と書かれた求人がたくさんあります。外資系企業などはマネジメント崩壊リスクを考慮せずに容赦なくマネージャーを中途で投入するので、上司ガチャが発生して楽しく働いていた有能なメンバークラスが上司交代により退職するといったことがしばしば起こります。

また、一言で「マネジメント」といっても、そこで求められる能力や経験にはかなり幅があります。
たとえば、マネジメントする対象として、営業の人が自分の専門領域である営業チームをマネジメントするのと、様々なスキルの人が集まった事業部組織をマネジメントするのでは、仕事内容が得られるスキルが全然違います。
単に「マネージャーにならないとこれ以上キャリアップしにくい」という印象からマネージャーを目標とする人は多いですが、自分にとってどのような環境でのマネージャー業が向いているかは経験がないと自分で判断しにくいし、よいマネージャーになるためにはいきなり部下を持つ前に、自分自身の専門性を深めたり経験の幅を広げた方が近道になることも多々あります。

メンバークラスの給与上限が低い会社・業界ほど「マネジメント経験を積みたい」志向の人が多くなりがちです。ITエンジニアや金融業のように専門職で給与水準の高い業界では、プレイヤーとしてのキャリアを長期にわたって追求しやすいという特性があります。また、外資系企業でも、一般的にプレイヤークラスでの給与上限が日本企業より高いため、ある程度シニアクラスまで上がってから日本企業に転職しようとしても、自分に向いていないかもしれないマネージャー職に就かないと給与水準を維持するのが難しくなります。その場合、マネージャー的な役割を担わずにキャリアを追求するには、外資系など狭い選択肢の中で決めるか、ある程度の年収ダウンを許容することが迫られやすいです。

自分なりの選択軸を明確にしよう

何はともあれ、自分なりのキャリアの選択軸を明確にするのが大事です。
オススメの方法は、3つの要素に10ポイントを割り振ることで、自分の価値観を可視化することです。
これを、1️⃣成長の志向性、2️⃣経済条件、3️⃣業界の志向性 4️⃣その他(具体的に)という要素で行います。

※その他にはワークライフバランス、住むエリアなど、自分が大事にしたい要素を追加。

そのうえで、成長の志向性については、方向性をひとつに絞ります。これは、複数同時追求するのが極めて困難なので、明確にひとつに絞っておかないとどっちつかずの人材になってしまいます。


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