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試合でピントを合わせるには?

スポーツ写真の「基本」はピントを合わせて撮ることです。むしろピントさえ合えばあとは大概どうにかなります。逆を言うと、ピントが合っていないと写真としてどうにもなりません。(どうにかこうにかなる誤魔化しの救済方法はいつかその気になったら書きます)

ピントってなんだろう?

ピントが合っていない写真・ピントが合っている写真の両方を並べて説明します。

まずはピントが合っていない写真です。

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“パッと見”はピントが合っている写真に見える「かも」しれません。(撮り慣れている人からするとピントがないのがバレバレの写真です石投げてこないで

拡大すると、もう少し分かりやすいです。

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選手の身体のラインがボヤけています。さらに、一眼レフカメラだとよりいっそう引き立つはずの背景ボケも、ピントが合っていないと全く引き立ちません。「選手の顔や身体のラインがはっきりした線で見える」「背景がきれいにボケる」、これがピンとが合っている状態です。

…ふぅ。
ピントが合わなかった写真をまじまじと見ることがないので(その場で消去してしまうことが多いので)、こんなにデカデカと載せると精神的に良くないですね。

次。ピントがきちんと合っている写真です。

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背景ボケに対して、選手の身体のラインがくっきり浮き出ているのが分かりますか?拡大してみます。

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これ以上 失敗例を見たくない気持ちを忍んで、先ほどの写真と同じ縮尺で並べてみます。

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こんなに違います。(左の失敗例に動悸が激しい)

ピントが合えば、写真がきれいに見えるだけでなく、多少「トリミング」して一部を拡大したときでも写真の質がある程度保たれます。左も右も、同じボディ(Canon 7D mark2)で撮影しているので、いかにピントが大切かはこれでお分かりいただけるかと思います。

書きながら自分にもブーメランが刺さって辛いのでそろそろ次の項目へ。

半押しせずにシャッターを切った場合

いきなりシャッターを押し込んだとしても写真が撮れないことはないです(※ピントが合わないとシャッターが下りない設定もあります)。特に最近はカメラもレンズも性能がどんどんあがっています。ミラーレス一眼レフカメラに至っては顔認証搭載で勝手に顔にピントを合わせてくれる機能までついていたりするので本当にいい時代になりました。

後ほど「シャッターを半押ししてから押す」ことの大切さを書きますが、なにも考えずにとりあえずシャッターを押した場合は、カメラが自動で「これがピントかな?」と判断してシャッターがおります。撮れているときもあれば、撮れていないこともあります。撮れていないこともある、というのは、この記事の1枚目で載せた先ほどの失敗例は、まさに半押しする暇なくシャッターを押して失敗した例です(だって内野手の動き早いんだもん)。それでも運よく撮れたりすることもあるのでシャッター切らないよりは切った方がいいんですけどね。

それから、半押ししないでシャッターを切って失敗した例としては、カメラが判断した「これがピントかな?」の対象が間違っている場合です。下の写真は、とてもきれいに撮れた審判の後頭部。

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ちなみに、「違う!」と思っていても、シャッターをそのまま押して連写している間は、ピントはずっと審判を捉えています。カメラが空気を読んでくれて連写の途中からデスパイネにピントが移ることはありません。

どうしたらいいかというと、一度指をシャッターから離して、もう一度シャッターを切りなおす。切り直したときにカメラが今度はデスパイネにピントをあててくれたら、審判がボヤけてデスパイネにピントがきます。ただし、次もピントが審判にいく可能性もゼロではありません。それでは、思ったところにピントを合わせるにはどうしたらいいか。ここで、「半押ししてからシャッターを切る」必要が出てきます。

半押ししてからシャッターを切った場合

それでは、意図したところに、より正確に、ピントを合わせるには。

一眼レフのシャッターは「2段階」あります。
ファインダーに選手を納めたら、そっと半押し→ピピッと音がします&ファインダーの中の「□」(ピント)が選手に合ったら→そのままシャッターを押し込む。

文字にするとやらないといけないことがたくさんあるように見えますが、慣れれば上記の太字部分ぜんぶで1秒くらいです。望遠レンズを覗きながら選手をファインダーに納めてシャッターを切るまでの一連の時間をどのくらい短くできるかが、上達への近道です。

先ほどの失敗写真をもう一度載せます(胃痛)。

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写真がこうなってしまった場合、即座にシャッターから指を離して、デスパイネをファインダーの中央に合わせて再び半押し→シャッターを押し込む、ことをすれば、きちんと撮り直せます。デスパイネの脚が上がっている時間が2秒くらいだと思うと、かろうじてやりなおしがききます。

よくあるのが、焦った結果、半押しせずにシャッターを押したまま、そのまま「押しこみ続けてしまう」。そうすると、審判の後頭部の写真がただただ量産される結果になります。繰り返しますが、シャッターを切り始めてからカメラがピントを変更してくれることはありません。

ちなみに、いきなりシャッターを押して審判やネットにピントを盗られる(=カメラが「ピントはこれかな?」を間違える)のは意外とあるあるなので、「半押ししてからシャッターを切る」はできるだけ早く習慣にしてしまったほうが後々楽です。

ファインダーのどこにピントがあるの?

ここまで読みながら、ファインダーを覗いてみたら「ピントはどこにあるのか」と思うかもしれません。そこで、下のピントの選択エリアの出番です。

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引用元:Canon eos 80D 快適なAF(画像クリックで公式サイトに飛びます)

カメラを触っていると、↑の選択肢が出てきて迷ったことがある方もいると思います。

先ほど「いきなりシャッターを押したけど、なんとか撮れていた」場合に一番多い設定は、「45点自動選択AF」になっているときです。あ、置いてけぼりになりそうになっている方を急いで救済すると「AF」とはオートフォーカスのこと。完全なイコールではないですが「AF=ピント」と思って覚えていても今のところは問題ないです。

45点自動AFの場合、ファインダーの〔 〕内に存在する人物の中から、カメラが自動でピントを選んでシャッターを切ります。「45点自動選択AF」→「ファインダー中の45点の候補の中から自動でピントを選びます」ということです。そのため、審判の後頭部もピントの範囲に含まれてしまい、カメラの誤認識が生まれます。

オススメは、「ラージゾーンAF」か「ゾーンAF」。

「ラージゾーンAF」→広い範囲(ゾーン)にピントが合う、「ゾーンAF」→その範囲(ゾーン)にピントが合う、ということです。

「ラージゾーンAF」か「ゾーンAF」に設定して、ファインダーを覗きます。シャッターを半押しします。ピピッという音と共に、ファインダーの中に□が表示されます。この□は「これがピントですか?」というカメラからの質問です。ラージゾーンAFなら□が2~3個、ゾーンAFなら□が1個、表示されます。撮りたい選手に□が合っていれば、そのままシャッターを押し込む。合っていなければ合うまで何度も半押ししてシャッターを押し込む。これでOKです。

シャッターを切るまでに、「ピピッ ピピッ ピピッ カシャッ」と、このくらい何度か半押しを繰り返すことも少なくありません。不器用な方や、指の力が強すぎる方は、半押しの加減を触って覚えてみてください。


ちなみに、1点AFは「ファインダーの中で1点しかピントがない」設定です。この1点が選手からズレてしまうとピントが違うところに行ってしまいます。慣れるまでは「ラージゾーンAF」、もう少し慣れてきたら「ゾーンAF」にするのがオススメです。

動いている選手にピントを合わせるには?

野球の場合、常に被写体(選手)は動き続けます。

望遠レンズを覗いたまま、撮りたい選手がファインダーの中央に来るようにカメラで追いかけながら、シャッターを半押し→ピピッ→カシャっと押し込まないといけなくなってきます。

ただ、選手にきちんとピントが合わせられていれば、審判が重なっても、ピントは選手に合っています。この場合も、二塁に走り出す選手をずっとファインダーで追って半押しし続けているので、たとえ選手とカメラの間に審判が割り込もうとも、ピントは選手に合ったままになっています。

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そして、運よく審判の陰から選手が抜けたタイミングで、シャッターを押し込めば大丈夫です。

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ただ、より正確にピントを合わせようと思うと、審判の陰から選手が抜けたタイミングで、シャッターを切る前に一度指を離し、もう一度半押し→ピピッとピントを合わせたほうが確実です。スライディング等で緊迫しているときにはかなりの思い切りが必要になります。思いきりというより度胸かもしれません。1秒で景色が変わってしまうので、半押し→ピピッ→シャッターまで、どれだけ時間短縮できるかが自分の中での静かな勝負になります。

動いている選手にピントを合わせるには?その2

同じ話を、違うシチュエーションでもう一度書きます。上で「なるほど」と思えた方は飛ばしてください。

今度は捕手を撮るときを例に挙げます。捕手はキャッチャーミットを構えているだけでなく、試合状況に合わせてもちろん動きますよね?

座っているときにピントを合わせていました。

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そして、不意に立ち上がったとき、「ピピッ」と半押しし直すことなく、座っていた状態のときの半押しのまま、シャッターを切ったのが↓です。

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恥を忍んで、それぞれを拡大してもらうとより分かりやすいのですが、下の写真のピントはほぼありません。「ピントがぬるい」という言い方をしたりします。この写真の場合は、表情を見ようといきなりズームインしたりしたのでなおさら、ピントがぬるいです。線がはっきりしていません。

立ち上がったときに、思い切って指をシャッターから離して「半押ししなおす」→ピピッとやってシャッターをきれば、立ち上がった状態でもピントを合わせ直すことができたはずでした。

動いている選手にピントを合わせるには?その3

その1とその2と同じことを もう1度、さらにシチュエーションを変えて説明します。文字化の限界が来たので、実際の写真に書き込みました。

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ピピッが半押しのタイミング、カシャがシャッターのタイミングです。ピントがズレてくるなぁと思ったタイミングで、半押ししなおしています。

8枚並んでいますが、一連で1~2秒です。その間に半押しを4回しなおす&シャッター(連写)は8回切られているということになります。

ピントがずれてくる主なタイミングは、「自分との遠近感が変わる(こちらに走ってくる/遠くに走っていく)場合」、「体勢が大きく変化するとき(突然立ち上がる、しゃがむ、投げる、打つ)」ときです。


撮れば撮るほど、ピピッ&カシャのタイミングはつかめてくると思います(書きながら胃が痛い)。

書きながら痛感しましたが、結局 経験数です。ただ、「スポーツ以外の写真を撮っていたことがある」、「それからもともとプレーヤーとして野球をしていた人」であれば、ここの上達の速さが人よりも早い気がします。どんな動きをするかを知っていれば、ちょっとでも気持ちにゆとりを持って選手を追えますし、思い切って指をシャッターから離して半押ししなおすことができます。

伝わっているといいなぁ。(息切れ)
次回、ピントを踏まえてスポーツモードで撮るときについてまとめようと思います。


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