メモ:カント倫理学の初歩の初歩の初歩――カント倫理学の基本の単語について

こんにちは、LEOです。

今回はタイトルにもある通り、カント倫理学の基本単語についてのメモをしていこうと思います。

カントと聞くと、難しいイメージもあると思います。でも、基本的な言葉を抑えると、少しだけ読みやすくなるはずです。(難しいのは変わらないけど…)

また、倫理学という分野は、僕たちの生活に関係が深いものであるので、カントも全然わからないことを言っているわけではないはずです。それでは、基本的な単語をメモしていきます。(間違った解釈をしていたら、こっそり教えてください…)

義務

カントが言う義務の概念には善い意志を含みます。「善い」とは、伝統的に価値があると言われていた、文化価値と言われる「真・善・美・(聖)」の善の部分です。
カントが言う義務は「完全義務」「不完全義務」があり、それぞれ自分と他人に対するで分かれます。

完全義務
これは簡単に言うと、しなくてはいけない義務です。そして自己への完全義務、つまり自分自身にしなくてはいけない義務は、例を挙げると、自分の命を守ること。また、他者への完全義務、つまり他人にしなくてはいけない義務は、嘘の約束をしないこと、カントは言います。

不完全義務
これは簡単に言うと、したほうがよい義務です。そして、自己に対する不完全義務は、例えば、自分の才能を開花させること。他者に対する不完全義務は、他人を愛すること、となります。

命法

義務は僕たちの理性より命法という形で、僕たちに与えられます。命法とは「〜せよ」という形で、僕たちの行動指針(格律)にかかわってきます。命法の形は仮言命法定言命法という2種類あります。

仮言命法
これは条件付きの命法です。条件付きとは、「〜ならば、〜する」ということです。例えば、「成果のために、努力する。」とかです。成果を得ると、自分の生活が潤うから努力する、といったものになります。

定言命法
これは無条件な命法です。無条件とは、条件がないこと、すなわち「〜する」という形です。つまり、「成果が得られるから努力する」ではなくて、「努力する」です。

これらの命法のうち、カントは定言命法をすべきとします。つまり、善い行いをただすることを求めます。でも、定言命法を善いか悪いかを考えないで、することはどうなんでしょうか?

それは、命法は善い意志を含む義務からのもので、理性は誤らないので、定言命法は必ず善い行為となるのです。しかし、そんな行為は簡単にできるものではないですよね?

そこで、カントは定言命法を意志することが大切と言います。定言命法の具体例が出ないので、譲歩した結果がこのようなことでしょう。

カントの他者への完全義務に、嘘の約束をしてはいけない、とありました。しかし、友人の命を守るための嘘、いわゆる優しい嘘のようなもの、はどうなるのかという議論もあります。

詳しく考えてみます。ある友人が殺人犯から追われています。そこで、友人を自宅に匿うことにしました。しかし、殺人犯が自宅に来て、その友人の場所を知らないか?と聞いてきます。このとき、どのように返答すべきでしょうか?

カントはこのような場合でも、嘘はつくべきではないと言います。もし、本当のことを言っても、友人は死なないかもしれません。それは、僕たちはどうなるか分からない、偶然と割り切ります。

また、そこで嘘をつくことは、自分への愛(自己愛)からと言います。すなわち、嘘をつくことで、友人が助かり、友人とまた遊ぶこともできる。そうすることで、また楽しい時間を過ごせる、といった自分の快楽のために嘘をつく、といいます。

人格

カントは人間には理性があると考えます。そのような人間を人格と呼びます。

そんな人格を常に目的として扱うべき、とカントは言います。目的の反対は手段です。つまり、手段として扱うべきではないことです。

例えば、お客さんは神様とか言って、少し気に食わない店員に文句を言う客を考えます。この客は店員を物を買うための手段として扱っています。それこそレジスターや看板と同じように。このような扱いをすべきでない、ということです。

カント倫理学は伊達じゃない!

ここで挙げた用語は、カント倫理学の基礎の基礎です。これだけ知ってるからカント倫理学を知っていると言ってしまうと、偉い先生に怒られるかもしれません…

ただ、これらの用語がカント倫理学の中では、重要用語ではあります。ここからカント倫理学に興味を持ってくれたらいいなと思います。

推薦図書的な?

これらの用語は『道徳形而上学の基礎付け』(通称『基礎付け』)、『人倫の形而上学』『嘘論文』等で触れられています。これらは『実践理性批判』に繋がる、あるいは応用、となっています。

興味があったら、『基礎付け』を読むことをオススメします。一番分かりやすく、読みやすい本となっています。時間があったら、チャレンジしてみませんか?