見出し画像

ババチャップってなんなん

ババチャップ、いよいよ本格始動いたしました。
ローカルメイドが旗を振り、lepicerie paneterieと広島市安芸区阿戸町のみんなで作るケチャップ、ババチャップ。
ホームページを改修しているのでこちらに色々書きこんでおきますね。


はじまりは

ババチャップのはじまりは、私が6次産業化プランナーとして活動をしていた頃のお話です。
安芸区の区役所と地域の連携の一環で生まれた、女性たちの地域活性化グループへ先生としてお邪魔させていただいた事がはじまりでした。
立派な公民館でご相談いただいた内容は、地域の特産品をつくりたいと、ご夫人たちの団体があり、どのように特産品をつくっていけばいいかの授業でした。

私はいつも特産品の開発の現場でアドバイスをさせていただく前に聞かせていただくことがあります。それは、「楽しみたい」のか、「稼ぎたい」のか、「やりたいだけ」なのか。

とても大切な3択です。どれを選ぶかで全く違う方向へ進んでいきます。そうです、「違う」のです。

楽しみたいなら

以前、瀬戸内の島で、高齢の御婦人がマーマレードを作って、美味しいと評判になって地元の方々にも愛される商品になっていて、その方々へアドバイスに行ったことがあります。
おばあちゃん達とそれを支援する方々と一緒にテーブルを囲みしっかりと今の想いをうかがっているなかで、お話してくださったことは
「高齢になってジャムづくりも大変になってきた」
「楽しいから、喜んでもらえるから頑張りたい気持ちもある」
「そろそろ引退も考えたいけれど、これまでの集大成としてなにかやりたい」
とても心に沁みるお話でした。
それを受けて、たくさん考えました。事務所に戻ってもずっとその話ばかり。
機械でキャップを閉めて少しでも楽に作業できないか
Amazonでいいのが売っている
ジャムを瓶詰めで売るのではなくて、お菓子の材料で使うことで、たくさんジャムを炊かなくても良いようにできないか
後継者を紹介できないか
などなど。
でも、どうもおばあちゃんたちのお話から受けた心の共鳴のようなものが違いました。
そして、少し突飛ではあったのですが、おばあちゃんは「楽しみたい」なのではないのかなと、そう結論づけました。
そして、そのお話をさせていただくと、すっかり嬉しそうなお顔で、「そうなのよ。」と。
そうなんです、すごく頑張って、愛情たっぷりに作るマーマレードづくりを、もう一度楽しみたい、とても純粋な想いです。
そして提案したのが、イギリスダルメインの世界マーマレードコンテストへ出品するというものでした。
それは、有名になるためではなくて、稼ぐためでもなくて、世界中の人に、ひとさじでもいいから、わたしのマーマレードを試しに食べてみてほしい。提案を受けて、おばあちゃんが言ってくれた言葉、世界とつながりたい。そんな純粋で、涙の出そうなピュアな眼差しは今も忘れることができません。

これは「楽しみたい」という選択をした場合、その向こう側にある私からの例えばの提案です。

その後、地元に住むイギリス人の友人の助けもあり、ダルメインのマーマレードコンテスト主催者さんがおばあちゃんのもとを訪問してくださるなど、ドラマティックに進んでいます。

そしてババチャップ

一方ババチャップのおばあちゃん達は、趣味から脱したい、地元に働く場所を作りたいという大きな夢をお持ちでした。
とてもお金のかかる大変なことではあるものの、その熱意は板書中にも背中からガツンと伝わってきました。
時間はかかりますが、売れない時期もありますが、しんどいですよ、覚悟はできていますか?そんな脅しのような質問にも、頑張りたいの、と、熱いおもいをぶつけてくださいました。
これは間違いなく、「稼ぎたい」ということなのです。
稼ぐという表現では間違って伝わってしまうかもしれませんが、「稼ぐ」ことを置き去りにしてしまっては、「仕事」なんて存在しません。
正しく稼ぐため、みなさんで団体の名前を考えましょう。そして、商品は珍しいものや、面白いものを我慢して、本当にいいものを世の中に出していくつもりで考えましょう。
そうやってあーと舎という団体名もきまり、ケチャップづくりがスタートしました。

稼ぎたいが始まった

「いいものをていねいに」
簡単なようでとても大変な作業、おばあちゃん達だけに任せるのは難しいかも。という不安もありました。
「食品製造業」というのは、人の命を預かる仕事です。間違いがあってはいけないので、私たちが直接製造をしながらおばあちゃん達にその作り方を伝えていく事になりました。

ババチャップ、少しおばあちゃん達は嫌そうでしたが、そう名付けさせていただき、ケチャップに合うトマトの栽培からスタートすることを提案させていただきました。
割れたトマトや、返品のトマトではなくて、ケチャップ用に大切に育てた1番いいものを使おう。最初のルールはこの一つでした。
町内にあるJAさんのやっている育苗センターで、ケチャップにピッタリのトマトの苗を作っていただいて、町内の皆さまに購入いただき、出来上がったトマトを全量買い取る。それをたっぷり使ってしっかり煮込んで濃いトマトの味のする、そんなケチャップができるまでの、大切なストーリーです。

「稼ぎたい」にはまだまだ道半ばです。地元にたくさんの雇用を生み出せるようになるその日までババチャップは、毎年進化をしながら続いていきます。

いつか、地元へ越して来られた若いお母さん、長くこの地に暮らすおばあちゃんがおしゃべりしながらケチャップを炊いている、そんな事を真剣に目指しています。

2023/3/18 ババチャップに嬉しいニュースが。
ついに我々の掲げる「生活」と「芸術」がつながり「生活芸術」が、少し強引ではありましたが、広島市現代美術館のミュージアムショップで販売していただけることになりました。
これからもババチャップをどうぞよろしくお願いします。

ババチャップを説明するスライドがあったので、追記しておきますね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?