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【創作SS】日本海夕陽ライン(改) #毎週ショートショートnote

「今日は、いつもと違うルートで帰らないか」
 彼女に提案した。彼女が師事する先生に稽古をつけてもらうため、郡山市から酒田市に送迎するようになり1年が経った。
 これまでは早朝に出発し、往復とも東北自動車道と山形自動車道を利用して、郡山~村田~山形~酒田という最短ルートを選択していた。
「新潟経由だと夕陽が綺麗に見えるらしいよ」
「美味しいもの、食べられると嬉しいな」
笑顔で車に乗り込む姿に、自然と笑みが浮かび、これからのルートを決めた。

 帰り道、休憩がてら2人で砂浜に降りた。
 少し前を歩いている彼女を真っ赤な夕陽の輝きが包みこむ。
 11月の風はかなり冷たく、長くいることは難しそうだ。覚悟を決め、コートのポケットからリング入りの小箱を取り出し、彼女に捧げた。
『結婚してください』
彼女と視線を合わせることができず、告白を水平線に向けてしまった自分が少し情けなくかなり悔しい。

 あの日から11年経ち、今は4人で夕陽を観ている。
(本文ここまで)

#毎週ショートショートnote
 たらはかにさんの【毎週ショートショートnote お題 告白水平線】に参加です。ちょっと強引な展開でオチもありませんが、お赦しください。

#何を書いても最後は宣伝
 お気づきの方もいると存じますが(というか、気づいた人がいたら嬉しい)、タイトルに(改)とありますとおり、こちらの本に収録している
【日本海夕陽ライン】という作品を修正したものになります。

 もともとの作品が「400字」でしたので、アレンジしやすく助かりました。収録版では捻り過ぎていた部分を、スッキリさせたつもりです。
 ちなみにサムネ画像は日本海ではありません。

 もちろん、悲しいことですが内容はフィクションです。
 なお、『日本海夕陽ライン』という道路が存在し、夕陽が美しいことは真実です。

 

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