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【駄文】黎明奇譚のギミック

 「黎明奇譚」と略すことが多い拙著「元宮ワイナリー黎明奇譚」ですが、amazonでの書籍紹介では、このように書いています。

公務員歴30年の経験者が描く、「公務員×ファンタジー」小説。以前出版した「公務員のタマゴに伝えたい話」が実用書よりの内容であったのに対して、今作は少し不思議な公務員小説です。

 これまで、本を購入していただいたことを御連絡いただいた方には、明かしたこともあるのですが、この書籍にはギミックを仕掛けています。
 『すいません、嘘をついていました。この本は「小説」ではありません。単なる、大沼係長が事実を記録した、忘備録なのです』
 という設定です。そして大沼は書籍発刊後に、ある方からこんなメッセージをいただいたという裏設定もあります。

『全くフィクションになっていないので(笑)、自分の記憶を辿る感じで、懐かしく読ませていただきました』

 もちろん、固有名詞は変えていますし、物語風にするための演出はしています。が、主人公の「大沼」の台詞や行動は実際に起きた…………。危険なのでハッキリは申し上げることができませんが、臨場感があるのはそういう理由なのです。
 そして、「場面場面の、つながりが悪い」のは、軸のある物語として描いたのではなく、大沼が「動いた」結果について、「記録」したものを時系列的に並べただけという理由があるのです。
「小説として未熟なのは、作者の腕が足りないだけではなく、事実がそういう感じだから、しょうがないじゃない」
ということなのです。あくまでも、物語の設定をこういうことにしているというお話でした。

 そして、本来は「忘備録」として、大沼が心の中に仕舞うつもりだった話を、「公タマ伝」のレビューで

公務員としての真面目さばかりが前面に出てしまっていて良くも悪くも、筆者らしさが控えめになっていたことが私には残念に思えます。

と書かれた私が、
「じゃぁ、公務員らしくない、真面目じゃない男の話を書きますよ」
と考え、大沼から話を借りて書き上げたという設定です。
 あくまでも「設定」ですので、黎明奇譚という作品は、公式的には「ファンタジー」であり「フィクション」であり、現実とは全く関係ない「有り得ない物語」であることを念のため、申し添えます。

 ちなみに、他の作品の主人公同様、大沼も「愚直」な男として描くように注力しました。本編で大沼が「動いてみますか」と、語る時「自分が損をする」ことを覚悟しています、理解はしているのです。
 本来、持ち込まれたやっかいごとは「断る」のが、安全な組織で生きていることを認識しては、いるのです。誰かが「駄目」、「無理」と判断したら、受け入れるのが無難という世界です。

 それでもなお、大沼が光を求めて足掻く姿は、作者的には楽しい時間でした。「自分が損するのは構わない、地域のために、未来のために、汗をかきたい」と考える大沼は、自己犠牲の精神ではなく、「汗をかく」ことを楽しんでもいます。チャンスがあることを楽しみ、未来を夢みて生きていることになります。
 この大沼係長は、私の「推しキャラ」の一人です。

 で、エンディングも、かなり気にいっています。ネタバレになるので、ここでは触れませんので、是非、お読みくださるようお願いします。
 福島太郎の「真骨頂」のような作品です。
 公務員に関係なく楽しめると思いますのでオススメです。noteで修行した成果がここにあります。

 ただし、危険過ぎて、先輩や同僚にはおススメできないという本です。








 

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