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宴は異なもの味なもの #私の不思議体験

 市職員でありながら、東京勤務の出向を命じられていた時の話。
 心霊でも超常でもない、不思議体験です。

 東京で所属していたサークル(異業種)の先輩から、居酒屋に招待された日のこと、
「筆者さんの他の人にも声がけをしていますが、大丈夫ですか」
と、告げられましたが、筆者にとって大事なのは、本市のPRになりますので
「もちろん、大丈夫です。楽しみです」
と応えました。

 美女が来るなんてことは、期待していませんでしたが、参集した筆者(40代)、初対面の男性(50代)、そしてサークルの先輩(60代)という三世代オッサントリオで、宴は始まりました。
 序盤こそ緊張していた筆者も、同じ趣味を持つ同志ということで、すぐに打ち解け、予想以上に宴は盛り上がりました。
 そんな中、50代が

「筆者さんは福島県出身ということですが、福島県の何市になりますか」
(田舎者に対する定番の質問が入る)
「○○市です」

ここからが、不思議体験になります。

「○○市のどこですか」
「御存知ないと思いますが、□□町という山沿いの田舎町です」
「□□町のどこですか。△村、それとも×村ですか」
 少し説明させていただくと、○○市に居住していても、村までは聞いてこないです。町名は知っていても、中に2つの村があることを知る人は少ないのです。
「小さな×村のほうです」
「×村のどこですか、字でいうと本町ですか、それとも中町ですか」
「本町の西側にある、石町です」
「じゃあ、農協の隣にある渡辺さんのことを知っていますか」
「もちろんです。御近所さんですから」
 と、応えつつ、何で表参道のお洒落な居酒屋で、初対面の方と「村トーク」をしているのか、何とも不思議な時間でした。

 種を明かせば、50代が大学生時代の親しい友人が筆者と同じ村の出身であり、大学時代にちょくちょく、友人の実家に遊びに来ていたので、土地勘があったとのことでした。

 これでも十分不思議なのですが、宴と縁にはさらに深みがありました。

 帰路に向かおうとしたところで、
「ところで筆者さん、今のお住まいは」
「日比谷腺の八丁堀駅の近くです」
「八丁堀のどこになりますか」
「湊公園の近くです」
「じゃぁ、うちの御近所さんじゃないですか。うちで飲みなおしましょう」
「・・・はい」
 ということで、筆者は初対面のオジサンに、お持ち帰りをされてしまいました。恋にも愛にもつながらない、不思議な御縁です。

 50代の自宅にお邪魔はしたものの、夜半の酔客という無礼な訪問に、酔いも覚め恐縮している筆者を横目に、50代が奥様に紹介してくれました。
「この人、○○市役所の方なのです」
「ということは、今の市長は☆さんよね。私、前は☆さんと一緒に仕事をしていたことあるのよ。奇遇ねぇ」

 奇遇なんて言葉では、とてもとても足りないと思います。
という「事実は小説よりも奇なり」を実感した不思議体験でした。
 

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