【公タマ伝R】#1 行政とは
この記事は、2020年4月8日に投稿した記事の再掲載です。note街に入り2本目の投稿でした。ここ数日「公務員」の方々にアプローチしたことや、「あおきよしみさん」の記事にインスパイアしたことを受けて再掲載します。また、拙著「公務員のタマゴに伝えたい話」に掲載した原稿でもあります。なので、御承知の方もいらしゃるかもです。あおきよしみさんの記事はこちらです。
以下、本文(引用文)です。最後に新規のちょい足しがあります。
さて、まずは真面目に堅いお話から入ります。
不思議なことに、「行政」という言葉は、日常的に使用されているにも関らず、法律上の定義が無く、学術的には様々な議論を有しています。
このため、これは筆者の個人的な考えになりますが、行政とは「法令等の具現化」ということになるかと考えています。
ここ、ものすごく大事なことになりますので、繰り返し記載します。
行政とは「法令等の具現化」です。
「行政」について、「国の統治権から立法・司法を除いたもの」、「住民福祉の向上のための政務」、「市民サービス」などの考えもあると思います。
しかし、行政の役割というものについて、突き詰めて考えれば「法令等の具現化」と定義することが、「法治国家」、「国会は国権の最高機関」などの考え方とも整合性がとれるのではないかと考えています。
一番大事なのは法令等の「ルール作り」になります。このルールを作るのが国会になりますので、国会が最高機関になります。しかし、そのルールをどのように運用していくかは、国会の仕事ではありません。行政の仕事になります。運用というのは、実際に予算を付け、さらに細かい仕組みを作り、市民生活にサービスを届けることになります。この一連の流れを「具現化」と表現しています。
この軸をしっかり理解しておかないと、日々の職務の中で公務員としてのあり方について、また、上司、同僚との価値観や考え方の違いとなり、悩んでしまうことにもなります。
さらに、市民の方と接する上でも、迷い、苦しむことにとになってしまいます。様々な価値観に基づき、様々な言葉を投げかけられてしまうのも公務員の宿命です。
市民の方々と接する際に、言われがちな言葉の傾向としてあるのが
「こんなに困っているのに、役所は助けてくれないのですか」
「さんざん税金を納めてきたのに、役所は何もしてくれないのですか」
という趣旨の言葉です。
報道に関るテレビ番組や記事などで「困ったら市役所に相談」などという不適切な意見や助言を行う方もいるせいか、また、時に政治家の方なども同様の趣旨の発言を行うせいか「何か困ったら役所が助けてくれる」と考えて窓口にいらっしゃる方がいます。
また、
「こんな事業(イベント)を行いたいのですが、補助金は貰えますか」
「移住や創業したいのですが、どんな支援がありますか」
という感じで、事前の調査も不十分なまま、役所の支援があると思い込んで相談に来る方もいらっしゃいます。
そういう意見を受ける公務員の中には「住民福祉」、「市民サービス」の考えのもと「行政として何とかしてあげないと」という考えになる方もいらっしゃいます。
しかし、大変心苦しいのですが、こういう時に著者はこう返します。
「お話は伺いましたが、ご要望にお答えすることはできません」
ありがちな話として、市民の方々からの相談・要望等に対して
「趣旨は理解いたしました。だが、断る」
ということが多いのです。
市民の方々からの相談・要望等の内容は多種多様・千差万別ですが、法令等に基づく制度は、画一的かつ平面的な内容が多いですし、年齢や時期、内容などの条件付けが厳しいものもありますので、市民の方々の要望等と合致しないことが多いのが実情です。支援制度はかゆいところに手が届くようにはできていないのです。
そういう意味で「行政」というものが「住民福祉の向上のための政務」、「市民サービス」などの多様なニーズに応えるとういうことは現実的では無いと考えています。
また、「国の統治権から立法・司法を除いたもの」では範囲が広すぎる内容となりますので、一層現実的ではないのです。
なお、後出しになってしまいますが、ここでいう、「法令等」には「法律・規則・条令」など「明文規定」はもちろん、これらに基づく「計画」「制度」などを含んでいます。
そういう意味で「法令等の具現化」を、もう少し嚙砕いて表現するとしたら「法令等に基づく制度を正しく運用すること」、また、少し能動的に行動できることがあるとすれば「法令等に基づき制度を構築し運用する」ということにもなると考えています。
ただし、「制度を構築」するためには、タイミングが重要になりますので、いつでも、誰でもできる仕事ではないのです。
機会に恵まれ「制度の構築」を担当する場合は、非常にやりがいがある、面白い仕事になります。
利害関係者との調整や、制度構築のための期限は鬼のように厳しいので、その瀬戸際の感覚も含めて、やりがいと面白さが同居していることになります。
お読みいただきありがとうございます。原文はここまでです。記事のリンクをを埋め込んでも良かったのですが、「読んでいただきたい」という気持ちが強く、本文をコピーしました。最近の「駄文」を読んでいただいている方には「意外」な内容かと存じます。
先に紹介した「あおきよしみさん」の記事に対して、「行政の肥大化」を懸念していることをコメントしました。そこでは書ききれませんが、この原稿のような視点から「行政の肥大化」を懸念しており、最近読んだnoteの投稿で「選ばれた首長の施策を実行するのが公務員」という意見をお持ちの方に対する、私なりの考えです。
私の考える「行政」は「法に基づくもの」ですが、近年は「住民福祉の向上のための政務」、「市民サービス」などの考えの元に、政治家としての首長や議員などの意向を受け、「違法でなければ何をしてもよい」という、バラマキ、無駄使い、行政でやるべきではない業務を執行している印象です。言わば、ローマ時代の「パンとサーカス」から、進化していないとも感じます。
そして、それをチェックするはずの、国会や地方自治体などの議会の「形骸化」、「劇場型」さらにはこれらをチェックするはずのメディアの「形骸化」、「ワイドショー化」、行政の自浄作用の低下が重なり、ローマ時代の「パンとサーカス」から、退化どころか悪化しているかもしれません。
私の意見が全て正しいと考えてはいませんが、このように書き残すことで、私の失敗や経験を糧として礎として、前途ある方々が、将来に渡り活躍していただくことを期待したいと考え、駄文を書き散らしています。時間と労力の無駄のようにみえる行動も、効果が0ではないと、未来に夢を見ていたいのです。最後までお読みいただきありがとうございました。
「公タマ伝」は、こんな感じの真面目な原稿が多いので、娯楽性のある「恋する旅人」を推していますが、電子書籍について、今月は1冊も売れず1ページも読まれていないです。私の意見が全て正しいと考えてはいませんが、私は面白いお話と考えていますので、お勧めしています。
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