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【企画参加】次代のため資産運用

 49歳で心臓(心房細動)の発作を起こし、病院に救急搬送された時、暗黒の世界で、息も絶え絶えの中で考えた。
「それなりに楽しい人生だった。このまま死んでもいいか」

 ところが、死に至る病気ではなく、数日で病状が落ち着いたため、病院のベッドの上で困り果てた。
「この後の、オマケのような人生をどうしよう」
 30年以上働いてきたけれど、大きな資産も人脈も無い、政治家になるような地盤も無い。ただ、働いて、身の丈に合う生活をして、住宅ローンを返していく。人様に迷惑をかけていないだけマシとも思うけど、
「それで、いいのか」

 考える時間は充分にあった。
「僕に何がある、何ができる」
何度も問いかけ、考え抜いた結果は
「僕の知識と経験は、僕だけの資産のはず」
 今まで見てきたもの、聞いた話、体験してきたことを、自分の中に貯めるだけではなく、電子書籍という資産で運用し、次の世代に伝える。
 そしたら、自分が生きてきた意味が生まれるのかもしれない。

 退院したその日から、電子書籍の発刊に向けて、パソコンに原稿を入力した。タイトルだけは決めていた。
「公務員のタマゴに伝えたい話」(略称:公タマ伝)
 自分が公務員として生きてきた「現場・現実・現状」で感じたことを書き残し、若手公務員や志望者に伝えることを考えた。
 運用益は出なくても良い、一人でも必要とする方に届き、何かを感じてくれたら本望。そんな思いだった。

 「公タマ伝」は予想どおり、低い売上げで、運用損を生み出したが、その後もnote街で「駄文屋」と称しながら、電子書籍の発刊という資産運用を継続している。
 というか、電子書籍の発刊で得られるロイヤリティは、地元にあるシングルマザーと子どもたちを支援するNPOに全額を寄付することにしたので、いくら運用をしても、僕の利益は得られない仕組みとした。

 僕の中にある「知識と経験という資産」の多くは、人生の先輩からの預かりもの。だとすれば、その利益は次の世代に贈ることが、正しい運用方法のような気がした。
 「公タマ伝」の後にも、電子書籍の発刊を継続している。
 最近は「自分の知識と経験」だけでなく、地元にある「凄い・素敵・素晴らしい方々」の話を収集し、自分が楽しみながら執筆活動するという、資産運用で継続させていただいている。

 今は利益は要らない。
 ただ、いつの日か、僕の活動が、誰かの資産になる未来を夢見ている。

 
 

サポート、kindleのロイヤリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれんつふぉーらむ福島」さんに寄付しています。 また2023年3月からは、大阪のNPO法人「ハッピーマム」さんへのサポート費用としています。  皆さまからの善意は、子どもたちの未来に託します、感謝します。