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【創作SS】最後の魔法

 そのマジシャンは古典的な手品を得意としていた。
「子ども騙し」
というコメントがYouTubeにいくつも寄せられた。

 しかし彼は、地味な手品の動画を流し続けた。
 コイン、カード、白鳩を使うエンターテイメントは、子どもから大人まで安心して楽しむことができ、言葉、世代、国を越えてファンが広がり続けた。

『レディース&ジェントルマン、おとっつぁん&おっかさん、おじぃおばぁ&子どもたち。これから、ミーの一世一代、最後の魔法を贈ります』

 タキシードにシルクハット姿で、世界に向けてメッセージを贈ると、深々とお辞儀をした。
 手にしたシルクハットから、無数にも見える白鳩が飛び出した。嘴にはオリーブの苗。

 刹那、世界中のパソコンにメールが届き、画面を白鳩が羽ばたき、文字が流れた。

『地には平和を人には愛を』

 数秒間、世界が愛と平和に包まれた。 
 後に「伝書鳩パーティ」と伝えられる奇跡の時間である。
 
 手品師の行方は誰も知らない。
(本文ここまで)

#伝書鳩パーティ
#毎週ショートショートnote

 今週も「たらはかに」さんの企画に参加できて安堵です。

 正直なところ、私には悩ましいお題でした。「伝書鳩バーディ」とか「電車箱パーティ」とかボケたい気持ちを抑えて、正面からお題に向き合いました。

 さて、有名な都都逸に「玉川カルテット」さんの
『金もいらなきゃ 女もいらぬ あたしゃも少し 背が欲しい』
がありますが、書き手として時々、思うのです。
【金もいらなきゃ 人気もいらぬ あたしゃも少し平和が欲しい】

 今より少しでも、未来が平和で安寧であって欲しいと心から願います。

 さて、福島太郎は「文学フリマ東京36(5月21日)」に出店を予定しています。
 公タマ伝以外の紙書籍は各7冊参しますが、なるべく電子書籍かAmazonでの購入をお勧めします。

【福島文学 文学フリマ東京36 C-27 推参!】

 購入していただくことはあまり期待していませんが、多くの方に交流していただきたいです。
#何を書いても最後は宣伝
 戊辰戦争の正義は、私には解らないですが、結果として「会津ワイン」が誕生したことは、誇らしいと感じています。



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