見出し画像

【読書感想文】南の島、場末のスナックと透明な海

 こちらのお話です。noteの有料記事として読むことができます。

 私はnoteで連載されていた際に強く惹かれてしまい、「文学フリマ東京38」に作者の【あー(もじのほう)さん】が出店されていることを知り、紙書籍も購入しました。しかし、文学フリマ東京38以降の疲れや創作大賞へのエントリーにより「読書脳」への切り替えができず、読むのが大変遅くなってしまいました。本作品も含め
#文学フリマで買った本
の積読解消に向けて、今後は積極的に読んでいきたいと存じます。

 さて本書の感想ですが『アンニュイ』の一言に尽きます。
 剣も魔法も異世界も事件も事故も謎解きもなく、淡々と物語は進みます。それでいて行動している内容は突飛で不思議な選択を続けていきます。なのに違和感はなく、ちょっと不安を感じつつも主人公を冷めた目で見ながら少し応援したくなるのです。

 淡々と表現する人物や風景の描写がとても上手で、そこに主人公の心理描写が加わることで、どんどん主人公と自分の同化が進み、主人公と同じようなアンニュイな気持ちで、次に進むページを捲ることになります。

 なんでしょう、この不思議な面白さ。エンターテインメント的ではないエンターテイメント。例えるなら「風光明媚な美しい土地」ではなく、「路地裏のようなありふれた街」を撮影しているのに、そこにある物語に心を撃たれるような感覚とでも、もうしましょうか。
 いや、そういう理屈、言葉で説明しようとすることが、そもそもこの作品に相応しくない気がします。ただただ
「こういう作品、好き」
と心のままに、この世界に浸ることが最上の味わい方のような気がします。

 例えるなら沖縄の海を見ながら、ひとりで海風をツマミに泡盛をチビチビと嗜むような、何も無いのに世界と共にあるような贅沢な時間を本書から味あわせていただきました。

 と、ダラダラ書いてしまいましたが、こちらの記事にコメントしていたことが端的にまとまっていました。記事をコメントまで読んでいただければです。

 リンク先を後で読む方のために、コメントから引用します。

連載も楽しませていただきましたが、紙の本でも「気だるい、悩ましい、それでいて明るい」人間模様を味わいたいです。
突き放すような寄り添うような、不思議な世界が待ち遠しいです。

 という私の感想でした。
 
 紙書籍は残っていないと思いますが、興味を惹かれた方は著者に問い合わせしても良いかもしれません。note版は300円とお買い得ですが、作者コメントから引用します。

紙の本だと、やっぱりnoteとは雰囲気が変わるなあと今日読んで改めて思いました。ぜひ紙ならではの世界も味わってくださいね!

 是非お試しください。




サポート、kindleのロイヤリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれんつふぉーらむ福島」さんに寄付しています。 また2023年3月からは、大阪のNPO法人「ハッピーマム」さんへのサポート費用としています。  皆さまからの善意は、子どもたちの未来に託します、感謝します。