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【再掲・微修正】できない理由は聞いてない。聞いているのはやる方法だ #公タマ伝

 この言葉を聞いてから25年になりますが、困難に陥った時に良く思い出す言葉です。

 当時の私は「防災訓練」の企画を担当していました。
 訓練本番の3日前に、市長から唐突に「情報伝達訓練」を追加するようにとの指示がありました。
 課長補佐から指示を聞いた私は「無理です」と回答し、その理由について説明しましたが、表題の
「できない理由は聞いてない。聞いているのは、やる方法だ」
で、一刀両断されてしまいました。

(話にならない)と思いながらも、一呼吸置いて
「これから名前をあげる職員の応援、それと機材の借用が可能であれば、何とかできると思います」
と応えるのが精いっぱいでした。
 25年前、Windows95から98に移行しているような時で、役所の中にWindows搭載のパソコンはほとんどなく、公式にはデジタルカメラも無い時期でした。
 ただ、私は、私用のWindowsPCやデジカメ、携帯電話などを使い、
「今、撮影した画像をPCですぐ送れるのです」
なんてことを課長たちにアピールしたりしていました。公費でデジカメを購入するための、ちょっとしたデモストレーションだったのです。
 それが市長の耳まで届いてしまい、防災訓練の一環で実施するようにとの指示になってしまったことは、ある意味自業自得です。

 通常であれば、職員の応援や機材の借用などは、それなりの内部調整や手続き、それを行うための説明責任などが必要になるところですが、この時は市長からの勅命であり、時間も無い。
 ということで、諸々の手続きをふっとばし、人員と機材をそろえ、訓練に必要な追加のシナリオを構築し、なんとか「情報伝達訓練」を実施することができました。
最初に「できない」と応えた私に対し、「ほら、できただろう」とドヤ顔をした課長補佐のことは、正直信頼していません。
 何しろ訓練企画(総括担当)の私が、全体進行から外れ、この情報伝達訓練に注力した結果、防災訓練全体としては進行がグダグダになり、大失敗に終わりました。
 ただ、防災訓練を終えた翌年度から、デジタルカメラの予算が公式に認められるようになりました。私がいなければ、本市のデジカメの導入は数年遅れていたと考えています。

 その後の人生の様々な場面で、この時の言葉を反芻しています。

 困難に直面したとき「できない」と考えるのは簡単で、楽なのですが「できる方法はないか」と思考を継続し、周囲の助力が得られた場合には、打開策、解決策が浮かぶこともある
 ことを実感しています。

 ただ、役所で上手く生きていくためには「だが、断る」とか「それはウチの仕事じゃない」の方が大切な気もしていますが、そういうことが下手な私は、何度失敗しても「動いてみますか」を繰り返しています。
 
#何を書いても最後は宣伝
 損な私が本業での体験を元に書いた「公務員三部作」がこちらになります。
 「公務員のタマゴに伝えたい話」は、いわゆる「啓発本」になるかとは思いますが、ノウハウ本ではなく公務員としての「現場・現実」を書き残したものになります。
 「元宮ワイナリー黎明奇譚」は、本市にある「ふくしま逢瀬ワイナリー」に関わった公務員の話をベースにした創作物語です。
 お読みいただけましたら嬉しいです。

 なお「元宮ワイナリー黎明奇譚」と「会津ワイン黎明綺譚」はタイトルこそ似ていますが、舞台・文体・展開など全く異なるお話になります。ただ、会津ワインにも「公務員キャラ」は登場しています。著者がかなりお気に入りのキャラになります。

 

 
 

 

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