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【感想】決断の裏側

 日本財団さんが展開している、期間限定のオンライン動画プログラム。本日もそのうちの1コマを視聴しました。また、そのアウトプットとして稿を作成します。咀嚼できていない部分や誤解、曲解の部分もあると思いますが、忘備録ということで、御理解ください。多分、これで最後になります。

 さて、今回選択したセッションが『決断の裏側―前例のない危機を前に、リーダーはどう決断したか』というもので、出演者が大阪府知事 吉村洋文さん、日本交通株式会社 川鍋一朗さん、READYFOR 米良 はるかさんの三人でした。コロナ禍におけるそれぞれの「決断」、その背景について非常に刺激的なお話を聞くことができましたので振り返ります。
 まず、端的な感想を一言で。「これで300円は安かった。自宅でこのレベルの方々の話を聞くことができるとは、何と良い時代になったのでしょう」
 セッションなので、ただでさえ深堀りしにくい部分があるのに、吉村さんが「自説をしゃべり過ぎ」で、時間配分がおかしくなってしまっていますが、それを差し引いても十分に面白いセッションでした。

1 吉村さん
 「決断」をする上で、重要視したのは「何のために」という目的意識であり「大阪府民の命」ということとおっしゃっていました。また、「背景」を軸にして考えるともお話されていました。かなり共感できる考えでした。
 さらに「官僚は優秀だけど、官僚に判断できないことを判断するのが政治家」「失敗したとしても(知事の)席に拘らない」「勇気を持つ」というお話もされており、政治家としての責任感や覚悟を感じさせてただきました。
 他にもいろいろな葛藤についてもお話されてはいましたが、司会の進行と噛み合わない部分もあり、部下は大変だろうなと同情しました。

2 川鍋さん
 この方のお話をもう少しお聞きしたかったです。正直、本日の稿はこの方のお話を残しておくために作成しています。
 タクシー業界を代表する立場ということでお話されていました。
「東京で発生したコロナの陽性者がタクシーの運転手だった。どこで感染したのかわからないのに、マスメディアはまるでタクシーが危険な乗り物のように報道した」
 というお話を最初にされていましたが、その様子に全く怒りも嫌味も無いのです、まず、そこに驚きました。ある意味、風評被害、メディアいじめの被害者の立場でありながら、微塵も暗さを感じさせないのです。
 ただ「そのことにより、運転手たちのモチベーションが下がったことが残念だった。社会に必要とされていることが誇りなのに、気持ちを削がれた」(不正確な発言記録です)という趣旨のことをお話されるわけです。

 少し、私なりの理解で補足させてください。エビデンスは曖昧です。
 江戸時代には駕籠かきを「雲助」という差別的な表現をしていたこともあるようですが、未だに「タクシー業界」に対して、そのような意識を持つ方もいらっしゃるようです。そのことで辛い思いをするドライバーの方々もいらっしゃるのかも知れません。しかしながら、イザという時には「電車もバスも計画運休ができるけど、自分達は交通の最後の砦」という誇りをお持ちなのだろうと思います。そのような気持ちをズタズタにするような報道があったようです。
 このような中、川鍋さんはマスメディアを批判するのではなく、「取材を全部受けろ。正しい情報発信をする。それも大量に」と、逃げることなく受け止めたようです。そして、エッセンシャルワーカーさんなどからの支持、ウィルスについてお安全対策などの支援を受けて、状況を反転させたとのことでした。
 吉村さんも「情報を隠さない」ということを仰っていましたが、情報発信というのは、リーダーに求められる資質の一つかも知れません。そして、川鍋さんの「会心の一撃よりも大量発信」という趣旨の言葉、また、反転攻勢の結果、「運転手の希望者が増えたのですよ」と語る時の笑顔が印象的でした。人手不足が著しい業界に人材が集まり、業界が活性化することを喜んでいるようでした。「駄作が多作な田吾作」は勇気をいただきました。
 こういうトップの下で働ける部下は、幸せかも知れません。

3 米良さん
 クラウドファンディングを支援する会社の代表であり、第一人者です。「お金の流れを止めない」「攻める資金調達から守りの資金調達へ」ということで、お金の流れというのは、人間で言うと血流のようなものですから、止まってはいけない中、「消費」という流れが停滞する中で、クラウドファンディングという手法で、多くの事業所を救済したことに、敬意を感じました。サスティナブルな社会の構築に向けて、御尽力されているようです。

4 まとまらない話
 今回も「初見」ということで、バランスが悪い稿で申し訳ありません。吉村さんと、米良さんの扱いも小さくなってしまい恐縮です。それだけ、川鍋さんのインパクトがあったということにしてください。
 川鍋さんは、「今日が30年後のスタートライン」ということで、事業を30年の時間軸で捉え、そのために今、何をするのか、何をしなければならないのかということを考えていらっしゃるようでした。未来は誰にも予測できないけれど、そのヴィジョンを描きながら先頭に立とうとするのが、危機的状況で求められるリーダーシップなのかも知れません。

 余談ですが、地元のタクシー会社の社長のお話です。2代目のオーナー社長として、経営者になった当初は「売上げ」や「利益」を確保されるために御苦労されたそうです。従業員の質を上げるために、かなり厳しい対応もされ、苦情が入れば、自分の目の前で始末書を書かせることもあったようです。
 ところがある日、従業員が一行も書こうとしない。「反省していないのか」と、叱責しようとした時に、その従業員から
「社長、しまつしょって、どういう字を書くのですか」と尋ねられ
「俺は、何を見て経営していたのか。この従業員を護るのが俺の仕事じゃないのか」
と、考えをあらため、経営方針を変更したとのことです。その日が社長の真のスタートラインだったのでしょう。
 以上、余談でした。最後まで御読みいただきありがとうございました。

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