【創作大賞】頑強戦隊 メガネレンジャー(第5話)
5 裏切りのキューティデビル
荒野で激しい戦いを繰り広げる4人の戦士と兎のような頭を持つ異形の怪人。剛腕を持つ怪人は「キューティデビル」と名乗り、メガネレンジャーを苦しめていた。しかし頑強な体を持つメガネレンジャーたちはそれぞれの得意技で反撃をしながら戦いは終盤に入ろうとしていた。
メガネレッドが大きな声で呼びかける。
「今だ、視界の平和を守る、みんなの想いを一つにするんだ」
声を合図に4人が横一列に並ぶ。
「レッド・ピンク・ブラック・イエロー、四つの光をジャスティスアローに」
4人が叫ぶとそれぞれのメガネから天に四色の光が走り、糸を紡ぐように螺旋を描きながら黄金色の光の矢に変わり始めたが、シュルシュルとピンクの光が力を失うように消え、戸惑うようにして他の光も静かに収束していった。
「臆したの、メガネレンジャー」
キューティデビルがメガネレンジャーを煽る。
「どうした、ピンク」
レッドが叱りつけるようにピンクを質した。
「あの怪人、哀しい目をしているの。もしかしたら悪い娘じゃないのかもしれない。だから」
語り終えるとピンクは静かにキューティデビルに近づいていった。
「哀しい目をした貴女。大切なものが、この美しい世界がちゃんと見えている?」
キューティデビルに話しかけると自分のメガネを外してキューティデビルの目元に近づけていく。
「な、何をするつもり」
言葉では抵抗し、おののくキューティーデビルだったが、慈愛に満ちたピンクの瞳に吸い込まれるように、優しさに包まれるようにしてピンクに体を預け、されるがままにメガネを装着させられた。
「こ、これが本当の世界。この美しい世界を壊すだなんて、私は何て恐ろしいことを」
キューティデビルは膝から崩れ落ち両手を地面についた。メガネの奥から涙が溢れ地面に吸い込まれていく。
ピンクはしゃがむと両手をキューティデビルの肩にそっと置いた。
「哀しい目をしたキューティ、「哀の戦士」として私たちと一緒に戦いましょう。貴女の哀しい瞳を輝く愛で満たすのよ」
「アタシがメガネレンジャーの仲間に、そんなことが許されるの。アタシは悪の怪人だったのに」
「私の目の前に座るのはもう怪人じゃないわ。メガネをかけて正義に目覚めた戦士。そのメガネも似合うけど、博士に相談してキューティに似合うメガネを作ってもらいましょう」
ピンクが微笑み、キューティも微笑みを返す。
「アタシが人間だった時の名前は『ぽかうさいちこ』。悪に染まった体はもう戻らないと思うけど、視界を取り戻した今、心は人間のように戻れるかしら」
いつの間にかレッド、ブラック、イエローの3人が人間の姿に戻りピンクの後ろに立っていた。皆が優しい笑顔を浮かべている。
「いっしょに戦おう、ぽかさん。姿は今のままでも正義を愛する仲間だ」
「歓迎するぜキューティ、君の力を正義のために地球のために活かしてくれ。5人目のメガネレンジャーとして」
レッドとブラックの言葉にイエローが頷く。
ナレーションの声
【説明しよう、今日はメガネロボがメンテナンス中のため「怪人を巨大化させない」というミッションが密に課せられていたメガネレンジャー。見事にメガネロボを温存しながら視界の平和を守ることに成功したのである】
(第5話 ここまで)
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