アウトレットモールはやっぱりアパレルの闇でした

 先週、性懲りもなく福岡にあるアウトレットモールに行ってしまいました。。何も買うものはないと分かっているのに。。
 一応前職のおかげでアパレル業界の構造と、良質なものと粗悪なものの違いはなんとなーくわかるつもりでいるので、今回はアウトレットモールの闇について書きたいと思います。
【原文】
https://taroemon30.net/2020/08/14/アウトレットモールはやっぱりアパレルの闇でし/

-アウトレットは必ずしも良いものが安く手に入る場所ではない
大体の人がこれを期待していると思いますが、アウトレットの商品ラインナップは主に以下で構成されています。
・セール品
・B品(汚れとか傷アリとか)
・アウトレット専用ブランド

 薄々気づいている方もいると思いますが、、ユナイテッドアローズ、BEAMS、アーバンリサーチ、ベイクルーズ(ジャーナルスタンダードとか)など大手セレクト系ブランドでは、みた感じ店頭の8〜9割の商品が「アウトレット専用ブランド」で構成されています。自社プロパー商品やセレクト系の掘り出し物はせいぜい1割くらい。そしてこのアウトレットブランドにはちゃんとブランド名があって、 UAだとA Day of the Life、BEAMSだとBEAMS HEARTという具合です。

 本来はプロパー店舗の売れ残り品を捌けさせるためにあるアウトレットです。しかし、プロパー店舗でセール品を売り続けるのは時期も限られるし、ブランドイメージや店頭の見た目にも悪いのでアウトレット店舗へまわします。ただ、アウトレット店舗も売れ残り品だけだと店頭がクソみたいになってしまうので、アウトレット専用ブランドなるものを作っています。

 アウトレット専用ブランドの多くはアウトレットモールで販売するためだけに、安い素材で安く生産しているであろう、一見セール品っぽい「新商品(?)」です。低価格ゾーンで売上を稼ぐための常套手段なのでこれ自体が悪いという訳ではないのですが、良いものが安くなったと思っている人たちは要注意です。

 ちなみに、ブランドにとってもそれ専用に商品を作っているので、原価率を圧迫させず、アウトレット品を値下げしたりすることもできます。

 そもそもこのアウトレットブランドは安い素材を使って安く生産している可能性が高いことは上述の通りですが、自社の売れ残り生地や、一般的に流通している安い生地を使って、中国の田舎の小さい工場で縫っていることが多いかなと思います。なので「何この色/この素材誰が着るん」みたいなものもよくありますね。

 これを頭に入れてアウトレットに行ってみると、ブランドごとに全く差別化できていないことに気がつき、購買意欲が薄れ、気が滅入ってしまいます。そもそも入り口のマネキンが明らかにプロパーの店舗と違っておしゃれではなく、なんとかあるもので頑張ってる感じです。ブランドの社員も大変です。

-良いものを安く売ってるブランドもある
 一方でトゥモローランドやエストネーションとかはアウトレットブランドは(多分)なく、どれもプロパー店舗でみたことのある商品が安くなっている印象でした。あと、UAとかもレディースは比較的アウトレットブランド比率が低かった気がします。まあメンズと比べて流通量が多いですから当然ですね。メンズはまじで買うものありません。

 ということで上記はアウトレット行くなら気をつけてねということでしたが、アウトレットの何が闇なのかというと、売れ無かったものを売るために、わざわざらしからぬ陳腐な商品を作ってやりくりしているという状況です。そしてその裏側では生産した製品の40%は廃棄されているというアパレル業界全体が抱える闇が潜んでいます。捨てつつも、おそらくそれなりに売上があるからやめられ無い、というある種麻薬と化しています。ちなみに売れないもの作るのにも、保管しておくのにも、捨てるのにもかなりお金がかかります。

 そんなアパレル業界が最近声高に謳っているサスティナブルとかエシカルとかいう標語がありますが、そんなエシカルな素材で作った製品すら大量に捨てられているという現実を、我々消費者も知っておくべきです。エシカルがなんちゃらと言う前にゴミを生産しないことこそがアパレルがやらなければいけないことなように思います。ただしこれまでそんな闇を見て見ぬふりをしてきた各アパレル企業は無駄に規模が膨れ上がってしまっており、簡単にはゴミ生産をやめられません。

 さらに環境配慮以前に、ゴミ生産をやめないと不良債権が増え、キャッシュフローが悪化し、経営が破綻してしまいます。このコロナ禍で資金繰り悪化が顕在化してしまい、破綻してしまうブランドもたくさん出てきました。

 アパレルの究極はオーダーメイドだと言っていた人もいますが、確かにその通りで、一人ひとりに似合う服とか好きな服をテクノロジー全開で提供するブランドや、こじんまりとコアな顧客に寄り添うブランドやショップが生き残りそうです。

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