見出し画像

正直者が馬鹿を見る!?ヘアトリートメント規制の疑問(twitterリライト)

こんにちは、化粧品技術者の たろ です。
今日はノートを作ろうと思ったきっかけともなった超ロングツイートについてリライトします。

【論点】多くが守らない過剰な自主規制はお客さんの利益につながるか。

皆さんは「アウトバスヘアトリートメントに揮発性シリコーンを配合してはいけない」と言う日本化粧品工業連合会の自主規制についてご存知でしょうか?多くの方はご存じないと思います。

だって、市場の多くの製品が守っていないから。

そしてこれを守っている会社が不利益を被っている、正直者が馬鹿を見る現象が起きていることもご存じないと思います。

この規制を通して、自主規制をきちんと守ることはお客様の利益に本当になっているのだろうか考えたいと思います。
また、規制に従わない会社が大半である場合、この規制を守り続けることに果たしてどれだけの意味があるのでしょうか。規制の保護を見直しトータルでお客さんの利益になるような第三の方法を考えるべきかもしれません。

過去にあった事故を風化させないため、そして皆さんの議論の助けにしてもらえればと思って書きます。

図3


経緯と元ツイート

この規制についてご存知ない方もいらっしゃると思いますのでまず規制について説明します。

【発行元】
日本化粧品工業連合会(粧工連、JCIA)
【内容(端的)】
アウトバスヘアトリートメントに、揮発性シリコーンを配合してはいけない
【背景とソース】
平成初頭に閉め切った部屋でヘアスプレーを使用し、ガスファンヒーターを使用したところ、事故が起きた。これにより日本ガス石油機器工業会から自粛要請があり、日本化粧品工業連合会(粧工連)が自主規制として制定した。

>揮発性シリコン配合頭髪用化粧品の処方変更について(平成4年9月28日 日本化粧品工業連合会) 478
https://rnavi.ndl.go.jp/mokuji_html/028751719.html

当初、処方変更を依頼したが改善しなかったので配合禁止の自主規制へ拡大された。この時点で国内大手は粧工連に従ったが、外資系や中小はその限りではなく、自主規制を守っている大手企業が正直者が馬鹿を見る状態に陥る。ちょっと古いですが2014年のデータ。上位は従わない組が独占。

図1

対象成分と品質の差

【対象】
アウトバス製品への揮発性シリコーン配合
【配合NG、OKな全成分名称】
×:シクロペンタシロキサン、一部のジメチコン
〇:大半のジメチコン、ジメチコノール
〇:イソドデカン(揮発性炭化水素油)

【どういうことが起きているか】
揮発性=飛んでなくなってしまうもの。
飛ばないシリコーンは髪の保護やツヤに効くが、伸びが悪く使用性が悪い。そのままでは厚く乗ってしまい、髪が重くなり束ヅキになる。
そのため揮発性シリコーンで薄めて使用感と仕上がりを軽くしたいが、本規制でできない。

現状、代わりになるのはイソドデカン(炭化水素はOK)だが、シリコーンと馴染みがそんなに良くないので多量に配合できず、揮発性シリコーンに勝てない。

この原料が使えるか使えないかがアウトバスヘアトリートメントという製品にとっては、品質に天と地の差を生んでいる。粧工連の自主規制を守っている国内大手はかなり厳しい戦いになっている。

実際、多くの方から揮発性シリコーン入りの製品がお気に入りで、もう手放せない!という声をいただいております。

外資メーカーはどう対応しているの?

画像3

火器注意:室内空気を取り入れるファンヒーターを使用中の部屋で、つけたり乾かしたりしないでください・配合されている揮発性成分がファンヒーターに吸入され点火不良や消火の原因となることがあります。

という対応をしています。
これで十分でしょうか?それとも不十分だから配合を全面禁止にすべきでしょうか?僕には結論が出せません。
しかし現実的に中小メーカー及び外資系メーカーの製品が売れているということは、この規制はいったい何を守っているのだと疑問に思います。

終わりに


皆さんはこの規制についてどう思いますか?
多くの製品が守れていない自主規制を継続すべきか?
私はあまり意味がないと思います。この規制が出てからもう30年近く経ちます。現在の消費者環境をもう一度考えお互いに納得できるような第三の方法を考えるべきじゃないかと思います。

最後に、石油ファンヒーターがある部屋でアウトバストリートメントを使用している方は揮発性シリコーンが含まれていないかよく確認して注意してお使いください。

よろしければサポートお願い致します。いただいたサポートは次の情報発信の原動力になります!!