見出し画像

死にかけて入院した際に見た細かすぎて伝わらない幻覚の話~病室編~

重症急性膵炎で入院した際、特に最初の数週間は死のキワキワで薬漬けの寝たきりになっており、その影響でずっと幻覚を見ていました。そのへんは以前もちょっと書いた。

上の記事では印象的な幻覚をピックアップしてお届けしましたが、実際にはもっと長期的にずっと幻覚を見ていました。ていうか今振り返ればこそ幻覚だとわかるんですが、当時はその幻覚こそが現実だと信じていましたし、その期間は現実の病室で寝ている映像の記憶がひとつもありません。まさに夢と現実の区別のつかないインセプション状態で、今でも「あれはどっちが現実だったんだ……?」とぼんやりした感覚でいます。

あまりに支離滅裂としているのであんまり人に話す機会もないんですが、個人的な体験としては迫力のあるものでした。この感覚は時とともに風化していってしまう(既にだいぶしてる)ので、思い出せる限り列挙して残しておこうという記事です。


ちゃんとした病室の映像が記憶にない時期

ずっとICUにいたはずなんですが、最初の数週間は病室の映像が全部バグっています。巨大ホテルの個室、会社の執務室っぽい場所、スーパーのゲームコーナー、パチンコ屋の入り口、謎の地下室など。看護師さんと「また部屋変わったんですか」みたいな会話をした記憶もあるけど、多分それも全部幻覚なんだよなあ。

・巨大ホテル編

病院が巨大なホテル施設みたいになっていて飲食店とかも入っているという幻覚。自分はスウィートルームみたいなガラス張りの個室に寝たきりでうんち漏らしてるという設定だった。この頃は「酒飲んじゃいけないのに飲んじゃった」みたいな夢(現実との境目が曖昧なので幻覚?)も見ていたので、多分肉体的にはアルコール離脱症状がきつかった時なのかもしれない。実際は酒なんかより水飲めないことが死ぬほどつらかった。

あとこの時期、夜になると看護師が海外から出稼ぎにきた不法入国者ばっかりになるという幻覚も見ていた。病院は彼らを安い労働力として買い叩いている。彼らは歩合制なのでナースコールが鳴ると我先に飛んできて知識も何もないのに点数稼ぎのためにできもしない投薬とか注射とかをしてくる。という幻覚。こういう「この病院はヤバイ病院だ」みたいな幻覚をほんとによく見ていた。

多分だけどいつもの看護師さんじゃなくてたまたま別の先生とかが対応してくれたとかのときに、「いつもと違う! 怖い!」とかでそういう幻覚になったのかなとか思った。赤ちゃんがお母さんに抱かれると安心するけどお父さんに抱かれると泣いちゃうみたいな気持ちがわかった気がします。弱き者はいつもと違う状態になると不安になるのだ。

・場末のスーパー編

病院が「多角経営をすることになった」とか言って、同じフロアで衣料品を売ったりヨーカドーにあるゲームコーナーみたいなのを作ったことがありました。フロアの半分にベッドが並んでて、看護師さんが合間に靴下の袋詰めとかしてて、反対側でゲーセンの音がギャンギャン鳴ってる。パチスロ北斗の拳の音とかが聞こえてくる。「病院に来た人が必要な服を買ったり待ち時間にゲームで遊べるんだ」という理屈だった。そのときはラリった頭で「儲けに走ってる! 資本主義の闇だ!」とか思ったけどそういう問題ですらない。まさに高熱が出たときに見る夢みたいな話。

・パチンコ屋の入り口と恐怖の隣人編

「病室が足りなくなっちゃったんであっち行ってもらっていい?」と言われて、パチンコ屋の入り口にベッドを移動された幻覚。病院の中の別階にパチンコ屋が入ってるという設定だった。ビル型のパチンコ屋で屋内に景品交換所とかもあるタイプのやつをイメージしてください。

自分はそのパチ屋の2階の裏側、ほとんど誰も通らない静かなところに寝ていました。病院とパチ屋が併設ってどんな環境だよって感じだけど、たまに医者や看護師が休憩中にジャグラーとか打ちに行って一喜一憂してて「ああ、医療従事者も人間なんだなあ」と思った。(※全部幻覚です)

すごい怖かったのが、そこで別の患者と相部屋にさせられたこと(※幻覚)。その人は若い女性で生気が無くていかにも「病み系」って感じの雰囲気でした。まあ病院だから全員病み系っちゃ病み系なんだけど。

相部屋というかほとんどダブルベッドみたいな状態にされた。そしたら隣の病み女子がずっとゲームやってたり病院食は食わないのに夜中にお菓子やカップ麺を食ってたり急に何かにキレて暴れ出したりして、僕はストレスいかつくて「マジで部屋替えてくれ」って言うんだけど看護師は「お互い若いんだからいいでしょ、ウフフ」みたいな感じでほっとかれて地獄だった。という幻覚。

その後、それぞれ個室に戻されたんだけどしばらくは夜中に隣の部屋から暴れてる声とか音とかが聞こえて「またやってるなあ」と思ってた。あれ現実ではほんとに隣にそういう人がいたんだろうか。1から10まで全部僕の幻覚と幻聴なんだろうか。今となってはわからぬ真実。


他にも化け猫を見た話、手術を2人の医師による「医療対決」みたいな感じでテレビ中継される話、病気そのものを壮大なドッキリとしてライブ配信される話……とか色々あるんですが、こうして言語化しようとすると支離滅裂な夢の話すぎて説明しづらい。でも体験としてはめっちゃ現実味があって……この感覚はどうしたら伝わるんだろう。それこそ小説とかゲームとかにしてみたいです。

長くなっちゃったので以下おまけにひとつだけ。漫画とかに出てくる闇の金持ちが病院の地下室にめっちゃ住んでいるという幻覚です。

病院の地下で行われる闇のギャンブル編

ここから先は

905字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

こちらはただ投げ銭をするだけの「サポート」という機能です。サポートいただけた分だけnoteの活動に割く時間を増やせるので大変助かります。(メンバーシップに入ると有料記事が読めるなど多少見返りがあります!)